フロイト入門 (筑摩選書 123)

著者 :
  • 筑摩書房
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感想 : 12
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480016294

感想・レビュー・書評

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  • フロイトという名前だけは聞いたことのあるえらい人について、読んでみた。
    非常に難しく、半分程度も理解出来ていないのではないだろうか?
    最初の精神分析から治療の経緯と、その治療の為の研究がのちのち人類の哲学的思考に至り、現在の宗教批判に至るのは山間の泉から大河への旅立ちにすら匹敵する物語性を帯びていた。
    フロイトの万能ぷりと、残酷なまでの思考の深さには痺れた。
    しかも最後の方でキリスト教批判ときて、ドイツのユダヤ人嫌いへの考察とかも面白い。なおかつ、フロイト自身がユダヤ人とかもう説得力に拍車が掛かった。
    ベッドに寝かせ、手を当てて思いついたことを自らの口で言わせる治療法は凄く気持ちよさそう。
    コレはいつか可愛い女の子とやってみたい!
    ただし、法と道徳的観点に抵触せずに、あくまで知的好奇心の一環で。
    なお、自由連想法で回想をぶんせきし、その分析内容を納得させることで症状を解消させるため、納得がやはりかぎのようだ。
    しかも、女性はなかなか思った通りには動かないのはいつの世も常なので、根気よくやるひつようもありそう。

    また、子供のころには性欲が存在しており、それを忘れることも営みとして残されてる点や、幼少期の性的traumaが及ぼす悪影響には目を見張る物があった。
    人の無意識には、本人が御しきれぬものがあり、我思う故に我ありの科学的否定を意味してたり、読み応えはすごかたた。

  • 卒論で参考にしたい部分が丁度中盤くらいの章だったので、読み切るのを失念していた。ようやく読み終わりました。

    フロイトの著書は私にとっては難解なので、
    この本にかなり助けられた気がする。かなり噛み砕いて説明されていると思う(それでも難しいところは難しかったけれども)。

    フロイトの思想は私の興味にだいぶ寄り添ってくれることを、この本を通して知ることができた。ほかのフロイト関連書籍も読みつつ、こちらも何度も読みなおしたい。

  • 様々な学問分野に波及したフロイトの成果を知るに留まらず、幾多のモデル修正を重ねてきたフロイト思想のダイナミズムを感じることができ、とても面白かったです。

    特に第一局所論までは、理論の形成に至るまでのフロイトの格闘が症例と共に詳しく丁寧に書かれていて、非常に読み応えがありました。しかし第二局所論辺りからは、充実感は感じるもののやや教科書的になっているように感じました。また第二局所論から新たに導入されたエスについての説明が、自我•超自我に比べ乏しいように感じました。

    あと、欲を言えば巻末にでも読書案内が欲しかったです。

  • フロイトは何冊か読んだけれどあんまり体系立てて理解できていない気がしたので読んだ、いい整理になった

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/66715

  • 人が分からなくなって読んだ。読みにくくはないながらも、内容が多いだけになかなか読み終わらず。面白かった。

    フロイトの考えの変遷を、そう考えるに至ったフロイトの経験も交えて紹介している。フロイトは精神症の根底には性的欲望があることを想定しており、それを証明するための弁証をしている。
    無意識を提唱したのはフロイトであったが、無意識には普段は抑圧しているものが含まれているという提唱がなされている。

    夢分析の章はややしんどかったが、エディプスコンプレックスの章は面白かった。日常で出会う自罰的な人に対して、どこからこの罰意識はくるのだろうかと不思議であったが、フロイトによると、エディプスコンプレックスを克服した結果生じる超自我がこの罪悪感を生み出しているようだった。

    どんなに自分で考えた突飛な論でも、皆を納得させられるくらいに組み立てをつくれば世の中に広く残るものになるのだと思うようになった。

  • 精神分析の手法を応用して、思想から社会問題、宗教まで分析してみせたフロイト思想を紹介した本

  • こうしてフロイトの探求を時系列でたどってみると、無意識の概念の発明といい、画期的だとは思うのだけれど、やはりなんでも「エディプス・コンプレックス」に押し込めてしまうところは納得しがたい。自分はヨーロッパ育ちでもユダヤ教徒でもないからわからないが、そういった文化的背景を経由した人なら、「原父」(=唯一神?)の存在がひどく腑に落ちるのかもしれない。

  • 大学院の授業で発表する為に読みました。

    精神分析を軸にフロイトが展開した様々な主張とその背景を丁寧に解説しています。

    教科書で習った内容と一部矛盾していたり、
    取り扱われていない内容があったりと、
    やや期待していたものと一致しないところもありましたが、
    かなり勉強になりました。

  • フロイトの思想をていねいに解説している本です。

    筑摩書房からは他に、妙木浩之の同じタイトルの本が刊行されていますが、そちらはフロイトの思想の現代的な意義を取り出すという内容になっていたのに対し、本書はフロイト自身の思索の過程をていねいに追いかけて解説しています。

    精神分析という営みそのものに懐疑的な読者にとっても、フロイトの思想それ自体を知ることのできる、優れた入門書ではないかと思います。

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著者プロフィール

中山 元(なかやま・げん)
1949年生まれ。東京大学教養学部中退。思想家・翻訳家。著書に『思考の用語辞典』などが、訳書にカント『純粋理性批判』、ハイデガー『存在と時間』などがある。

「2022年 『道徳および立法の諸原理序説 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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