安倍vs.プーチン ――日ロ交渉はなぜ行き詰まったのか? (筑摩選書)

著者 :
  • 筑摩書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480017130

作品紹介・あらすじ

「北方領土」返還交渉はなぜ暗礁に乗り上げたのか? 日ロ首脳の交渉過程を検証し、どこで躓いたかを示す。日ロ交渉の現在、そして今後を考える上で必読の書!

感想・レビュー・書評

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  • 東2法経図・6F開架:319.1A/Ko58a//K

  • 「北方領土」問題の解決を外交上の重要課題に掲げた第二次安倍政権。日本政府が従来、繰り返し主張してきた四島返還から、歯舞、色丹の二島返還へ大きく方針転換しても、北方四島はロシア領との主張を崩さないプーチン大統領。ロシアはなぜ、日ソ共同宣言すら公然と踏みにじるようになったのか?安倍政権はロシアとの交渉の、どこで躓いたのか?そもそも「北方領土」問題はいつ、どのように生まれたのか?綿密な取材と膨大な資料により日ロ交渉の実態を明らかにした、迫真のドキュメント。
    子供の頃はここまでロシアが頑ななイメージがなかったような気がしていたので不思議に思っていたけれど、やっぱりその認識は正しかったのかと分かってすっきりしました。最近は天然ガスの資源などの関係もあり北方領土を日本に引き渡す可能性はほぼないだろうと他の本で読みましたが、それ以上に日本の外交政策は甘すぎる。米国との関係はもちろん大事だけれど、完全に他国から舐められている。佐藤優さんたちがいた頃の外務省の方が腰を据えて闘う覚悟があったように思える。一朝一夕には解決できない問題にしても、足掛かりとなるような進展を目指してどうにか頑張ってほしい。

  • 「サカナとヤクザ」「密漁の海で」に続いて北方領土関連本。

  • 安倍首相の北方領土問題についてのプーチン大統領との交渉、これが前半を占めている。ちょっと冗長に過ぎるような気もするぐらい。
    ただ後半部も含めると北方領土問題の歴史がしっかりまとめられていて勉強になる本。
    安倍は交渉打開のために1956年の日ソ共同宣言を拠り所とし、新しいアプローチというフレーズを口にしたが、それはロシア側に受け入れられることはなかった。制裁を科しながらの交渉は時に逆効果だった。
    そもそも北方領土とは神話であり、もともと日本も択捉と国後は南千島として認識していた。
    結局北方領土の主権を取り戻したとして、どうなるのか。その簡易的な予想もしており、結局はロシア系住民が多数を占める地域が生まれ、それがウクライナの東部やモルドバ東部のトランスニエストルのような地域になる危険性について述べている。

  •  特ダネや裏話というより、丁寧に事実を積み上げた良質の解説という感じ。著者が特派員出身のためか、日本国内の意思決定過程よりもロシア国内の動きに目を向ける。他方、日本国内の各社報道の比較は面白い。同じ新聞でも一面と社説で論調が180度食い違うことも含め、報道は各社や情報源のスタンスと無縁ではないということか。
     本書からは、実質的に2島返還に転向して前のめりな安倍政権に対し、ロシア側は一貫してそれすら応じる気がないことがよく分かる。安倍政権側がどう考えていたのかは本書からは分からないが、プーチンの真意を見誤ったのか、どこまで本気でロシア側と妥結できると考えていたのか。
     本書の後半は過去の経緯。東京宣言を経て2000年頃のプーチンは2島返還も含めて1956年宣言を履行する意図があったと窺えるが、2004-5年が転機だったと著者は指摘。更には、1950年代の日ソ国交正常化交渉では、日本側は2島返還を金科玉条とはしていなかった。それが日ソ共同宣言後に転回。そして1960年初には4島=固有の領土である北方領土という「神話」の完成、という表現を著者は使う。昔も今も共通するのが、双方にとって妥結が急務だった国交正常化交渉時を除き、ロシア側の意図を考えずか読み誤ってか、日本側の思惑だけで理屈を組み立てる姿だ。

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