- Amazon.co.jp ・本 (238ページ)
- / ISBN・EAN: 9784479681625
作品紹介・あらすじ
もしかしたら、明日、彼はいないかもしれない、かつて恋に傷つき愛を失った二人の男女が出会ったとき、静かに生まれた新しいときめき。その繊細な切ない想いの先にあるものは…?透明な悲しみに満ちた、極上の恋愛小説。
感想・レビュー・書評
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2020
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話が結構好き。
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<font color="999999">「何してるの?」<BR>「見てごらん」<BR> 水際に、ほのかな緑色の光の粒が浮かび上がる。また手で水を叩くと、光の粒が揺れていた。蛍のように。<BR>「夜光虫だよ。星屑が海に落ちて夜光虫になったんだ」<BR> その美しさに、私は何度も何度も叩いた。ぼうっといくつもの光が放たれては、消えていく。寄せる波に微かな光の余韻を残しながら。私は海に入っていった。そして、胸くらいの深さで、両手を広げて仰向けに浮かんだ。ワンピースと背中の間に海の水が流れ込む。<BR>「伊久子!」<BR> 黒崎が驚いて私の名を呼ぶ。呼び捨てにされて、泣きたくなった。星空が落ちてきそう。私も星屑のひとつだった。<BR> 黒崎も同じように海に仰向けになった。何も言わずに、言おうとしていることを胸の奥に引き戻そうとしているのがよくわかった。そして、私たちは海の中で抱きあった。選べるのよ、選べるのよ、何度も自分に言い聞かせながら。</font><BR><BR>マミーセレクト第2段。これよかったなぁーなかなか。恋愛の本質は「切なさ」なんじゃないかと。思うぐらい、切なかった。恋愛ねー・・・(何)人生と人生の関わり合いですか。人恋しくなりますなぁ。ふはは。ちょっと違うか(笑)”すれ違ったからこそ、確かに繋がり合える”とか、”自分が求めているものを持っている男女は、惹かれ合うんだけど、このメカニズムは罠があって、そもそも求めるものが歪んでるから、幸福になれない”とか、この著者、ぜったい恋愛偏差値高そうw そんな、6つの短編。最初の「星屑海岸」が綺麗で好きかな。何か、「喪失感」とか、そういうのテーマにしてる作品って結構引っ掛かちゃうんだよな。(20060523)