貧困の戦後史 (筑摩選書)

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  • 筑摩書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (343ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480016591

感想・レビュー・書評

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  •  戦後日本の「貧困」の変遷をそれぞれの時代に沿って具体的な事実を通して(できるだけ当事者性を重視して)まとめている。貧困者の生活・家計の実情が具体的にわかる同時代史料を多く引用しており、数字の羅列ではない「生きた」戦後生活史・都市社会史として情報量が非常に多い。他方、本書では直接の批判は抑えているが、一貫して貧困を生み、貧者を食い物にする市場・企業の飽くなき欲望や、開発主義と治安主義のもとで貧困者を排除するばかりの政治、貧困者への攻撃・バッシングに加担する多数派大衆の存在が通奏低音のように響く。著者は最後に貧困の責任を個人に引き受けさせる日本社会を変えるにはどうすればよいか自問しているが、それに対しては多数決原理から逃れられない議会制民主主義をやめて、反貧困の強い意志を持った政治集団が市場や大衆を制圧するジャコバン的独裁しかないと答えざるを得ない。

  • 東2法経図・開架 368.2A/I97h//K

  • 貧困問題の碩学が御年70歳にまとめた本書は、もしかしたら、著者のライフワークの集大成なのかもしれない。「下流老人」とか「ネカフェ難民」など現在の貧困に関する言説は多いが、戦後史として、より広い時間・世相がまとめられていて、読み応えがある。特に、貧困の「かたち」という言葉で示される、貧困状態にある人々の諸々の様相をリアルに扱っているところが興味深い。
    本文もさることながら、「あとがき」に味わいというか、著者の色々な感慨が詰まっている。

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著者プロフィール

日本女子大学名誉教授

「2018年 『高齢者に対する支援と介護保険制度[第4版]』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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