アメリカ大統領と大統領図書館 (筑摩選書 283)

  • 筑摩書房 (2024年7月18日発売)
3.83
  • (3)
  • (5)
  • (3)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 117
感想 : 12
サイトに貼り付ける

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

Amazon.co.jp ・本 (304ページ) / ISBN・EAN: 9784480018021

作品紹介・あらすじ

アメリカ合衆国大統領の様々な記録やゆかりの品々を収集、保存、展示、提供する稀有な施設、それが大統領図書館だ。第31代ハーバート・フーバーから第43代ジョージ・W・ブッシュまで、全米各地に現存する全13館を訪れ、それぞれの大統領の知られざる横顔とともに紹介する。大統領資料をめぐる制度や現在の大統領図書館が抱える問題はもちろん、大恐慌、第二次世界大戦、ウォーターゲート事件、ベトナム戦争、ソ連と核軍縮、9・11……「その時、大統領は何を考えたか」を描く。アメリカ現代史とそれを彩る歴代大統領を知る格好の入門書。

みんなの感想まとめ

アメリカの大統領図書館について深く掘り下げた本作は、歴代大統領の知られざる側面や、彼らが直面した歴史的な出来事を描き出しています。各大統領の業績や問題を多角的に捉え、展示の内容が多様であることに驚かさ...

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 新聞の書評で本書のことを読み、手に取った。
    公文書を保管するというテーマは何となくイメージがあるけれど、自分にとっては未知の領域だ。
    アメリカの場合、「大統領図書館法」のもと、個別の大統領ごとに図書館があるという。
    (「大統領図書館」には、文書を保存・提供するアーカイブ部門と、展示などで紹介するミュージアム部門に分かれているそうだ。)

    現在13館あり、それが全米各地に散在する。
    集約されていないことに、びっくりした。
    そして、合衆国では「大統領図書館パスポート」なるものがあり、図書館廻りをしてスタンプを集める人達もいるとか。
    御朱印帳かいな、と思ったが、そんな風に人々に親しまれる施設でもあるのも驚きだ。
    ここだけで、日本とずいぶんあり方が違うと気づく。

    筆者もまた、13の図書館をすべて訪ねて本書を書いている。
    各大統領図書館ごとに、1章が充てられている。
    各章は、「大統領の来歴」と、「公文書と大統領図書館」「ミュージアム訪問」の3つのパートで成り立っている。
    非常に分かりやすい構成がいい。
    ジョンソン、フォードといった自分にはあまり馴染みのない大統領の事績をざっと知ることができるのも楽しい。

    最初に建てられた大統領図書館はFルーズベルト。
    六十年代以降(ケネディからカーターまで)になると、大統領図書館が建てられる前提で、就任時から組織的に記録が収集されるようになる。
    九十年代に入ると(レーガンからブッシュJrまで)、施設も巨大になり、デジタル資料も膨大になっていく。
    国の予算で運営できなくなり、それぞれの大統領財団の財力に依存し始め、公正な展示というより、支持者のための展示ではないかという様相を呈しているとも指摘されていた。

    また、公文書館の役割としても、だんだん問題がでてきているという話もあった。
    まず資料が膨大で、整理が追いつかず、利用者への提供が追いつかないこと。
    レーガンの時代に、現職大統領が公文書の公開制限権を持つよう大統領令が出されて以後、情報公開に制約が罹りやすくなったこと(オバマ政権で、大統領の非開示権を制限する大統領令が出されたりもしているが、今後どうなっていくのだろう)。

    オバマ大統領以降は、デジタルライブラリー化することになり、「大統領図書館」の時台は終わった。
    公文書をどう管理していくかは、本当に難しい問題をはらんでいるのだと気づかされる。

  •  ほぼ知らなかった大統領図書館について興味深かった。法で規定され国立公文書館の管轄下にありつつも、資金豊富な各大統領財団との関係。アーカイブ部門とミュージアム部門。国立公文書館が管轄するオバマ大統領図書館は作らないとの決定。他の大統領制の国がどうかは分からないが、少なくとも日本の首相とは全く異なる、米での大統領の位置づけを感じられる。
     展示のサブについては、基本的には各大統領を偉人扱いするのだろうが、原爆投下や赤狩りなどの政策判断を来場者に考えさせるトルーマン図書館、神格化を排したクリントン図書館など、思ったよりは多様なようだ。

  • ▼東京外国語大学附属図書館の所蔵状況(TUFS Library OPAC)https://www-lib.tufs.ac.jp/opac/recordID/catalog.bib/BD0789945X

  • 東2法経図・6F開架:018A/To83a//K

  • 朝日新聞2024928掲載 評者:酒井正(法政大学経済学部経済学科教授,社会保障論,労働経済学)

    日経新聞2024914掲載 評者:鈴木透(慶應義塾大学法学部教授,アジア系アメリカ文学,パブリックメモリー,映画研究,移民,etc)

  • ふむ

  • アメリカ大統領図書館を紹介した本。

    大統領の退任後、その人に関する記録やゆかりの品を集めて保存、整理、提供する施設が大統領図書館。英語では多くがLibrary and Museumという名称で、実際いわゆる図書館というよりはアーカイブとミュージアムを兼ねた施設の印象であるようだ。
    本書は、第13代フーバーから第43代ブッシュ(ジュニア)までの大統領について、その生い立ちや政治家としての事績を紹介した上で、その図書館を訪問したレポートを綴るという構成。国際政治に詳しくなくともアメリカ大統領の名前はなんとなく聞いたことがあるもので、何をした人だったのか、きちんと知るのは面白い。
    政治的立場は色々あるにせよ、一人の人間としては皆確実に卓越した人物で、人間的魅力があったのだろうと思わされる。

    ミュージアムの展示はずいぶん工夫が凝らされている。
    マッカーシズムの疑似体験(p73)、大統領としてカンボジア空爆可否の決断を下す(p152)など、インタラクティブな体験型の展示が印象的だ。大きな体でのしかかるように相手に近づくジョンソン流接遇を体感できるパネル(p135)も面白い。
    また、ホワイトハウスでの会話を録音し、音源や書き起こしで提供している。こんなものが公開されるのがアメリカの凄いところだと思うが、フォード以降途絶えたというのは残念(p168)。

    大統領図書館の制度の変遷
    ・1955年:大統領図書館法成立。記録や物品を、希望する場所に建てた図書館に寄贈できることになる。国立公文書記録管理局(NARA)が管轄。
    ・1974年:ウォーターゲート事件を背景に、ニクソンの全記録を差し押さえる大統領記録資料保存法
    ・1978年:大統領記録法。すべての大統領記録を未整理のままNARAに移管することとなった。このため記録が膨大になり、整理が追い付いていない
    ・1986年:大統領図書館法改正により、大統領財団に図書館運営費を負担させる。2003年にも再度改正で財団を増加。これらにつれて、財団が図書館運営に介入する傾向が強まる。
    ・2017年:オバマ大統領、政権アーカイブはNARAの管理するデジタルライブラリのみとする旨発表。

    同じく今年刊行の関連本を見つけた。[ https://booklog.jp/item/1/4872597869 ]こちらは歴史研究者の立場からのガイドらしい。

全7件中 1 - 7件を表示

この本が好きな人におすすめの本

著者プロフィール

豊田 恭子(とよだ・きょうこ):1960年、東京都生まれ。東京農業大学学術情報課程教授、ビジネス支援図書館推進協議会副理事長。お茶の水女子大学中文科卒業。出版業界誌「新文化」記者を経て、米国に留学。シモンズ大学(ボストン)で図書館情報学修士号を取得。帰国後、国際金融機関J・P・モルガンの日本支社でビジネスソースセンターを立ち上げ、またゲッティ・イメージズの画像データベースやNTTデータの環境データベースの運営に関わる。著書に『闘う図書館――アメリカのライブラリアンシップ』(筑摩選書、2022)、『専門図書館のマネジメント』(共著、日本図書館協会、2000)、『ちょっとマニアックな図書館コレクション談義 またまた』(樹村房、2019)などがある。

「2024年 『アメリカ大統領と大統領図書館』 で使われていた紹介文から引用しています。」

豊田恭子の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×