呪詛抜きダイエット

著者 :
  • 大和書房
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感想 : 30
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  • Amazon.co.jp ・本 (128ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784479670834

作品紹介・あらすじ

私が太っているのは呪いのせい!?鏡を見られない人、写真撮られるのが嫌いな人、必読!運動や食事制限の前に、するべきことがあった!母親や親戚、友達や恋人にいつのまにか植えられていた「私は太っていなければならない」という呪い。抜いてみたら、バラバラだった心と体がひとつになった-!

感想・レビュー・書評

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  • 言葉って呪いだと思います。
    悪意のある、または悪意のない(つもりの)言葉が人を傷つけ、自分を縛る。
    この本の著者の田房さんは自分が不健康に太っているという自覚があり、それではダメだという強い思いももっている。
    が、食べてしまう。異常に。運動もしない。
    人前に出るのも苦しく、笑いを誘わせようとするデブネタも恐怖だ。
    過食症や強迫症、死を思うことでしか心を落ち着かせられない時もあった。
    それではいけないといろんな試行錯誤をした記録が本エッセイ。

    私だったら「だまされるんじゃないか」と思って手を出さないと思う前世セラピー、自己啓発CDや河合隼雄さんで有名な箱庭療法、ゲシュタルトセラピーなど様々なことを体験し、かけられた/自らにかけた呪詛=トラウマと向き合っていく。

    鍵となるのは前々作、『母がしんどい』のおかあさん、ばかりではなく...。

    いや、人ってささいにみえる言動でも気にやんでずうっと引きずっちゃったりするのである。
    まわりも、本人ですら「たいしたことない」と思い込んでいた事が後々の人生を左右する。
    怖いですよね。
    他人の発言に一見親切のようでも悪意がこもっていたり、親から子へも密着している分悪い影響もあたえるかもしれない。
    ...この世は呪いで満ちている(笑)

    逆にいい呪詛というのもある。
    自信に満ちた人はいい呪詛を自分でもかけて、悪い呪詛を早め早めに自分でなんとか抜いているのだろう、とは田房さんの弁。

    いわゆる自己肯定感が低い人、必読。

    オカルトものでも単純なダイエットものでもないので注意。

  • 田房さんと言えば、「毒親」問題。
    本著はその親や育った環境由来の呪縛とダイエットの関わりを分かりやすく説いてくれる。

    偶然だが、NHKの「あさイチ」で母親からの呪いの言葉【あなたは幸せになれない】を受けた女性について、華丸大吉さんが寄せた「厄落とし」発言がツイッター界隈で話題となっていたところ。

    そんな親からは、離れれば解決と望みたいところだが、「呪い」からの解放はなかなか難しい。無意識のなかに入り込んでいるからなあ。

    田房さんは、なぜ食べ過ぎるのか、なぜ自分の望む体型を目指す気持ちになれないのかを探っていく。

    そこには、私なんてどうせ…という、自らの意志で選択し行動するに自分は値しないという、自分への過小評価があることに次第に気づいていく。

    生い立ちの中で、親の意思に振り回され続けたこと、親から受けた恥辱や恐怖感などで、学習してしまった認知バイアスこそが、「呪い」なのだろうと感じた。

    著作中、田房さんが困りごとを母方の複数の叔母に相談した際、実は叔母たちにも翻弄されていたことに気づく記述がある。

    救ってもらえる、分かってくれるはずと手を伸ばした先の親戚が傷に塩を塗り込んでいて、相談者としては不適当というのは私も同じだった。

    「毒親」問題の背景には、親自身の発達障害やパーソナリティの問題等があることが殆どであると、水島広子医師の著書【「毒親」の正体】で読んだばかり。遺伝学上親類にもその傾向は否めないのだろうと推察できる。

    親の衝動性、易怒性、感情の不安定なコントロール、また他者への低い共感性や想像力は程度が異なれど、私の叔母たちも問題を抱えていた。

    後半部分から田房さんは、様々な療法によって自己分析を試みている。

    だが個人的には不確かでエビデンスがまだ充分ではないものも多いので、まずは王道の標準治療から入ったほうがいいのではないかと感じた。

    いわゆる「毒親」に発達の問題がある場合、私もだが強迫的思考によって、考えの切り替えが苦手だ。

    他の見方が出来ず、突っ走ってしまう傾向があることがある。いくつかの療法を探し求める根底には、そうした傾向があるのかなと感じた。

    不安も強いので、こうした精神世界的なものに依存したいという部分もあるのかな。

    私も家を出た20代は過食気味で一気に太った。
    寂しかった。心細かった。それで空虚を何かで埋めたかったんだな。

    ゆっくり味わう。食べたいものを好きな人と食べる。
    私も呪縛から厄落としをして、幸せになろうっと。

  • この本を本屋で見つけて、買おうかどうかかなり迷ってしまった。
    今まで何冊か田房永子さんのマンガを読んできて、もう大体の事は出尽くしたのかな・・・、似たような内容なんだろうな・・・と思いつつ・・・
    田房永子さんのマンガは加藤諦三さんの本のように、しばらくすると何故か読みたくなる。
    同じ悩みを抱えている私にとっては何となく中毒性のある本だと思う。

    今回は自分の容姿・・・主にダイエットについて外側からだけでなく、心から改善して痩せた体験談を綴った内容。
    読んでいて意外だったのは、以前読んだマンガに出てたゲシュタルト療法の際に、実は夫にキレる事よりも今回の食べるのをやめられない事の方が悩みだったということ。
    第三者の私からすれば、警察を呼ぶほどの事態になった、夫にキレる方が深刻な気がするけど、それだけご本人にとって痩せること、食べるのがやめられない事は深刻な悩みだったんだな・・・と思った。

    今回、田房さんは内面的な事に関してはヒプノ、ゲシュタルト療法、精神科・・・といった所で相談したり、ワークを受け、身体の方で言えば、ネットでお得なクーポンの使える様々なトレーニングやヨガ、エステに行っている。
    自分を変えたいってただ思うだけでなくて、実際にこんなに行動するなんて・・・本当にすごいと思う。
    その中では失敗に近いようなものもあるけど、それにもメゲずに色々試しているのが素晴らしい!
    だから変われたんだなって思って尊敬した。

    内面的な事に関してはやはり、母親だけでなく、母方の女性たちが関係していた。
    その人たちは自分の内面にあるものを全く気付いてなくて、そのまま生きていってこの生涯を全うするんだろうな・・・と思う。
    そういう人にこそ、人を傷つけないようにするために心のワークが必要だと思うのに。

    今回、ヒプノのワークで、田房さんが足軽の姿を見たというのがユニークだな~と思った。
    普通、扉というと、西洋風のものをイメージする人が多いと思うけど・・・。
    私の中には全くないイメージなので、そういうイメージもあるんだな~と、何だか新鮮だった。

  • 呪詛抜きダイエット。田房永子先生の著書。自分の醜さが気になってネガティブになってしまう。それが学校生活や社会生活、人間関係にも悪影響を与えてますますネガティブになる悪循環。同じような悩み、経験がある女性は少なくないはず。とても参考になる一冊です。

  • 自分と向き合う力がすごい

  • これまた恐ろしい話し。毒親だけでなく、ばあちゃん、叔母さん、皆で寄ってたかって、永子さんを追いんで行く。こんな状況は、脱するしかない。

  • 自分に対するネガティブな思い込みや強迫観念のせいでダイエットに無意識に抵抗していた著者が
    精神科医の問診や各種のセラピー、ヨガ、エステなどで自分を肯定しダイエットできるようになるまで。
    様々な民間セラピーは怪しいものも多く、それらの体験談としても面白い。

  • 『母がしんどい』の田房永子さんのコミックエッセイをまた読んでみました。普通のダイエット本とは一線を画し、思い込みをはずすことでやせてゆこうとするどちらかというと精神的な本です。読んでてめちゃくちゃ共感できる部分が沢山ありました。作者が必死に自分と向き合いながら一進一退している姿に胸が痛くなりました。誰もみなそれぞれに合った美しさがありそれを肯定していいんだって思えました^^

  • 太ってはいなくてもみんなそれぞれ気にしている部分がある。自分の見られたくない、指摘されたくないコンプレックスを煮詰めた部分を呪詛の言葉から解き放ち、元気にしていくために田房さんが奮闘した本。
    きっと呪詛って誰でもかけられている社会問題なんだろうなと思った。

    田房さんのお母さんやお祖母さん、叔母さんからの言葉はその時代の人には割とよくある言い回しだなと思った。私もよく「○○なんてみっともない」とか「○○は(ネガティブワード)だからねえ」みたいな言い方をよくされていた。プラス、年齢や属性を追加して「いい歳して」「女の子なのに」が加わった呪いの言葉を刻印されて生きてきたように思う。
    恐ろしいことだけど、当時はそれを呪詛とも捉えていなかった気がする。だってみんながそういう話し方していたから、自分もその価値観に合わせよう、こういう言い方されないようにみっともなくならないように生きようと思っていただけだった。

    今は人を馬鹿にしたりおちょくったりする言い方をあまりよくないとする風潮があるので、いい方向になってるなと思う。
    でもきっと私の中にも成仏しきれなかった呪詛の言葉が眠ってるんだろうな。ゲシュタルト療法でもいってみようかしら。

    あとセンター試験の用紙をくれない先生、最低。忘れたことに対し、失敗をリカバーさせるのではなく、辱めたり困らせたりして反省させる訳の分からない指導があった。昔はこういうやり方が一般的だったけど、こんなの指導でもなんでもない。本当に百害あって一利なし。傷ついた田房さんの気持ち、よくわかると思った。

  • エイコさんの色々な体験を追うことで、自分を癒すことができた。

    自分も、鏡や写真を見るのが昔から苦手だが、子供時代からの呪詛(地味でなければいけない、自惚れは悪、ブスでいろ、だから恋愛なんてしてはいけない等)を、母親や友人、そして自分自身から植え付けられていたことに気づいた。

    学生の頃までは、エイコさんと同じく自分を守るために呪詛はある程度必要だったと思うが、もう30代。
    誰かじゃなく、自分が気にいる自分になるように、これからはいい呪詛を植えて自分を労わろうと考えることができた。

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著者プロフィール

1978年東京都生まれ。漫画家、エッセイスト。武蔵野美術大学短期大学部美術科卒業後、漫画家デビュー。2001年第3回アックス新人漫画賞佳作受賞。2012年、母との確執による葛藤を描いたコミックエッセイ『母がしんどい』(KADOKAWA/中経出版)を刊行。そのほかの著書に『しんどい母から逃げる!!』(小学館)、『キレる私をやめたい』(竹書房)、『ママだって、人間』『お母さんみたいな母親にはなりたくないのに』(共に河出書房新社)、『大黒柱妻の日常』(MDNコーポレーション)などがある。

「2021年 『なぜ親はうるさいのか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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