ドキュメント 北海道路線バス 地域交通 最後の砦 (筑摩選書 0300)

  • 筑摩書房 (2025年3月14日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (320ページ) / ISBN・EAN: 9784480018182

作品紹介・あらすじ

鉄道廃線を引き継いだ北海道の路線バスは、過疎化や少子高齢化により危機に瀕している。自然環境もきびしく、冬の日本海沿いでの運行は突風、ホワイトアウト、猛吹雪で困難を極めるが、運転手は高度な運転技術と旺盛な使命感で日々闘っている。バス輸送の現場はいかなる問題に直面しているのか。運行管理者、運転手の生の声を徹底取材。DMV、BRTの現在や、イギリスのバス復権の動きも調査し、バス2024年問題や運転手不足への対策に向けた提言も行う。

感想・レビュー・書評

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  • 北海道の鉄道は次々と廃線・廃駅が進み青色吐息だが、代替交通手段となったはずの路線バスも、乗降客数減と運転手不足で風前の灯との事。
    厳冬期の特に海沿いの道路状況の過酷さの中で、事故無く運転するドライバーは正に特殊技能者であり、そうそう代わりの人を見つけられるものではないだろう。
    こういう厳しいけど無くてはならない仕事に従事する人の待遇面を何とかできないものか、とよく考えてしまう。ITなど成長産業だけでは社会は成り立たず、もう少し再配分する仕組みがあっても良い気がするのだが…

    根釧台地の殖民軌道や標津線の経緯なども書かれていて、鉄道好きにも読み応えがある。

  • 『ドキュメント 北海道路線バス 地域交通 最後の砦』(椎橋俊之)|磯部祥行 2025年4月12日
    https://note.com/tenereisobe/n/n03976327bef2

    【笹本総編集長コラム】厳冬の北海道で、荒れ狂う自然と闘い住民の足を死守する路線バスの運行を描いた単行本『ドキュメント北海道路線バス 地域交通 最後の砦』を読みました | 自動車コラム・連載 | AUTOCAR JAPAN 2025.05.09
    https://www.autocar.jp/column/2025/05/09/1139161

    苦難のバス業界 新たな動きも
    <鳥の目虫の目 渡辺一史>「ドキュメント 北海道路線バス」椎橋俊之著(筑摩選書 1980円):北海道新聞デジタル 会員限定記事2025年5月11日
    https://www.hokkaido-np.co.jp/article/1157400/

    椎橋 俊之 - Webcat Plus
    https://webcatplus.jp/creator/687980

    RJC会員情報|RJC 日本自動車研究者 ジャーナリスト会議
    http://www.npo-rjc.jp/member/detail.php?id=rjc096

    『ドキュメント 北海道路線バス』椎橋 俊之 | 筑摩書房
    https://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480018182/
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    (yamanedoさん)本の やまね洞から

  • 社会経済状況の変遷と地域公共交通への影響:
    バブル崩壊後の長期的な経済停滞、デフレスパイラル、「失われた30年」と呼ばれる状況が、北海道における人口減少、過疎化、少子高齢化を加速させている。
    「1995(平成7)年以降、実質賃金は一向に上昇せず、経済の停滞、なかでも、出生率は、実質GDPの伸びは鈍化を続けている。それに歩調を合わせるように、過疎化、少子・高齢化が一気に進むことになった。」
    少子化対策の遅れが、現在の厳しい状況を招いている。
    これらの社会経済状況の変化が、路線バスの利用者減少、経営難に直接的に影響を与えている。
    北海道の厳しい自然環境とバス運行の困難さ:
    氷点下を下回る低温、積雪、強風、吹雪など、北海道特有の厳しい自然環境が、バスの安全運行に大きな困難をもたらしている。
    「外気温は氷点下5℃。相変わらず西寄りの冷たい海風が吹き渡っているが、昨日までの荒々しさはすっかり影をひそめている。」
    冬季の道路状況(凍結、圧雪、吹き溜まりなど)は、バスの運行速度を低下させ、事故のリスクを高める。
    高速道路の利用においても、都心部からの距離、市街地の渋滞などが遅延の要因となる。
    除雪作業の重要性と限界、運転手の高度な運転技術と経験が求められる。
    「トレーラーを牽いて峠道を走るドライバーは、持てる運転技術のすべてを注いで健闘しているのであろう。(令和6)年1月23日に初山別村字大沢付近で大型トラックが路外に転落する...情報交換・連携プレーの重要性ですよね。見ていて気の毒になります」(櫻井氏)。
    「横風10mで簡単にフロントが持って行かれます。迫の縁石までドーンとね。その怖さと言ったら...ハンドルを逆を切るのですが、あ、ヤバ(道から外れる)と思った瞬間、無駄と分かっていても思わず床を足で思い切り踏みしめています。」(沿岸バス・運転手A氏)。
    鉄道廃止とバスへの転換、その後の課題:
    国鉄羽幌線など、利用者の少ないローカル線の廃止が進み、その代替輸送手段としてバスが重要な役割を担ってきた。
    「鉄道の廃止代替輸送を一手に担うことになった沿岸バスは、沿線自治体の要請を受け...旧岩内バスは応札\羽幌沿岸バスによる路線ネットワークの再構築・羽幌線(留萌ー幌延間141.1km)3月29日廃止...」
    鉄道廃止に伴い、バス路線網の再編、車両やターミナルの整備が行われたが、過疎化の進行によりバスの利用者も減少している。
    代替バス運行に対する国の補助金も期限を迎え、自治体の財政負担が増している。
    運行本数の見直し、効率的な運行形態への転換が求められている。
    「旧標津線の跡にそのままバスを走らせる時代は終わっているのではないか。」
    「ダイヤ再編のポイントは住民にとってより使いやすいバスにすることです。沿線には中標津、標津高校があって、計根別には町立中標津農業高校があり...」
    地域住民の生活を支える路線バスの重要性:
    通学、通院、買い物など、日常生活において路線バスが地域住民にとって不可欠な移動手段となっている。
    特に高齢者や交通弱者にとって、バスは生命線とも言える存在。
    悪天候時においても、可能な限り運行を維持しようとするバス事業者の努力。
    「事故を起こさないよう、立ち往生してお客さんに危険が及ばないよう、ウェブサイトで告知するなど早め早めに対応するようにしています。それでも『バスは来るもの』と信じて疑わない高齢者がいないわけではない。」(内藤氏)。
    利用者の減少という厳しい現実の中で、地域公共交通を維持するための新たな方策が模索されている。
    バス運行を支える人々の献身と苦労:
    長距離バス運転手の過酷な業務(早朝からの点検、長時間の運転、悪天候への対応、洗車など)。
    「今井氏は運転手の制服から完全防寒着に祐屈1えている。浜流し釣りに使うようなゴム...厳寒のなかでバスの洗車作業に取りかかるのである。」
    アルコールチェックの厳格な実施など、安全運行への強い意識。
    昔の劣悪な道路状況下での運行の苦労や、除雪作業の困難さ。
    「いつも車内はもうもうとホコリで霞んでましたね。砂利道の振動でホコリが車内に舞い上がるわけです。お客さんも辛抱強かった。手拭いを日に当ててじっと目を瞑って我慢している。それが当たり前の時代でした。あれだけガタガタ揺れても不平不満を言う人はいなかったです。」
    運転手不足という深刻な課題。
    「路線廃止の大きな理由は運転手不足にある。人口減少は北海道に限らず全国的な傾向だが、そ...まで落ち込んでいます」(夕張鉄道関係者)。
    バス運転手の待遇改善、新たな人材の確保が急務。
    新たな技術の導入と未来への模索:
    自動運転バスの実証実験など、省人化、効率化に向けた取り組み。
    デュアル・モード・ビークル(DMV)の実用化に向けた試みとその課題(輸送力、悪天候時の走行性能など)。
    「JR北海道が開発したDMV...レールと道路での乗り心地の違い...その高出力にモノを言わせてトレーラーを...」
    情報技術を活用した運行管理システムの導入(Dispatcherなど)。
    これらの技術導入が、地域公共交通の維持にどのように貢献できるかが注目される。
    他地域との比較と示唆:
    ロンドンバスの事例(バス優先ルール、定時性への配慮、料金体系、AQPSなど)から、地域公共交通維持のためのヒントを探る。
    ドイツにおけるコロナ禍での公共交通事業者への財政支援策。
    これらの事例から、日本、特に北海道における政策立案への示唆を得る。

  • 北海道のバスに焦点を当てているが、どの地域でも言えること。今後の日本の先行ルポと感じた。
    結局はお金次第。世の中必要な産業にはお金が回らず、そうでもない産業ほど隆盛するとは、人間とは不思議なもの。

  • なくてはならない存在でありながら、人口減少と地域経済の停滞によって事業継続が難しくなっている地方交通機関。
    その中でも北海道の路線バスは広大な営業地域と厳しい自然環境という三重苦ならぬ四重苦、五重苦の厳しさ。
    本書は北海道の路線バスに何度も搭乗しながら、運転手や自治体の方への取材を重ねたルポ。
    地に足がついた報告だけに頭で理解していることを超えて、問題の深刻さがよく分かる。
    事業者の使命感や従業員の方のやりがいに甘えている場合ではない。著者は国を挙げての対策を訴える。解は簡単ではないが、私たちが向き合わないといけない課題なんだな。

  • ふむ

  • 札幌から江差へ、あるいは羽幌町の沿岸バスの本社から豊富まで。バス旅の描写は一編のロードムービーを見ているかのよう。窓から眺める沿線の風景、乗り合わせた乗客たち、にぎやかな高校生の通学バスとして、そして厳しい路面で感じる運転手の確かな運転技術と気遣いなどが語られていて、読み応えがあった。それは冬期には厳しさを増す運行環境、地域の住民の足として頼りにされていることを浮き彫りにするものでもあった。バスのタイプにより風や雪の影響を受ける度合いが変わること、長距離運転での刻一刻と変化する路面状況を読み込んでの運転など、寡聞にして知らずなことが多々あった。◆お互いの繁忙期・閑散期が表裏をなしているので、宗谷バスと琉球バス交通、那覇交通で、お互いに運転手・バスを補完し合っていること、は興味深い取り組みと感じた。◆バス転換で地域住民の足は確保されたが、運行費用面では沿線自治体の負担増となったこと。通学時間にかかる便のダイヤは動かせないこと。コロナ禍の収入源でバス運転手は減少し、今もコロナ前の水準に戻ってないこと。札幌市内をネットするバス会社(中央バス、JR北海道バス、じょうてつ、札幌ばんけい)の便数が2017→2022年で26%減少したこと。薄給、長時間労働、老齢化、2024年問題というバス運転手を取り巻く厳しい現実。これらを鑑みた上で、著者の提言するバス運転手不足対策は、やはり国がお金を出す一択。そう考えると、これだけの国鉄→JR、バスの厳しい公共交通を民営化すべきだったんだろうか、という思いが過る。公共と名のつくものは、どうあがいても豊潤な利益とは相性が悪く、両立できないものではなかったか、と。ただ国鉄にも問題あったみたいだし。財源も無限じゃないし。難しいところではあるけど。

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著者プロフィール

椎橋 俊之(しいはし・としゆき):1951年、東京・本郷生まれ。自動車雑誌の編集長を経て独立し、ライター、編集者として鉄道や自動車の評論活動に携わる。著書に『SL機関士の太平洋戦争』(筑摩選書)、『鉄の馬と兵ども──「証言」蒸気機関車 蒸機乗務員回顧録』(イカロス出版)、『ドキュメント・感動の所在地──忘れえぬ鉄道情景1~3』『「SL甲組」の肖像1~8』(以上、ネコ・パブリッシング)、『ル・マン。見果てぬ夢──ニッサン・グループCの軌跡と野望』、『ジャパニーズヒストリックカーのテクノロジー』、『スーパーカーのテクノロジー』、『レーシングカーのテクノロジー』(以上、三栄書房)など。2021年「鉄の馬と兵ども」ほか一連の著作に対して島秀雄記念優秀著作賞受賞。

「2025年 『ドキュメント 北海道路線バス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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