表層批評宣言 (ちくま文庫 は 2-1)

著者 :
  • 筑摩書房
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感想 : 16
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  • Amazon.co.jp ・本 (254ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480020314

感想・レビュー・書評

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  • とりあえず先にあとがきと自筆年譜を読んだ。今となっては老害芸とややこしい文体で知られている著者であるが、ここに書かれた内容がかわいらしい。自筆年譜には中学時代に陸上の新宿区大会でぶっちぎりで優勝したことや高校時代勉強しなかったものの一浪の後にしれっと東大に入学したこと、奥さんとの出会いから仲を深めた様子、病気で療養したことをきっかけにヒゲを蓄えはじめたことなどをウキウキで振り返っている。年譜が書かれたのは49歳時点。ここに挙げられた体験が嬉しかった思い出として印象に残っているのだろう。かわいらしいおっさんや。

  • 再読必須

  • 高校生のときに読んで、何と手厳しい本かと思いました。40を過ぎて読み直してみると著者が書くようにエンタテインメントとして楽しく読めました。文体は真似したくなるほど魅力的です。

  • 読み辛い。批評に対する批評本であり知識がないため理解出来ない。

  • 2014/12/29 読了

  • 単行本を持っているが、神保町で見つけたので購入、再読。

  •  例えば欠落を埋めようとする行為、思考というものが、あるいは知というものが、すべてそれを志向した営みであるかのように思われるという欺瞞、それはありもしない深層を作品に仮定し、そうすることで、作品を読解してしまう、書くということの、肉体的な一回性、前言語が言語へと突き動かされるその瞬間を隠蔽した、何がしかの制度的な読み方を可能にしてしまう、そればかりか、それは書くことまでを自らの統治下に置き、制度は、それに対する言及をすべて自らを補完するものとして、位置づけてしまう。だから、われわれは表層に留まる不自由を選択しようではないか、と著者が「宣言」するとき、そこには本当にそれを可能だとは思っていないにも関わらず、敢えてそういいきってしまう不敵さがある。「自由」と「不自由」の取り違えとは、結局「自由」も「不自由」も選択不可能であるという原理を露呈させるだけではあるのだが、その宙吊りの状態を、むしろ肯定的に捉えておくということ、それは何もかつての問題に対する一つの解法というわけではないが、そもそもは問いそのものが孕んでいる不可能性であり、忌避すべきはその不可能性を不可能ではないとしてしまいがちな何らかの枠組みなのだ。
     といったような文体で延々と語られるのは、著者が言うとおり、肉体のエンターテイメントであり、本当のところ、正確に理解する必要はないであろうし、正確な理解という言及そのものを、まず撥ね付けようとしているのは、多分正しい。とはいえ理解が存在しないという類の書物であるわけでもなく、こうして文体模倣までしてはみたけれど、結局「不可能性に身を投じること」「自己欺瞞を忌避すること」の、不断の実演が必要なのではないかと、それぐらいしか私にはわかりませんでした(というより、そのようにしか読めませんでした)。

  •  アンチ大江、この頃のはすみんはトガッていた。難しすぎ。文章の組み立て方が理系なんだもん。

  • 難しい。ヒジョーに読みにくい。理解するにはあと13回くらい読み返さなくてはならない。

  • リアル本棚の一番左上の端にいつもある。
    大学時代に読んで「まえがき」にヤラレた。
    徹底的な表層批評は、書く側ー読む側の構造力学をシンプルにした。
    ナカミは、読まなくてもイイ。
    「まえがき」だけ読んでみるといい。

    それは、読む側の勝手なのだから。

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著者プロフィール

蓮實重彦(はすみ・しげひこ):1936年東京生まれ。60年東京大学文学部仏文学科卒業。同大学大学院人文研究科仏文学専攻修了。65年パリ大学大学院より博士号取得。東京大学教養学部教授(表象文化論)、東京大学総長を歴任。東京大学名誉教授。仏文学にとどまらず、映画、現代思想、日本文学など多方面で精力的な評論活動を展開し続けている。著書に『表層批評宣言』『凡庸な芸術家の肖像』『映画の神話学』『シネマの記憶装置』『映画はいかにして死ぬか』『映画 誘惑のエクリチュール』『ハリウッド映画史講義』『齟齬の誘惑』『映像の詩学』『『ボヴァリー夫人』論』『伯爵夫人』『ジョン・フォード論』ほか多数。

「2023年 『ゴダール革命〔増補決定版〕』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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