いとしい服 ようふくとわたしのはなし

  • 大和書房 (2024年12月7日発売)
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本 ・本 (240ページ) / ISBN・EAN: 9784479671268

作品紹介・あらすじ

服のはなしは、いとおしい! 服が好きなあなたへ。
わすれられない服、憧れの服、
今日の服、明日の服ーー
どんなときも、
自分がうれしいもの、かわいいものが
心を守ってくれる。

「子どもの時から、
わたしのそばでうたったり守ったりしてくれていた、
いとしい服のことを書いてみました」

しみじみとあたたかくなる、
絵と文で綴るエッセイ集。

感想・レビュー・書評

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  • おーなり由子さんのお洋服愛と、洋服にまつわる家族や友人との思い出の話。
    こんな風に一つ一つの服を大事に見つめてきたことってないなぁと思う。挿し絵もかわいくて、素敵な一冊だった。

  • あまり期待して読んだわけではないのだが(すみません…)、とってもいい本だった。幼い頃母が着せてくれた服、少女時代一生懸命おしゃれしていた頃の記憶が思い出され、生地の手触り、色、その服を着たときの高揚感などで幸福感に包まれた。不器用な私も、何回か自分で服を縫ったことがある。そんな時、家政科出身の母も加わり、ほとんど夜なべして作り上げたワンピース。もうその服は手元にはないけれど、母と一緒に作って楽しかったなという思い出が温かく私を包んでくれた。そんなこと、すっかり忘れていたのに。

    エピソード一つ一つが温かく愛おしい。「おしゃれセット」のアクセサリーを全部つける3歳。おじいちゃんが「ええがな、ええがな、お姫様にでもなってるつもりやろ」と助け船。入学式で着たレモン色のシフォンブラウス。大学の時に初めて買ったピーコート。好きな人と遠く離れて、たまにしか会えないから、一緒の時間を思い出してもらうときに空色の思い出となるように空色のワンピースを縫う。なんて感性!ウエディングドレスを縫うためのたっぷりのシルクタフタ。家に生地を置いているだけで、ひかる雲みたいに美しい。しっとりしていて、ハリもあって、サラサラ。お母さんの洋裁教室の人たちが変わるがわる裾をまつり、結婚をみんなで楽しんでいるしあわせな風景。お母さんが作ってくれた赤いワンピースみたいなコート。軽くて、ふわりと羽織れる理想のコート、世界のどこにも売っていないコート。(私も大学生の時に、赤いダッフルコートを制服みたいに着てたことを思い出した。) 「生まれて初めてタータンチェックに出会う新鮮さ」という一文で、あっという間に記憶が呼び覚まされた。赤いタータンチェックの巻きスカートとお揃いのマフラー。5年生の時に母に買ってもらって、大人になってもずっと着てた。「白は、夏よりも冬に着たくなる」同感!分厚い黒タイツに、真っ白いコットンのギャザーパンツや、スカート。ネイビーに合わせると、キリッとした白、シルバーグレイに合わせると、優しい白。どちらも、空気が透き通る冬の景色にいて、きれい。金魚の尾ひれみたいなフレンチスリーブの赤いブラウス。色は記憶になって残るーー。

    おーなり由子さんといえば、漫画雑誌「りぼん」に載っていたことを覚えてるような覚えてないような。絵が平坦でのっぺりしていて全然可愛くない!(本当に失礼だな…)と思っていたのだが、今のイラストはとっても好き。美術大学に通ってたんだ、どうりで色の表現や組み合わせが素敵だわ。
    さくらももこさんとのエピソードがすごくすごくよかった。「わたしさ、いつ死んでもいいの。明日死んでも平気。ほんっとにそうなの」ときっぱり言う横顔。ももこさんの達観した、今日生きてることが奇跡で、明日生きてるとは限らないことを、心の芯に持って生きてるような感じ。当時りぼんを読んでいた小学生だった私が、水沢めぐみ、柊あおい、さくらももことおーなりさんの4人がそろってご飯を食べたり、絵を描いたり、好きな人のことを話していたりしていたなんて知ったら、そこに参加したくなっちゃう。なんか、いいな。

    思いのほか、長文になってしまった。本当にいろんなことを温かく、懐かしく思い出させてくれた本でした。

  • 洋服にまつわるエッセイ。

    イラストもかわいいし、内容もおしゃれについて書かれていて、こころあたたかくなる内容でした。

    お母さんが洋裁をされているそうで、
    服を縫ってもらった思い出が何度も出てきます。

    あまりにあたたかく、輝かしい思い出ばかりなので、
    なんかちょっと、うらやましいなと思ってしまいました。

    おしゃれな人は小さいときから、おしゃれなのかな。
    私もおしゃれなマダムになりたい。

  • おーなりさんの小さい頃から現在までの服(着るもの・着てたもの)にまつわるエッセイ。洋裁が得意なおかあさんの存在は大きい。昭和のおかあさんは、洋裁する人、多かったような気がする。エッセイに添えられたカラーの挿絵が良かった。

  • やっぱり、おーなり由子さんすきだ!
    あったかくて心がふるえる。
    初めて作った青いスカート。
    どきどきしながら買った白スカート。
    バルーンスカートの頃もあったね。
    今はチュールスカート気分。

  • おーなり由子さんの、小さいときから大人になるまでの思い出の服のおはなし。お母さんは洋裁ができ、よく作ってもらっていたようです。
    そんなお母さんのもとで育ったからなのか服に対しての知識も豊富で、こだわりも強い。

    お友達の服がとにかく気になる。
    作ってもらった服の着心地にうっとりする感じ。
    作ってもらったのに何か違うくて悔しい。
    お気に入りの服がもう着れなくなった悲しみ。
    だいすきな服をきてわくわくする感じ。

    あまり服にはこだわりがないわたしでも、似た思いを持ってたんだなあと気付かされました。いまだに忘れられない子どものときの服や靴もあります。

    今後は、もう少し自分の『すき』な服にこだわっていきたいな。そう思わせてくれた作品でした。

  • さくらももこさんのエッセイでお見かけしてた方のエッセイ集
    たしかりぼんの漫画家さんだった 漫画は読んだこと無いけど特徴的なペンネームで覚えてた

    私は服に全く興味がない欠陥人間なので用語とか全然わからないのだけど可愛らしいイラスト付きなのでイメージ出来て助かった

    さくら氏との蜜月期のエピもあり
    うんうん 若い時はこうだよねーと自分の大学生時代を懐かしく思い出せて嬉しくなれた

  • 働いてると、仕事用の服ばかり選んでしまう。好みとかより、服装規定に合うか?が大事で。家ではもう、オシャレじゃなくても、2軍3軍の服を何も考えずに着倒して…。おーなり由子さんの絵とお話は、久々に私にオシャレする楽しさを思い出させてくれた。ありがとう♫

  • 作者の小さい頃の母親に作ってもらった服の思い出から学生の頃の憧れの服や子供ができた時のままならない服など、愛おしい服にまつわるお話しの数々…
    読みながら自分の服の思い出も鮮やかに蘇る
    何を着ようかな?と楽しめる事ができる幸せを知った

  • 作者の洋服にまつわる記憶力の高さに感動。子どもの頃からファッションに興味とセンスがあったんだろうなぁ。
    ワクワクして読んで、流行りの服をきるとか、TPOに合わせるとかではなく、のんびり自由におしゃれを楽しみたいと思わされた。

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著者プロフィール

おーなり 由子(おーなり ゆうこ)
絵本作家、漫画家。主な作品に『ことばのかたち』『ラブレター』『あかちゃんがわらうから』『どしゃぶり』『ワニのガルド』、翻訳に『たいせつなあなたへ あなたがうまれるまでのこと』『ごはんのじかん』『おにいちゃんといもうと』など。漫画に『あこがれくじら』『ともだちパズル』『てのひら童話』ほか。エッセイ、詩集に『きれいな色とことば』『だんだんおかあさんになっていく』『ひらがな暦 三六六日の絵ことば歳時記』など多数。

「2023年 『幸福な質問 New Edition』 で使われていた紹介文から引用しています。」

おーなり由子の作品

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