世界7大教育法に学ぶ才能あふれる子の育て方 最高の教科書

  • 大和書房
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感想 : 18
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  • Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784479784746

感想・レビュー・書評

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  • 本書の「おわりに」はこうはじまる。

    「テストで高得点を取ることを”勝ち”とするならば、大量の課題をこなす能力と忍耐力、そして与えられた課題に疑問を抱かない力が有利に働きます。この3条件を持つ人が、日本の受験システムの”勝ち組”になりやすい」

    こういった考え方には、「受験の弊害」が叫ばれたり「一定の効用」といった意見を見聞きする。多くの人が教育を享受してきた経験があるため、みな一家言ある。正解があるわけではないのだ。

    その正解がない教育のメインストリームにある、従来の教育(少しずつ変えようとはしているようだが・・・)とは異なるアプローチをとる「オルタナティブ教育」と呼ばれる海外発の教育について本書は紹介してくれる。

    世界2大教育法と呼ばれるモンテッソーリ教育、シュタイナー教育と、それらに加えてレッジョ・エミリア教育、ドルトンプラン教育、サドベリー教育、フレネ教育、イエナプラン教育という5つの教育法が取り上げられる。

    モンテッソーリとシュタイナーの名前くらいは聞いたことある、くらいだったので、様々な教育法の名前を見て、こんなに色々あるのか・・と思っていた。ところが、本書を読み終えてみると、それぞれの教育法は考案者や発祥地、時期、細かな思想の違いこそあれ、子どもの興味関心を大切にし、自由と裁量を与え、大人と子どもの関係ではなく対等な関係として接することなど、共通している点が多く感じられた。それぞれの教育法は既存教育の「オルタナティブ」として登場してきているので、「既存教育にない教育方針」という点で一致しているのかもしれない。

    既存の教育方針の批判ばかりしていても仕方ないが、このモデルが構築された時代背景と今日の子どもたちが置かれている時代背景が大きく異なる以上、教育方針も変わっていかなくてはならない。しかしながら、著者であるおおたとしまさ氏も「本書を著す中で得た私にとってのいちばんの発見は、今と100年前とを比べても、教育者の嘆きや問題意識が恐ろしいほどに変わっていないという事実です」と語っているように、そう簡単にはいかないようだ。

    本書で紹介されるオルタナティブ教育が掲げる教育方針(子どもの自立、協調、感性、平等性、自由、民主的な学校運営などの重視)は、言葉としてはとても美しく、素晴らしい理念だ。これらを学校という限られたコミュニティーの中だけでも実現させるためには、教師をはじめとした学校運営者の並々ならぬ情熱と努力のおかげで運営されてていることは間違い。

    一度、学校というコミュニティの外に出れば、子どもたちは、これらの輝かしい理念と矛盾する事態に出会い、葛藤していくことになる。その時、挫けることなく、自分の頭で考えて生きていけるような子どもを育てることが重要だし、それは決して子どもだけではなく、大人にも共通して言えることなのだろう。

    子どものためだけではなく、むしろ大人にこそ、本書で紹介されている「オルタナティブ教育」の考え方は気づきを与え、日常の思考様式を問うチャンスを与えてくれる。こう書いていて、「世界はもっと豊かだし、人はもっと優しい」という、森達也氏の言葉を思い出した。大人でも(大人こそ?)、本当に自分が何にが好きなのか、興味があるのかわからなない人もいるだろう。他者への想像力を欠き、協調性の低い人もいる。子どもだから、大人だからということではなく、社会を構成する一員として充実した人生をおくるために、何が必要なのかと逆算してくると、「オルタナティブ教育」が提示する考え方は重要になってくるのかもしれない。

  • モンテッソーリ以外はミリ知らだったのでカルチャーショックが激しかった。

  • 世界各国の教育方法が書いてあり、参考になった。
    自由とは何か。正解を求めるのではなく、問いを持ち続けてほしい。命令じゃなく、自発的に。子どもたちが決めたルール。
    教師として少しずつ取り入れて行きたいと思う。

  • ○○教育法についての解説書。決して「育て方」の教科書ではない。■モンテッソーリ教育。最近の主流な考え方だと思う。モンテッソーリ教育をしてます、という人ではなくても実践している人は多いのではないか。子どものありのままの行動を尊重し、大人は環境を整えることが役割。■シュタイナー教育。理念としては理解できるものの、実践となるとスピリチュアルな世界になって、ちょっと尻込み。哲学的だけれど「幸せってなんですか?どうやったらなれますか?」と問いかける。■レッジョ・エミリア教育。芸術的観点が入っているのが好き。文化を楽しむことって幸せに繋がると思うし、創造力も高められると思う。■ドルトンプラン教育。合理的な学習方法という感じ。勉強がよくできる・好きな子には合いそう。■サドベリー教育。自由すぎて怖い。サドベリー教育の先生も言っているように「合わない子にはしんどい。教育に正解はないが、その子に合う教育はきっとある」。難しいね。■フレネ教育。教科学習と手仕事、個人と集団のバランスのとれた教育技術。家庭でも教育現場でも部分的に意識して取り入れることができそうな感じ。■イエナプラン教育。正直、フレネ教育とそれほど違いがわからなかった。というか、ここまで読み進めて、もうおなかいっぱい。■いろいろな教育法があるけど、基本的には「自立した大人に育てる」という根本は同じような気がする。逆に、その教育法での失敗事例もあれば、合う子・合わない子の性質が見えて参考になるんじゃないか。

  • ▶︎複数の国で有名な教育法
    ・モンテッソーリ
    認定制度があり、学校の質の確認がしやすい。
    個人の集中した活動に重きを置く。
    気がすむまで繰り返し、生活動作ができるようになることから生じる自身の心の満足を通して、他の人のことも認めることのできる心の余裕を育てる。
    ・シュタイナー
    ミヒャエル・エンデの「モモ」的世界観。
    科学万能主義へのアンチテーゼ。自然の中で、正解のない活動をする。複数人での活動が多い。

    ▶︎学校教育のあり方に主眼を置いた教育法
    ・レッジョ・エミリア(イタリア発祥、幼児教育)
    認定が無く、各学校の先生次第
    協働に重きを置く。プロジェクトベースの活動を行い、先生が計画・実行・修正などの全体の流れを資料に書いて張り出す。
    ・ドルトンプラン(アメリカ発祥、幼小中高)
    個別に課題を進めていくのが特徴
    ・サドベリー(アメリカ発祥、幼小中高)
    自由と自治を追求した学校スタイルが特徴
    読み書き算盤も強制しない
    ・フレネ(フランス発祥、小中高)
    ・イエナプラン(ドイツ発祥、オランダで発展、小中高)

    これらは、オルタナティブ教育、プログレッシブ教育、とよばれている。
    「産業革命以降の、工場で働かせるのに都合がいい人材を効率よく製造するための画一教育」では無い、というニュアンス。

    「全ての子について◯◯教育法が良い」ということはない。

  • 世界の教育法を学ぶ初級編として、最適。
    広く浅くだが、俯瞰的に知ることができると思う。

  • モンテッソーリ、レッジョエミリアは興味があるが、シュタイナーは精神世界の理解が難しく都会のど真ん中に住んでいる我が家では取り入れることは難しいと思った。

    ドルトンは本を読む前は一番興味を持っていたが、のびのび個性を伸ばすというより、ゴールに向かってのやり方は各自に任せる合理的な教育法のように感じた。

  • 創始者の名前
    モンテッソーリ
    シュタイナー 独特な世界観
    フレネ    フランス田舎

    地名
    レッジョエミリア
    ドルトン  ちょっとマイナスイメージ
    サドベリー 自由と自治を追求
    イエナ   オランダに多い


    いろんなオルタナティブ教育があることがわかった。

    正解のない世の中どんな力が必要?
    自分にない能力を持つ人たちとチームを組んで協働できる力。
    どんな教育を受けようとも、いっしょに働きたいと思われる人になることが大事。

  • イエナプラン、覚えておこう。
    あとがきがよかった。
    子どもには教えずに見守る。
    あたりまえから解放される
    自分を生かせる場所を見つける
    自分にはない能力を持つ人を認めて協働できる人になる

  • いろいろな教育があることを知りました。それぞれの生い立ちから、教育方針などの概要や学校の雰囲気などが理解でき、自身の子育てにも非常に参考になりました。

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著者プロフィール

おおたとしまさ:教育ジャーナリスト。1973年東京生まれ。リクルートで雑誌編集に携わり、2005年に独立後、数々の育児・教育誌のデスク・監修・企画・編集を務め、現在は教育に関する書籍執筆および新聞・雑誌・webメディアへの寄稿を行う。テレビ・ラジオなどへの出演や講演も多数。心理カウンセラーとしての活動経験、中高の教員免許、私立小学校での教員経験もある。著書は『ルポ名門校』(ちくま新書)、『勇者たちの中学受験』(大和書房)、『不登校でも学べる』(集英社新書)など80冊以上。オフィシャルサイト:http://toshimasaota.jp


「2024年 『学校に染まるな!』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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