ゆっくり、いそげ ~カフェからはじめる人を手段化しない経済~

著者 : 影山知明
  • 大和書房 (2015年3月21日発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784479794707

作品紹介・あらすじ

JR中央線・乗降者数最下位の西国分寺駅-そこで全国1位のカフェをつくった著者が挑戦する、"理想と現実"を両立させる経済の形。

ゆっくり、いそげ ~カフェからはじめる人を手段化しない経済~の感想・レビュー・書評

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  • “成算があったわけではないが、いまだ価値を認められていない「何か」を形にし、世にそっと差し出そうとする表現者としてのその姿勢が、クルミドコーヒーの来し方重なる思いもあったし、一見頼りなさげに見える二人の中に見え隠れする「それでもこの一点だけは貫き通す」というような芯、その「弱いのに強い」感じにも惹かれ、応援したい気持ちになってしまったのだ”

    “まだ世の中に評価の定まらない仕事であったとしても、それを受け止め、価値を見出してくれる「受け手」のあることが「贈り手」の背中を押す。仕事の主の勇気になる。受け取ってくれる人の笑顔が「贈る」ことの喜びを教えてくれる”

    “自分の日々は、数多くの他社の仕事によって支えられている。その状況は何ら変わっていないはずなのに、僕らの周囲から仕事の主の気配はどんどん消えていく。そしてあたかも自分は、自分一人の力によって日々を成り立たせているかのように錯覚する”

  • 資本主義、経済至上主義のど真ん中で闘うでもなく、そこから下りて原始的な生活を送るでもなく。顔が見える、でもある程度の規模の特定多数のコミュニティの中で、無理なく経済を循環させていく。すごく共感できる考え方。
    人と人との関係性についても、ムラ社会的な不自由な共生ではなく、自己責任が問われる、自由な孤立でもなく。自由で、でも共生していく、そんな関係性が当たり前になったらいいなぁ。

  • クルミドコーヒーに通いたくなる。クルミドコーヒーのような溜まりば作りたい。

  • 東京は西国分寺にある大好きなカフェ、クルミドコーヒー。そこのオーナーである影山さんの本。
    クルミが食べ放題で、木を基調にした家具やステンドガラスあとても居心地よくて、よく通っていた。学生時分で、1杯650円のコーヒーは決して安くはなかったが、それでも1杯200円のコーヒーチェーン店を通りすぎて、度々通ったものだ。クルミドの夕べでは、影山さんとフランクにディスカッションしたこともある。

    大好きなカフェの裏側、経営者の考え方は、とても興味深いものだった。
    お客さんの「消費者的人格」(少しでも得をしよう、という考え)を刺激しないような工夫。
    お客さんに「こんないいものを提供してもらったのに自分が支払った対価は安い」と前向きな「負債感」を感じさせることが、友人への口コミ、ブログへの紹介など次へと「贈る気持ち」につながる。

    経営、経済なんてこ難しいと思っていたが、とても面白く、自分の今の仕事にさえ繋がる部分があった。お金が全てではないが、ボランティアとは違う双方が笑顔になれて、そして回っていく仕組み。
    おもしろい、おもしろい。

    ゆっくり、いそげ。
    今年のテーマはこれでいこう。

    ————————————

    「ゆっくりいそげ(フェスティナ・レンテ)」

    ぼくは常々、この中間がいいなと思ってきた。お金がすべてという発想に与するものではまったくないが、一方で便利さも求めたいし、贅沢だってしたいこともある。売上や利益は、自分の仕事に対する社会からの評価だ。新しい技術やアイデアで世の中が劇的に変化していく様子にワクワクするし、競争は自分を高める貴重な機会とも考える。

    ビジネスとスローの間をいくもの。
    「ゆっくりいそげ」。
    AかBか、ではなく、どっちも。

  • 奇麗事言ってる、と感じる向きもあるかもしれないが、ここまでしっかり考えられた奇麗事を論じる人はそういない。影山さんのマッキンゼー時代とクルミドコーヒーを始めてからの、なんというか、蓄積が感じられた。

    例えば、数年前までマーケティングの部署にいた頃は、如何に顧客のテイクのスイッチを押すことを考えていた。ある商品を買うとこんな良いことがありますよと、如何に刺さるメッセージを刺さる顧客層に届けるにはどうしたら良いかとばかり考えていた。

    しかし、仕事が終わって同僚と飲みに行くときには違うことを考えている。この商品はこんなにお得だというコミュニケーションではなく、もっと共感が得られるようなコミュニケーションを心がける。毎日多くの時間を過ごす人達と、お互いを利用しあう関係にはなりたくないからだ。

    できれば、同僚とも顧客とも近所の人とも、価値観を共有する関係でありたい。そう思いながら、これが仕事だからしょうがないと諦めている人が多いのだろうけど、影山さんは西国分寺でそれを実現している。そのことに少しでも励まされたら、この本を読んだ価値があるというものだろう。

  • 利己と利他の中間、お金だけを重視しない価値観・働き方は大変理解できるし、著者の実績があるので信用もできる。のだが、どうしても今の私はまだ心の底から本書に共感することができない。それは、今の私がまだ「私」をこれ以上、外に広げることができない小さい人間だからなのかもしれないし、やっぱり本書の内容が間違ってるからかもしれない。
    ただ、私はまだ「私」のことしか考えられない未熟者であるかもしれないことを気づかせてくれた事実だけでも、私にとっては本書は読む価値のある一冊だったことは間違いない。

  • 次回の #インクワ望月ゼミ 用に @mimimizuho さんが選書した『ゆっくり、いそげ』西国分寺にあるクルミドコーヒーでの実践を通じた心温まる経済書であり、哲学書。利潤と生産性の追及に帰結しがちな資本主義が唯一の解ではないかもしれない。その可能性を感じられる

  • ◯特定多数間での複雑な価値のキャッチボールを成り立たせるためには、多くの場合、身体性を伴う直接で密度の濃いコミュニケーションが必須だということだ。(39p)

    ◯どんな仕事にも、それを現実のものとしてくれている「贈り手」の存在がある。その仕事/ギブを受け取りました、いただきました、ありがとう、とお金を渡すのだ。(125p)

    ◯存在を傾けた、手間ひまのかかった仕事をちゃんとすること。そしてその仕事を受け取ってくださった方に、時間をかけてちゃんと寄り添い続けること。(227p)

    ★特定の人の間で直接やり取りできるなら、お金で表せない価値も成り立つ。手間ひまをかけた仕事をギブしあう関係。AIの時代には当たり前になるだろうか。

  • 健全な負債感、効率を求めない考え方、ギブから入る、常に損得勘定しないというのは大事。

  • Festina lente フェスティナ・レンテ

    https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E3%82%86%E3%81%A3%E3%81%8F%E3%82%8A%E6%80%A5%E3%81%92

    タイトルは、水泳の北島選手のコーチ平井さんの言葉『勇気を持ってゆっくり行け』から。

    先日お邪魔したクルミドコーヒーの店長さんの経済に関する本。

    経済とは、経世済民=世をおさめ、民をすくうという中国の古典に登場する言葉。

    なぜ、長野県東御市のクルミなのか?
    そしてそのクルミをめぐってつながることの意味。
    しかもそれが身体性をともなうコミュニケーションであること。身体性であることでただのつながりではなくなる。

    やはり同じ時間を過ごすことに意味があるんだろうな。

    まわりをいかす→まわりにいかしてもらう→自分をいかす

    交換を不等価にする→等価では、ただの交換になってしまう。それではそこで完結してしまう
    次につながらない

    P68モースの『贈与論』と現代社会の『自由』なミクスチュアに、経済社会の持続可能な形が見えてくる

    P97一番の敵は、虚無。
    現代社会でシステム化が徹底すると、人は考えなくなる。システムの要請に沿って決められたように振る舞うことしかしなくなる
    自分の中のファンタージェンはしぼんでいく。
    救うのは『新しい名前をつけること』
    それは主観的行為

    会社もボランティア組織ではないか?
    ①自発性~自分ゴト 自ら課題をみつけ、率先して挑戦
    働いているのは、誰かに言われたからではない
    ②公共性~働きは他者にむかっている 人をよろこばせることが自分のよろこび
    ③無償性~お金のためではなく


    支援し合う関係性~ギブの動機から始める交換
    本)『利他性の経済学』舘岡康雄著
    管理=自己中心の行動様式
    支援=相手中心の行動様式

    朝モヤ~話すことより聞くこと、違いを楽しむこと

    関係性を育てる 関係性によって育つ

    他人と共に自由に生きる

    P208書物の一冊一冊は、時の流れのなかで、我々が加えた解釈がこびりついています。我々はシェイクスピアが書いたように読みません。したがって我々のシェイクスピアは、書かれた当時に読まれたシェイクスピアよりずっと豊かなんです。
    傑作は最初から傑作なのではなく、傑作になってゆくんです。(『もうすぐ絶滅するという紙の書物についてbyウンベルt・エーコ&ジャン・クロード・カリエール対談集)

    ビジネスの世界では、時間は敵 コスト増になるから

    仕事の正体は時間

    利益とは何か?
    誰にとっての利益か?

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