荘子と遊ぶ 禅的思考の源流へ (筑摩選書 3)

著者 :
  • 筑摩書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480015020

作品紹介・あらすじ

『荘子』はすこぶる面白い。読んでいると、世の中の「常識」という桎梏から解放される。二千年以上前から伝わるこの本は、今に生きる「心の自由」のための哲学なのだ。そしてその思想は、禅の考え方にも深く沁み込んでいる。…あらゆる価値や尺度からまったき自由を獲得した稀代の思想家の、非常識で魅力的な言語世界を味わい、「遊」の世界へ読者をいざなう。

感想・レビュー・書評

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  • 月刊「ちくま」に、「『むふふ』の人」のタイトルで連載されていたもの。関西弁でスクワットばっかりしてる荘周が現代の日本にやってきて、ぽよぽよと機嫌のいい混沌王子とアパートで貧乏暮らし。そこは看板のない動物の整体院。近所に庵を結ぶ宗久さんは、彼らと交流しながら、あれこれと考え続けるのでした。玄侑さんが長年、愛読しつづける荘子。禅との関連を、寓話の手法で軽やかに語ります。おもしろかった。

  • NHKの100分で名著で、荘子について とてもわかりやすく説明されてました。これを読んで 理解が深まりました

    中公クラシックスの荘子も すぐ ネットで購入しました

  • 呼べども答えず

    P17
    「むふふ」とは、どんな集団とも
    徒党を組まず、
    あらゆる枠組みから自由な荘子の嗤いである

    P140
    「知る者は言わず、言うものは知らず」(老子)

    P154
    「不測に立ちて無有に遊ぶ」

    P164
    「たまたま得る」

  • エッセイ風小説で荘子を解説している本。
    荘子の思想が現代に落とし込まれていて、読みやすい。

  • (2015.11.10読了)(2015.10.29借入)
    副題「禅的思考の源流へ」
    荘周さんを現代日本に呼び出して、玄侑宗久と遊んでいます。玄侑さんは、非常に楽しそうですが、読んでる僕には、何がどう楽しいのかちっともわかりません。残念です。
    副題に「禅的思考の源流へ」とあるように、荘子の考え方がインドから伝わってきた仏教の経典を翻訳する際にかなり入り込んでいるのではないか、というのが、この本のテーマのようです。従って、荘子そのものの考え方について知りたい方は、ほかの本に当たったほうがよさそうです。もちろん、荘子そのものの考え方の紹介もしてないわけではないので、この本を読んじゃいけないというわけではないのですが。
    仏教の座禅の考え方には、荘子の考え方に通じるところがあるようです。
    『荘子 内篇』だけ読んで、そのあとこの本を読んで、『荘子』は終わりにしようと思ったのですが、『荘子』は物語性があって、非常に面白いということなので、いつの日か、「外篇」「雑篇」にも取り組んでみたいと思います。

    【目次】
    序章 「むずむず」からの旅立ち
    第一章 荘子と禅の接近
    第二章 坐忘と心斎
    第三章 夢みぬ人の夢
    第四章 道と徳、そして性と命
    第五章 禅的「無」の系譜
    第六章 渾沌王子、登場
    第七章 和して唱えず
    第八章 運りて積まず
    第九章 デクノボーと「ご神木」
    第十章 道は尿溺にあり
    第十一章 ビンボーと病気
    第十二章 詭弁の恵施
    第十三章 寂寥と風波、そして自適と自殺
    第十四章 不測に立ちて無有に遊ぶ
    第十五章 「待つ」ことはややこしい
    第十六章 運命を占うことの無意味
    第十七章 忘れてこそ道
    第十八章 明を以うる
    第十九章 孟子、見参
    第二十章 忠犬ナム
    第二十一章 自然と風化
    第二十二章 将らず迎えず
    第二十三章 逍遥遊
    終章 「むふふ」の人
    あとがき
    索引

    ●斉物論(22頁)
    天からみればすべては斉しく、そう見えないのは人間が自分を中心に据えた勝手な是非善悪を振りかざすからにすぎない。
    ●真人(40頁)
    真人は、寝ても夢をみず、覚めても憂いはなく、食べても旨いまずいを思わず、ひたすら呼吸は深い。
    ●病気(126頁)
    財産がないのが貧乏で、学問しても実践できないのを病気というんですよね。
    ●泥棒の道徳(153頁)
    俺たちにとっては、獲物のありかの検討をつけるのが聖の徳だ。真っ先に侵入するのが勇の徳だろ。そんでしんがりを守って引き上げるのが義の徳ってもんじゃねえか。進退を正しく見極めるのが智の徳だし、獲物を公平に山分けするのが仁だよ。この五つの徳を身につけずに大泥棒になった奴なんかいねえんだよ。
    ●無為自然(189頁)
    「至誠通天」という楽観はなく、天地はもっと非情で無心なものだと考える。いくら誠を尽くしても通じないのが「自然」であり、その自然に従うことこそ天地のように長久たりえる原理なのだ。

    ☆関連図書(既読)
    「孔子『論語』」佐久協著、NHK出版、2011.05.01
    「論語」貝塚茂樹著、講談社現代新書、1964.08.16
    「論語の読み方」山本七平著、祥伝社、1981.11.30
    「老子」蜂屋邦夫著、NHK出版、2013.05.01
    「老子」小川環樹訳、中公文庫、1997.03.18
    「タオ 老子」加島祥造著、筑摩書房、2000.03.25
    「孫子」湯浅邦弘著、NHK出版、2014.03.01
    「兵法・孫子」大橋武夫著、マネジメント社、1980.10.25
    「洪自誠『菜根譚』」湯浅邦弘著、NHK出版、2014.11.01
    「菜根譚」洪自誠著・今井宇三郎訳、ワイド版岩波文庫、1991.01.24
    「『荘子』」玄侑宗久著、NHK出版、2015.04.25
    「荘子 内篇」福永光司訳、朝日新聞社、1978.07.20
    「荘子物語」諸橋轍次著、講談社学術文庫、1988.10.10
    (2015年11月10日・記)
    (「BOOK」データベースより)amazon
    『荘子』はすこぶる面白い。読んでいると、世の中の「常識」という桎梏から解放される。二千年以上前から伝わるこの本は、今に生きる「心の自由」のための哲学なのだ。そしてその思想は、禅の考え方にも深く沁み込んでいる。…あらゆる価値や尺度からまったき自由を獲得した稀代の思想家の、非常識で魅力的な言語世界を味わい、「遊」の世界へ読者をいざなう。

  • 「もちまえ」「受身が修行」
    荘子をちゃんとよんでみないと! って感じだ

    老子、孟子、孔子 いろんな考え方を見てみないといけないな~と。

  • 後半息切れ?エンタメに徹しては如何

  • 2000年以上前から伝わる荘子。

     今に生きる人のためのこころの自由の哲学。



     著者が、今年は、兎年、なにか、地中からエネルギーが湧きおこる年と

     言っていたが、ほんとうに、いろんなことがおきてしまった。



     荘子には、両行という生き方がある。

  • 実は中学生の時から老荘には深く興味があり、しかし、読んでも読んでも分からず、それでも、いかにも知っているような顔をしていたのですが、この本を読んで、そうか、こういうアプローチをすると分かってくるのか、と、改めて本当に入り口に立たせてもらったような気がしました。玄侑さん、荘子が好きなんだな〜、ってとてもよくわかります。だから、伝わりやすい言葉で面白く読ませてもらいました。
    そうか、禅宗の源流はここにあるのか、いろいろな点で視野と心が広くなる一冊です。

  • 荘子の原文と解釈を著者玄侑宗久が岩波の過去の解釈を含めて禅的思考の源流に突き当たる。

    逸話を使って荘子と禅をからませて表現している:

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著者プロフィール

一九五六年福島県生まれ。慶應義塾大学中国文学科卒業。八三年、天龍寺専門道場入門。現在、臨済宗妙心寺派福聚寺住職。花園大学仏教学科および新潟薬科大学応用生命科学部客員教授。二〇〇一年「中陰の花」で芥川賞を、一四年「光の山」で芸術選奨文部科学大臣賞を受賞。著書に、『禅的生活』(ちくま新書)、『荘子と遊ぶ』(ちくま文庫)、『やがて死ぬけしき』(サンガ新書)、『竹林精舎』(朝日新聞出版)などがある。

「2020年 『なりゆきを生きる』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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