スタンフォードのストレスを力に変える教科書

  • 大和書房
4.06
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  • Amazon.co.jp ・本 (342ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784479794967

作品紹介・あらすじ

「逆境から成長する力」を手に入れる。ストレスを避けるのではなく、受け入れてうまく付き合っていくことでレジリエンスが身につく。「思い込み」を変えることで「身体の反応」を変え、「選択」までも変えてしまう一生役立つ実践的ガイドブック。

感想・レビュー・書評

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  • あなたは、ストレスについて簡潔に表すとしたら、どちらの表現がしっくりきますか?

    a. ストレスは健康に悪いから、なるべく避けたりして管理する必要がある。

    b. ストレスは役に立つから、なるべく受け入れて、うまく付き合っていく必要がある。


    --
    本書のタイトルを受けて、この質問をされたら、わけ知り顔で「b!」と答える人もいるだろうが、a.bどちらを答えた人でも、「よりよく生きること」「自己をコントロールしたい」思いのある人には一読の価値ある一冊である。


    1998年にアメリカの3万人の成人を対象に行われた調査結果が、本書の発端になっている。
    「強度のストレスを受け」且つ「ストレスを悪いものと認識していた」グループの死亡リスクは、
    「強度のストレスをもっていない」グループより43%も高まっていた。
    が、「強度のストレスを受け」ながらも「ストレスを悪いものと認識していなかった」グループにはなぜか死亡リスクの上昇は見られなかった、という。

    ストレスそのものが悪なのではない。ストレスをどう脳が受け止めるかで、私たちの体への影響は違ってくる。新しい知見である。

    様々な研究結果が、従来の「ストレスは悪!」「ストレスは避けるべき」からの転換を示してきて、著者も当初戸惑いを覚える。
    その後試行錯誤している様子も本書では描かれていて好印象。

    本の形をとっているが、いうなれば「ストレスの新しい科学」新しい認識の視座であり、「マインドセット」の集中講座ともいえる。

    私も個人的に思うところと共感があり、読むべきタイミングに読めた感慨が深い。

    問いに対し、考え、答えながら、思考を重ね自分を知る。
    ストレスは必ずしも忌避するものではなく、その本質を知ることで、見えてくる新しい世界がある。

    経験の話になるが、過去強い圧迫を受けながらも、なぜか大きな達成感を覚えた瞬間が多くの人にあると思う。あの充実感の正体と、ストレスと上手く付き合う術について、本書では解きほぐす努力がされている。

    複数のエクササイズを通じて、旧来のストレス観を脱していく取り組み。まだまだストレスをとりまく研究には未知がありそうだが、現時点でやれるかぎりのことをしたいものである。本書も反復を心がけたい

  • 面白かった。ストレスが悪ではないというのは言葉ではわかってたけど、色々なケースが記されていて参考になった。ひとつは、登山家が強いストレスを受けても「なんでこんな目に」とは思わないでしょう、と言う話。個人的にすごく腹に落ちた。
    理解が浅いかもだけど、要はなんでストレス感じてるか意識しろってことなのよね。そうして、それが自分の価値観や目標のためなら成長につながると。そう思えたら心身に良い影響が出ると。でもそのためには自分が何の道を進んでるのかわかってないといけないわけで、そこはなかなか鍛錬が必要なところなのです。
    あとは逆境に意味を見い出し、逆境から成長するということ。苦しみや痛みはみんなも自分と同じだということ、回復のストーリーを書いてみること…すっごく深くて、中二病の私には難しいぜ。でもすごく為になりました。

  • 2022.4
    「ストレスは健康に悪い」と心配し、ストレスのせいで病気になるのを恐れているが、問題はストレスではなく、その考え方であることを、いくつかの研究結果を通して書かれている。
    そして、ストレスの考え方しだいで、人々の健康や寿命、幸福感、人生に対する満足度が左右される。
    この本の後半では「ストレスを力に変えるエクササイズ」が紹介されており、ストレスをポジティブなものとして捉えるためのマインドセットも行える。

    マインドセットの方法自体は、知っているものもあったけど、その根拠(研究事例)までは知らなかったので今までの知識と結びつく感じで読めて面白かった。

  • 良本。

    ストレスを解消したり消滅させたりするのは不可能だから、ストレスを受け入れて、むしろストレスを原動力にしちゃおう、というお話。

    「ストレスを力に変えるためのエクササイズ」が各章にちょこちょこと盛り込まれていて、内省好きなわたしとしては非常に有効的だった。ただ読んで終わるのでなく、能動的に自分の過去の経験を絡めて理解をすすめられるので、より身体に浸透する感覚がある。

    最近は1冊を1日でサクッと読んでしまう傾向があったけど、これはじっくり1週間ほどかけて上記エクササイズをやりながら読み進めた。出逢えて良かった本。

  • ストレスに関する思い違いが明らかになった。ちゃんと大々的に教えて欲しかった!かと言ってストレスが楽になる訳でもないのですが、どげんかせんとね という構えは出来るな。と。

  • ★きっかけ
    元同期のK氏よりオススメされた。

    ★感想
    読む前までは、ストレスを感じたらこんなメンタルで頑張って乗り越えれば良い!
    的な話かと思っていたら、ストレスを感じるとホルモンが出て、そのホルモンは考え方次第でポジティブ要素に転じると始まり、複数の実験事例が紹介されて「ストレスは役に立つもの」と納得した。

    「不安と興奮は紙一重」とあり、ストレスを感じた時に出るアドレナリンを、ストレスだ〜嫌だ〜と不安ととるか、心臓がたくさん動いて血が巡って体が応援してくれてると興奮ととるか、の話はなるほどなーと感じた。

    また自分の価値観を脅かされるとストレスを感じること。だからストレスを感じたら価値観を思い出してみるといい。
    これにも納得!
    最近自分の価値観探しにめでたくゴールを迎えたので、早速自分の価値観を指輪に刻んで装着!
    ストレス対策だけでなく、お守りがわりになって心が穏やかでいられてます。

    ストレスを感じることで自分のことがさらに知れること、体が力を作ってくれていること、利用すれば成長できることがよく分かりました。

    またストレス感じる生活に戻ったら読んでみようー

  • 4年以上も積読していた本書を、今日1日で一気に読む。
    これはストレスは体に悪いと思っていた自分にとって衝撃的な内容だった。
    十分にマインドセットへの介入がされたと感じる。
    ストレスは自分のパフォーマンスを出す為に体と心が支援してくれているのだ。そう思うことでいろいろと気持ちが楽になるのが音を立てて感じられる。
    ストレス反応には闘争・逃走反応だけでなく、チャレンジ反応、思いやり絆反応があり、心の持ちようでいずれも選択できるし、また、体に現れる反応も変わってくるとは驚き。
    ストレスを味方につけてこれから生きていきたい。

  • オーディオブックで読了。
    最初に言っておきます。

    <b>「この本は絶対に読むべき」</b>

    この本は「ストレスに関するマインドセット介入実験」について述べられていて、それがどれ程の影響を我々の人生に与えるかをかなり説得力のある根拠と共に提示されている。

    僕はこの本を読んだとき「もっと早く読むべきだった」と後悔したし、僕がこれまで切り抜けてきたいくつかの「強烈なストレス環境」に価値を見いだすことができ、救われた気持ちになった。(この本の内容がすっと入ってきたのは、辛い経験の中から得たものがあることを実感として持っているからだと思う)

    ストレスと言えば「闘争逃走反応」のイメージが強いが、他にも色々な反応があり、それぞれに身体に起こる反応が変わってくる。

    <blockquote>ストレス反応にはいくつかの典型的な種類があり、各反応によって体に起こる生物学的な変化が異なるため、ストレスへの対処方法もそれぞれ異なります。

    たとえば「チャレンジ反応」が起こると、自信が強まり、進んで行動を起こし、経験から学ぼうとします。

    いっぽう「思いやり・絆反応」が起こると、勇気が強まり、進んで人の世話をし、社会的な関係を強化します。

    </blockquote>

    これらを知っている必要はないが、辛い・悲しい出来事から僕らが何かを得たという実感の中身を、この本は教えてくれる。今後、強いストレスにさらされた時の態度を、ある程度は選択できるようになるかもしれない。(以前、仕事で死ぬほど辛かったとき、上司が「面白くなってきた」と言っていたのは強がりでは無かったのかも知れない)

    この本自体がひとつのマインドセット介入であるので、この本を読んでストレスに対する考え方に変化を生じさせることができれば、それは人生における最高の臭覚になるかも知れない点を改めて強調しておきたい。この本は、絶対に読むべきだ。

  • 「ストレス」=「悪いもの」という等式を疑い、人間の成長にとっては必要な時もある、またはストレスにもよいものもあるという考えに沿って、展開していく本。

    前半のPART1では、1章でストレスは受け取る側の心理が大きく影響することを指摘し、2章ではストレスが悪者とされた歴史的経緯とストレス反応は1種類ではないことを指摘している。また、「闘争・逃避反応」のメリット・デメリットの指摘と、他の反応として「チャレンジ反応」「思いやり・絆反応」はつながりを強化することを指摘している。3章は、忙しさなどのストレスが役立っている例を紹介している。

    後半のPART2では、4章で「向き合う」として、「脅威反応」を「チャレンジ反応」に変えることや手段に変えることの大切さを説いている。5章の「つながる」では、特に女性がストレスを感じると話をしながら共有する例などを示しながら、ストレスがむしろ人間のつながりを強める働きがあることを、災害時などに赤の他人を助けることなどを通じて指摘している。6章では「成長する」として、つらい経験を成長に生かすように考えることができるようにと説いている。

    ストレスとストレス反応が動物実験等で悪者にされてから1世紀あまり経っているが、よくよく考えてみるとストレスの良い面・悪い面、反応の良い面・悪い面がある。これらを考えることもまた重要であると思わされた1冊だった。

  • レジリエンスについて、解説、事例紹介、研究成果の紹介。研究の具体例が多い、多すぎて食傷気味。だんだん研究事例の結果が予想できるようになる。
    事例が多いことは理解を助けるが、複数回読み返す時は、ポイントのみに絞りたくなる。読みながら付箋やマーカーで記しておけば良かったかも。こういう場合、ダイヤモンド社の編集だと、ポイントと事例が分かりやすくまとめてあって分かりやすくなってるなぁ、と感じた。
    途中で、考え方や効果についてアドラー心理学と共通点が多いことに気づいた。

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著者プロフィール

スタンフォード大学でヨーガ、心理学、健康な背骨のためのクラスなどで教える受賞指導者。心身科学や健康運動のリーダーであり、ヨガ、フィットネス、ヘルスケア専門家のための教育やティーチャートレーニングに貢献している。『International Journal of Yoga Therapy』の編集長であり、『YogaJournal』や『IDEA Fitness Journal』などに記事を頻繁に執筆している。
マクゴニガルのウェブサイト:http://www.kellymcgoniga.com

「2014年 『ケリー・マクゴニガルの痛みを癒すヨーガ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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