新編ぼくは12歳 (ちくま文庫 お 1-1)

著者 :
  • 筑摩書房
3.95
  • (45)
  • (24)
  • (43)
  • (1)
  • (2)
本棚登録 : 382
感想 : 47
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (285ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480020291

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • Twitterで見かけて気になり、読みました。僅か12歳で投身自殺をした少年による詩、作文や読書感想文、ご両親の手記や読者からの手紙なども収録。彼が書いた詩は一見すると微笑ましい内容のものが多いが、ふとした時に酷く寂しさを覚える。詩を綴りながら彼は何を思っていたのだろう。『ぼくはしなない』という詩を書きながら、その後彼は死んでしまった。ご両親の手記を読むと彼は周りと上手くやっているように見せながら、その実、何か周囲の人間とは異質に感じる自己を持て余し、人と分かり合うことを冷淡に諦めていた節がある。12歳という年齢である一つの動かしがたい、絶望にも似た真実を見つけてしまったのかもしれない。色々考えてみても自殺の理由は分からない。知っているのは彼自身だけだ。孤独な時、または孤独になりたい時に、読み返したいと思う。

  •  私の原点である一冊。
    小6の夏、美しい詩を残し、自死してしまった在日の岡真史くんのことを知った私は、彼の詩にのめり込み、彼と同じ12になったとき、「死のう」と決めて過ごしていた。暗かった11の時。

    『 からしをぬったよ 
      体に 
      そうしたらふつうになったんだ
      よっぽどあまかったね
      ぼくの心って       』

  • 「ひとり ただくずされるのを 待つだけ」
    という言葉を残して自殺した12際の少年の残した詩集。
    その孤独な感性には、あまりにもシンクロするところが多く、何度、読み返したかしれない。何度、自分自身の自死を夢見たかしれない。
    でも、その時代を乗り越えて、自死への夢は持ち続けているものの、今も生き続け、その夢にはどういう意味があるのかと考え続ける日々だ。
    そして、同じような夢を見る子ども(そのまま育ったかつての子ども)たちを死へ向かわせないためには、どうすれば良いのか、そういった気持ちが何らかの犯罪に向かうのではないかとの思いもあり、どうすれば防げるのか、何が必要か、考えている。

  • 「ぼくはしなない
    ぼくは
    しぬかもしれない
    でもぼくはしねない
    いやしなないんだ
    ぼくだけは
    ぜったいにしなない
    なぜならば
    ぼくは
    じぶんじしんだから」

  • 中学生の時、みちでバッタリを読んだ
    なぜかずっと心にのこっていて29歳にして詩集を読んだ
    いまのわたしには 時間 がとても響いた
    短い言葉で言い当てた人間の本質が怖くもあった
    両親と読者の往復書簡が印象的だった

  • 死について考えることが多くなったら、よんでみてほしい。

  • 12歳で自殺した子の詩集だから最後まで読んだ。
    寂しい心だ。

    「『星の王子様』を読んで」の、「ぼくは大人になっても」が切ない。いや、彼は12歳のころにはもう大人になってなくちゃならなかったのかな。

    産休は産後8週間。ただし、就労者が希望し、医師の許可が出た場合は産後6週間で仕事に復帰できる。
    母親の手記を読んだ感じだと、生後3年の間、彼は人間の赤ん坊が必要とするだけの、たった一人からの献身的な世話を得られなかったようだ。母親に対して遠慮がありすぎるのを、不思議に思わなかったの?なぜ?
    この母親の文章は、読むのがかったるいけど、これだけ書けるなら境界知能ではないでしょ。自分の仕事に懸命になりすぎて、息子に割くエネルギーや時間が足りなかったのかな。

    まだ幼い息子に対して、彼がどんな人間なのかを理解しようとするのではなく、彼に自分たちを理解することを要求する…。彼等の置かれた環境からしたら無理もない点もあるのかも知れないけれど、親としては身勝手だな。頭でばっかり考えて、地に足が付いてなかったんじゃないの。

    本当は子供を失った親御さんを責めるようなことは言いたくないけど、まあ、私が生まれる前の話だし、いいか。

  • 「ひとり
    ただくずれさるのを
    まつだけ」

    十代のころ、この一片を新聞で目にして。
    衝撃をうけた。
    たった12歳で自殺した少年はなにを思ったのだろう。

    本書は少年の詩集もそうだが、未知の若い人々と、が秀逸。
    世の中に戸惑う不器用で勇気のない人々のやりとり。なぜこの詩に惹かれたのか。何度となく読み返しては反芻して。自身と向き合い、真摯な少年の鋭すぎる刃に憧れるも、12歳にして悟った少年と自分を比べ、何者でもなかった自分を知る。
    善いこと、体裁の良いことの違い、真実のまわりに当たり前に存在する嘘への戸惑い。白黒つけられない曖昧さを受け入れることが大人であると頭ではわかりつつ拒むこともできず、心の奥底に溜まる澱みを本書はかき乱して甘酸っぱい気持ちにしてくれる逸品です。

  • 「新」じゃない方を大昔に読んだ。
    今読んでいる「生きることの意味」の著者の息子さんだったということを知り、もう一度読みたいな、と思っています。

  • くずるさるのを待とう

全47件中 1 - 10件を表示

岡真史の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
金原 ひとみ
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×