会社はあなたを育ててくれない 「機会」と「時間」をつくり出す働きかたのデザイン
- 大和書房 (2024年11月23日発売)
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感想 : 52件
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Amazon.co.jp ・本 (304ページ) / ISBN・EAN: 9784479798125
作品紹介・あらすじ
「このままでいいのだろうかー」。
社会人としての今後の成長や人生の幸福度を考えたとき、ふと不安になる若手社会人に送る、キャリア・デザインの入門書!
「ゆるい職場」を提唱するなど、次世代社会のキャリア形成などの研究で実績を持ちメディアでも人気の著者が、最新のデータとメソッドを網羅し、令和という新たな時代に最適化したリアルなキャリア論を提示しました。
「ゆるい職場」が広がる現在の労働社会は、働く個人にとっては“すべてが自分しだい”という、実はとてもシビアな環境でもあります。
ここ十年における日本の労働社会のあり方は、劇的に変化しています。転職や副業が一般的になり、趣味やボランティアなどの社外におけるコミュニティも多様化し、社会から求められる個人の役割も様変わりしている中で、終身雇用で一つの会社で働きあげることが普通だった時代のキャリア・デザイン(だけで)は、今の時代に通用しません。
漠とした不安や焦りを生み出している社会の状況や個人に求められている考え方や行動のありかたを可視化し、私たちがどのようにキャリア(働きかた、生きていき方)をデザインし、具体的に思考しアクションを起こしていけばよいのかを、2000人を超える20代社会人への調査や各種最新データをもとに提示します。
20代の若手社員はもちろん、就活生や30-40代の中堅社員、また若手社員と相対する管理職層。経営職層にも必読の一冊!
AIがまとめたこの本の要点
この本を表す言葉
みんなの感想まとめ
現代の労働環境におけるキャリア形成の重要性を考察した一冊です。著者は、変化する社会において、会社が個人の成長をサポートする役割が減少していることを指摘し、自己成長のための選択と行動が求められることを強...
感想・レビュー・書評
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教育や育成とは、本質的にアンビバレントな営みだ。「鋳型」に嵌めて基礎を身につけさせながら、いつかはその「鋳型」を壊し、独創せよと求める。しかし会社組織においては、まず「鋳型=育成の理想モデル」に適合し、前例通りに効率的なサイクルを回せる人材であることが重視される。ところが近年、この「鋳型」の押し付けが多様性と相反するという問題が顕在化してきた。その結果、「鋳型を用いて人を育てること自体が難しい組織」という、新たな課題が浮き彫りになっている。
鋳型がなければ、育成は標準化されず、場当たり的で属人的になる。一方で、鋳型だけに依存すれば、硬直的で創造性に乏しくなる。結局のところ理想は、鋳型を共有しつつ多様性や創造性を許容し、最終的に独創へ至ることなのだろう。「守破離」という言葉が示す通り。
本書は、まさにこの矛盾と葛藤を正面から解きほぐそうとする。会社はあなたを育ててくれない。しかし、育ててほしいという気持ちは消えない。放っておかないでほしい、だが押し付けないでほしい—— そんな相反する感情が、現代の働き手の内面にあることを言語化する。
転職が普遍化した社会では、「ソリが合わなければ辞める」という選択に至る。その結果、「その会社特有の技能」を教えること、教わること自体を無駄だと感じやすくなる。我慢して覚えようとする「忍耐の境界線」は、いまどこに引かれているのか。そして今後、その線はどちらの側に動くだろうか。
本書が指摘するのは、ゆるい職場における「可処分時間」の問題。何かに我慢できないのであれば、自分を育てる責任は自分自身に帰属する。その可処分時間をどう使うかによって、個人間の差は決定的に広がっていくのが現代。
自分を支配できない者は、他人に支配される。合理的な判断や自己決定ができなければ、誰かの誘導に従属することになる。その従属の装置として「鋳型」は機能してきた面がある。しかし同時に、その鋳型は前例主義に縛られ、柔軟性を欠き、時代遅れになりつつあるのも事実。答えの多くは上司や組織に聞かずとも、インターネットやAIの中に転がっている。育成の理想モデル自体が、日々更新され続けていく。
だからこそ本書は、鋳型に従うか壊すかという二者択一ではなく「自分で自分を育てる覚悟」を読者に突きつける。で、最後の方に、陽明学の開祖である王陽明による「事上磨錬」を引用する。知識や道理を頭で理解するだけでなく、実際の行動や現場で実践しながら心を鍛える実践によって学ぼうという思想。儒教的な上下関係よりも個人の内面を重視し、伝統的秩序とも衝突する陽明学を引く、というのは中々。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
私自身、最早会社が自分のために成長の機会をくれるとは思ってはいないが、後進のためにこのままではダメだとも思っているので、進言するためのヒントになればと思ってこの本を読んでみた。
時代の変化に伴い制度や法律が変わってきたことでプライベートの自由という観点では得るものも増えてきたけど、当然代わりに失ったものだってある。それが仕事におけるキャリアなんだろう。
おそらく私たちのような労働者が望んで得た労働環境なのだろうが巡り巡って今の若者たちに物足りなさを感じさせてしまっているのかもしれない。
私たちが自由を手に入れた反面、会社側は労働者の教育のために割く時間が減り、積極的に関わろうとしなくなった。今、私たち自身が選択し、可処分時間を有効活用しなければ自己成長は望めないのだ。
昔と比べれば本当に選択肢は増えたし、自分で選ぶことができる環境も整っているけど、その分自分にのしかかっている責任の重さも大きくなっていることを忘れてはいけない。 -
働き方改革により「ゆるく」なった労働環境下で、いかに充実したキャリアを積み上げていくかを、体系的に示した本。
心に響いた文章を以下に記載。
・「キャリアの成功は心理的成功である」(プロテアン・キャリア)
・外を知っているからやめるのではなく、外を知らないから辞める(コミットメント・シフトの文脈)
・職場で高いパフォーマンスを発揮し、様々なアクションを起こしている若手ほど不安感が強い。自分が行動を起こすことで見える範囲が広がり、自分の至らなさが認識されるからでしょう。(ダニングクルーガー効果)
・頑張っている仕事が自分にとって「近道」なのか「寄り道」なのか、考えて組み合わせながら安定させていく -
近道と寄り道
コミットメントシフト(少しずつ転職する)
→ボランティアや副業
やりたいこと探しより寄り道
スモールステップに意味づけが重要 -
『なぜ若手を育てるのは今。。。』の著者の本。
内容としては前作をベースとしてよりHOW TOに近くなった感じ。
前作の方が面白くはあったが、HOW TOを知りたい人にはこっちの方がいいのかな。
変わらず、内容としては、
社会が変わり、会社にいる時間が減り、学ぶ場は減った。その帰った後の時間を、どう使うかが、問われてますよ。という話。 -
在籍している会社が所謂「ゆるい職場」で。
自分は、このままでいいのか?この仕事を続けていて自分は成長できるのか?と悩み続けているけど、だらだら転職活動もせず仕事を続けている。
このことに対してマイナスな気持ちしか無かったけど、「ポジティブな変化」であるとあり、少し気持ちが楽になった。
そして、先輩たちの声のような欄で、自分と同じようなマインドで仕事をしている人の声があって嬉しかった。
"色んなものを犠牲にして頑張っても得られるものはそれほどない"
わかる〜〜〜〜〜!!!
会社が育ててくれないということで、上手く時間を見つけて自分の興味のある分野の勉強をしてみようかな。 -
面白かった、自分のキャリアを自分で切り開いていくために、寄り道と近道を同じくらいの分量で行うこと、まずはスモールステップから始めること、環境を変えるとしても少しずつやってみるのが良いのだろうと、なんとなく読んでいてイメージが掴めた、絶賛キャリア迷子中だったので、とても参考になり、いざ、大きくキャリア変えたいとなった時にまた読みたい
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現代と現在の状況に合わせたキャリア形成のあり方、考え方
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若手社会人が自分自身でキャリアプランを築いていくにあたり、重要な気付きを得て正しく努力する助けとなるようなコーチをしてくれる本。
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今の時代、企業は人を育てなくなった
といよりは、育てる体力も時間もなくなった
労働者も多様化され、企業に依存することはやめ、自らの価値観により判断する
ただ、すべての人が自身の価値観を明確に持っているわけではなく、まだまだ企業に依存している人も多い、この裂け目にハマってしまっている人は、自ら行動に移していかないとどんどんと深みにハマっていくしかなくなる…
如何に、成長の「機会」と「時間」を自らつくり出すか、知恵を絞らないとダメな時代になってきた -
部分的に最近参加した『アラフィフ向け黄昏研修』の内容と被っており復習にもなった
関連投稿しました✒✨️
シリーズ黄昏研修@大企業会社員の憂い -
現代の働き方についての分析がわかりやすい。
そのうえでどうしていくか、小さなことから記載されているので「大きな労力が必要だな」というプレッシャーみたいなのは感じられず、取り組みやすいと思った。 -
労働時間が減ったからその分の時間を何に使うんじゃいという話
労働基準法のもと、労働時間には天井があるから残りの時間で副業なり自己研鑽なりして自分の価値観に照らした安定したキャリアを自己決定しなさいという、話
正しいけど普通にしんどい時もある
新卒の私が欲しかった言葉がたくさんある
途中のキャリア論は全体的に結果論すぎてちょっと笑ってしまった
なんとでも言えるやん、解決の糸口は何もなかった -
会社が育ててくれない、ということはないが、ゆるい職場が増えているため、以前よりも成長しづらくなっている。加えてキャリアの自立性が求められるようになっているので、自律的に成長していく必要がある。
会社としては、育てた人材が辞めてしまうことがリスクではあるが、ハイパーメンバーシップとして緩くつながっていくことで緩和できる可能性がある。
これまでのように会社の仕事に全部賭けるということはなくなっていくだろうが、とはいえ時期を限ってはその選択肢も有効である場合もある。
昔から言われていることではあったが、近年は労働者側が強くなっているので、文脈が変わってきている感がある。良いことなのだろうとは思うが、会社側・労働者側のどちらにとっても大変な時代になった。 -
読んだきっかけ
以前新聞で紹介されており、今後のキャリア形成に不安を持っていたことから読んでみました。
概要
現代の日本社会では、社会情勢の変化により労働時間が減少し、相対的に会社が社員を育てる時間及び余裕が減少。
自分自身で主体的にキャリア形成を行なっていくには、寄り道(スモールステップ、コミットメントシフト)と近道(キャリアキャンペーン、センシング)を意識して行動することが重要。
詳細
• キャリア形成に関する選択の機会が多様化。会社で経験を積めば自ずとキャリアが形成される時代ではなくなり、職場の仕事以外での自発的な経験やスキルがキャリア形成及び転職等に影響してくる。
• 現代の若手社会人は、自分が良いと思うものを仕事にしたいという「ありのままでいたい」という気持ちと、社会から良いと思われる仕事をしたいという「早く何者かになりたい」という矛盾した気持ちを抱えている。従来のように単一の会社内で組織文化に染まる戦略は取りづらくなっている。
• 「なにものか」になるのは、職場の心理的安全性、キャリア安全性、仕事の質的な負荷が必要。他方、「あるがまま」でいるためには、フィットした労働環境、ライフキャリアへの支援、自身が大切にしているものに対する相互理解、が必要。
• いわゆる「1万時間の法則」は、労働環境の改善が進んだ現代日本社会では後ろ倒しになっている。こうした状況下において、新たな戦略は①空間投資(外と内のバランスをずらして投資)、②段階的投資(小さく次々と投資する)、③並行的投資(同様に様々な投資をする)が基本方針となる。
• キャリアを切り開いていく観点として、スモールステップという概念がある。情報よりも、今の自分の環境でできる行動をとる方が有効。特に、業務上接点のない人との交流やコミュニティへの参加などがキャリア展望に対して正の相関関係を持つことが分かっている。具体的なスモールステップとして、①自分のやりたいことをアウトプットする、②背中を押してもらう、③目的を持って探ってみる、④試しにやってみる、⑤体験を自分のものにする(行為の意味づけを行う)方法があり、特に⑤が重要で他者からの視点も入るとより正確な意味づけになる。
• 漠然とWill(キャリアにおける目標等)を持つより、探索者として行動に出ながらWillを見つけていく方が良い。その際言い訳を作っておくと良い(家から近いから、誘われたから、など)。
• ライフキャリア全体と経歴の部分部分を無理に結びつける必要はない。キャリアは同時並行的に作られる。キャリアの仮面を複数持つ。仮面が多い方がキャリアの満足度が高い。
• 無理に仕事を楽しむ必要はない。熱意だけに依存しないキャリア自律もある。
• 会社とゆるくつながるハイパーメンバーシップ型組織戦略を提唱。会社としても、ためてしまっても引き続き関係を持ち、再度戻って仕事をしてもらうことを期待できるメリットもある。
• 一気に転職するのではなく、副業、兼業、ボランティアなどを通じて徐々にコミットメントを移していく方法の方が、転職後の総合的な満足度が高い。
• 職場内の気になる人や人事と意見交換するなど会社との対話もキャリアアップのきっかけとなり得る。
• 選択的在職という考え方もある。やめない理由は、可視・不可視の要素と、待っていても得られる・獲得する必要がある要素の組合せでカテゴライズされる。不可視かつ獲得して得られるもの(経験・機会、ロールモデルの存在、社内コミュニティ等)が特に希少性が高く、この要素を重視して就職した方がその後のキャリア満足度が高い。
• 今後のキャリア形成は、元に戻らない環境変化を、絶対に必要な1万時間にどう生かすか、が命題となる。その生かし方として、①小さく始める(スモールステップ)、②同時多発的に作る(キャリア・キャンペーン)、③意味づける(センシング)、④ずらしてつくる(コミットメントシフト)、が挙げられる。
• スモールステップ:今の環境でできるアクション、ゴールを明確にする、代理指標を見つける(取り組みに効果があることを証明する具体的な指標、読んだ本の冊数や相談できる人の数など)、情報を遮断する、動機を見つけるために体験から始める。
• キャリア・キャンペーン:時空間(いつから始まっていつ終わったか、それはどこか)、価値(何が大事だったか)、キャラクター(どんな自分だったか)の要素でキャンペーンを(再)発見する。自分にとってアウェイのフィールドを意識する。場合によってはあるキャンペーンの割合を下げる戦略も存在する。
• 意味づける(センシング):意味づけパートナーをアサインして過去の仕事の内面的な意味づけ(誰の役に立ったか、どんな人が関係したか、どんな価値を発揮したか)を行う。外部からのアドバイスを取り入れる。過去の経験の意味はその都度変わる。
• ずらしてつくる(コミットメントシフト):気持ち・時間・お金のポートフォリオをつくる。各キャンペーンが自身の気持ち等に占める割合を書き出してみる。
• 様々な場の経験をしながら、過去の経験の意味を変えて最低努力量との差を縮める(近道)、小さく始める、ずらして変えることで偶発性を担保する(寄り道)の二つのバランスをとりながらキャリア形成を図っていく。
感想
自分は既に中堅層にいるが、今の仕事の仕方でこの先自分が納得するキャリアを築いていけるだろうか、と不安に思っていたところ、筆者が提唱している近道と寄り道のキャリア形成はわかりやすく理論的なのでとても興味深かった。スモールステップやコミットメントシフトの取り組みは早速取り入れてみたい。
他方、近道の打ち手であるキャンペーンやセンシングは、専門的な知見や経験の獲得短縮にどれほど効果があるのか、一度読んだ限りでは納得しきれなかった。やはり専門的スキルの獲得には、負荷をかけた状態で一定期間走りきる経験が必要なのかもしれない。それこそ近道はないのだろう。
転職が当たり前の時代、自分自身が何を重視して、あるいは目標にしてキャリアを築いていきたいのか、そのために今とるべき選択肢は何か、日常に忙殺される中ではあるが、常に頭の片隅で考えながら行動していきたい。 -
企業に依存せず、自ら機会と時間を生み出しスモールステップで成長する「自律型キャリア」のすすめ。
若手のキャリア観や「ありのまま/なにものか」問題にも言及し、現代的な働き方・学び方を多様な事例で解き明かしています。 -
キャリア研究者が書いた、現代の労働環境の解説と、若年労働者に向けたキャリアデザイン論の提唱。
代表的なキャリア理論の解説もあり、著者の研究内容やインタビューも掲載されていて、堅実な本だなーという印象です。
キャリア本というと、「※個人の考え方です」と但し書きのつきそうなものから色々あるので、自分に合ったものか確認して読んだ方が良いです。
この本では、現代の労働環境の特徴を下記として
・選択の機会が増加
・ゆるい職場の登場
後戻りしない環境の中でどうやって安定したキャリアを築いていくか、を考えていく本です。
現代で安定したキャリアを築くために必要なのは、以下2つの要素として
・ゆるい職場で、いかに「その分野の専門性」を身につけていくか。
・視野や経験を広げる「偶然性」を、いかに確保するか。
これらをどう獲得していくかが解説されています。
面白かったのは、「キャリアの仮面」と「コミットメントシフト」です。
・キャリアの仮面 …職業生活において役割や集団に合わせて仮面を使い分けることを肯定する価値観。20代で最も高く年代が上がるほど低下。兼業、副業という働き方を超えて、アイデンティティの在り方も変わってきてるんだなーと感じました。SNSアカウントだけの話じゃないんだなと。
・コメットメントシフト …兼業、副業やバイトを経由して少しずつ別の会社へ関わり、徐々にコミットメントを移していくことでキャリアチェンジする戦略。ひとつの会社に100%ではなく、複数の会社のそれぞれのコミット割合を変化させていくというのが、そんな考え方もあるんだなーと思いました。
イマドキの価値観や環境、キャリア戦略などが読めて面白かったです。
若年層の方には、同年代のインタビューや今後のキャリア戦略など、良い刺激になると思います。
人事関係者や、若手の育成に関わる管理職の人も読んで損はないと思います。
著者プロフィール
古屋星斗の作品
