思考の整理学 (ちくま文庫)

著者 :
  • 筑摩書房
3.67
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本棚登録 : 20540
レビュー : 2141
  • Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480020475

感想・レビュー・書評

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  • 1986年に初版以来、現在までに200万部以上売られているロングセラー。ジャカルタの古本屋で120円で買いました。個人的に自己啓発的な本は得意ではなく、この本も全く期待しないで読みましたが、面白い本でした。
    読書法やファイリングのハウツー論にも触れられていますが、本書は外山滋比古さんが「自らの体験に即し、独自の思考のエッセンスを明確に開陳する」、娯楽性に富んだエッセイです。

    本書は人間には「グライダー能力」と「飛行機能力」があり、授業中の生徒のように「受動的に知識を得るのが、前者、自分でものごとを発明、発見するのが後者」。「この本では、グライダー兼飛行機のような人間となるには、どういうことを心掛ければよいか」が本書で論じられます。
    −考えに詰まったら一晩寝ればよい。寝ている間に考えは醸造される
    –何か思いついたらメモに残す。読み直して脈がありそうなものがあったら他のノートに移植する。この移植でアイデアが新しい意味をおびるようになる
    –思考の整理には忘却が有効。何を忘れるかは、しっかりした価値観が必要。自分の中で古典的になった着想は消えない。メモを取っても自分に関心のないことは忘れる。メモは取りすぎないことだ
    –断面的な知識も関連あるもの同士をまとめておくと、会話のタネくらいにはなる

    繰り返しになりますが、本書はハウツー本ではなくエッセイです。考えすぎるといい結果が出ないことを「見つめる鍋は煮えない」と表現するなど豊富なメタファーで楽しく読めます。お勧めの★★★★。

  • 30年以上前から変わらない真理?を説いています。

    落ち着いたら大学に行き直したいなとずっと考えていた私には酷な内容(笑)

    詰め込み教育の是非を問いています。
    知識を詰め込むことで自由な発想を阻害すること。

    どちらかというと優等生と言われがち(学校教育において)な私には耳が痛い話です…笑

    • QAZさん
      もうレジェンド級のロングセラーですよね。
      もうレジェンド級のロングセラーですよね。
      2018/04/22
    • あみさん
      思った以上に難しかったですが、考える力って大切です。
      思った以上に難しかったですが、考える力って大切です。
      2018/04/23

  • 本書を要約すると、"グライダー型"の学びでなく"飛行機型"の学びを、"倉庫人間"ではなく"工場人間"を目指せ、ということになると思う。
    具体的に述べる。


    ・学校教育では、教員に引っ張られる形での、受け身の姿勢での学びしか教わらない。これでは学ぶことは半ば強制された不自由なものである上に、問題設定や答えがあらかじめ用意されている状態での思考力しか育たない。これが"グライダー型"の学びである。しかし社会における課題解決では、問題を自ら設定し、あるとも知れぬ答えを探すことが求められる。この形の思考は"グライダー型"の学びでは育たない。
    課題の設定から答えの無い問いの探求まで、全てを自力で行う"飛行機型"の能動的な学びが必要である。

    ・ネットなどで簡単に知識が手に入る現代では、知識を溜め込むだけの"倉庫人間"であってはいけない。既存の知識を活用し新たな知恵を生み出す"工場人間"になることが求められる。
    "工場人間"に必要な能力は以下の3つ

    ① 知識の保管のためにコンピュータやノートなどの外部の"倉庫"をうまく活用する能力(例えば、適切に"成型"、"整理"して保管する能力)

    ② そこから"適切な材料(知識)"を選び出す能力

    ③ 選んだ材料を適切に調合し反応させ、"製品(研究成果や新たなアイデア)"を生みだす能力

    そしてこれらの能力を身につけるためには、学校で行われている暗記中心の教育ではなく、上手に忘却する能力こそが重要である。


    本書は上記を示した上で、良い"倉庫"たるノートの付け方、良い忘れ方などの具体的な方法論を示している。

    個人的には共感する点も多く、またその上で新たな発見がありとても勉強になった。比喩や文学的?な表現も豊富な文体で、とても楽しく読めた。

    しかし客観的根拠に乏しく、主張は基本的に著者の経験や故事にのみ基づいている。40年ほど前の、認知科学も未発達な時代に書かれた本なので仕方がないところもあるかもしれない。
    よって思考の整理"学"と言えるほど普遍的であるかは微妙なところで、どちらかというと"コツの集まり"のようなものに思える。

    以上の理由より本書の手法が万人に適したものかどうかは未知数ではあるものの、少なくとも私にはしっくりきた。
    そもそも思考法を試すのにリスクはないのだから、自分に合うか合わないかは試してみればすぐにわかる。その点で本書に客観性や普遍性などを求める必要は薄いとも言える。

    どちらにしても多くの気づきを得られる本なので、読む価値はあると思う。

  • 「東大・京大で1番読まれた本」という煽りに『思考の整理学』なんて難しそうなタイトル。
    しかし、読んでみるとページをめくる手が止まらない。

    特に印象に残ったのが、"見つめるナベは煮えない"
    アイデアを一生懸命に膨らまそうとするのではなく、少しの間寝かせておく、月日が流れて思い出してアイデアを見つめ直す。当時とは違う自分がアイデアを新しい方向へ膨らませていく。これをビールで例えて行くから読んでいて面白いし分かりやすい。

    個性の発揮には何も新たに作り出す必要はない。何かと何かをくっつけるだけでも個性が現れる。この話が個人的には1番衝撃だった。なぜ気づかなかったのか分からないくらい当たり前の話なのに。

    1986年に出た本書がこれまでに売れ、盛大な煽りがされたのもうなづけるものだった。

  • 思考の整理法ではなく思考の整理"学"というタイトルから分かる通り考えるとはどういうことか について真っ向から論じていた。「考えはべらぼうに人に話すのではなく発酵させるべき」「いかに情報を捨てるかが重要である」といった著者独自の見解が興味深かった。

    この本によって自分が収斂的思考ばかり働かせていることに気づいた。今まで考えを素早くまとめることで組織に貢献することが少なくなかった。が、社会人として求められるのは飛行機人間であり、拡散的思考がなければ飛ぶことはできない。そのために新しい解釈を創る訓練をしていかなければと思った。

    その拡散的思考を鍛える訓練として適切な手段として、大学における卒業論文執筆と文学作品(特に洋書であればなおさらよい)の読解 は有効である と外山氏は述べていた。手始めに卒業論文に取り掛かろう。(宣言)

  • 科学的な方法論というより、むしろエッセイである。それほど、特別なことは書かれていない。自分も、なんとなく実践してきたことも幾つかある。以下、抜書き的メモ。

    ・記憶と忘れることについて.
    手帳にメモし、一旦忘れて「発酵」させる。ただし、ただ「忘れる」のでなく、ある「価値観」(原則・基準)のもとで忘れるのがよい。
     情報・記憶が自然に廃棄される(ただ忘れてしまう)のは、単なる「忘却」。一方、情報や記憶を意識的に捨てるのは「整理」。
     歩いているとき、思考は自由になりやすく、新しい考えが生まれ易い。→ということは「歩きスマホ」などせず、頭を自由にさせ、風を感じながら歩くのがよいに違いない。

    ・書くことについて.
     完成度を考えず、とにかく最後まで書き通す。一旦書き終えたという心の余裕で、次に俯瞰したとき、推敲すべきこと、新アイデアが生まれ易い。

    …上記、ペンで傍線をひいてあった箇所から、そのサマリー。それら傍線部のみ、目を通してみたところ、意外と「なるほど感」を得た。
    それこそ、無意識にやっていたことを、言語化されたことで、方法論として一段深化し始めたかも。

  •  著者も書かれていたが,この本はあくまで,著者の思考の整理方法(考える方法)について紹介されたものであり,ハウツー本ではない.もちろん著者の方法(朝飯を抜いてうんぬんなど)をそのままマネすることもできるが,それではグライダー人間になってしまう.飛行機人間になるためには,自分で思考し,それを整理する必要があると考えられる.
     この本で私が一番耳が痛かったのは,収斂性,拡散性の話である.私もご多分にもれず,小論文のような答えのない問題は苦手だ.これが正解だという自信が持てず,絶えず1つの答えを求めている.しかし,これでは収斂性しか鍛えられていない.思考は,収斂性だけではない.拡散性と収斂性の二つがある.今のままでは思考の半分の収斂性の思考しかしていない.しかもそれは受動的である.とは著者の言葉である.これはかなり耳が痛かった.拡散性の思考を少しでも身に付けるにはどうすればよいか,これから考えてみよう.そのためにはまず忘れる.記録をしてから,しばらく寝かせてみようと思う.忘れたままになってしまわぬように,ここにも記録を残しておく.

  • * 師匠の教えようとしないものを奪い取ろうと心掛けた門人はいつのまにか自分で新しい知識,情報を習得する力をもつようになっている
    * 朝食を食べず仕事をし,朝食と注釈を兼ねてブランチ,さらに昼寝すれば朝飯前が2回になる
    * 何かを思いついたらすぐ書き留めておこう
    * 気にかかることがあって,本を読んでも脱線しがち,というときは思い切って散歩に出る.歩くのも足早に歩く.すると気分が変化し,もやもやがはれていく.
    * 書こうとしてみると自分の頭がいかに混乱しているかがわかったりすることもある.とにかく書いてみる.最後まで書ききる.
    * その第一稿をかきなおし,第二稿,...として書き直しの余地がなくなるまでやる

  • 帯びの「東大・京大」で4年連続1位!なんて大々的に書いてあったから手にとってみたけど、「スゴイ!」「目からウロコがああああ!」なんて風にはなりませんでした。
    内容は、思考の整理とは?ということについて書かれています。ですので、著者が言うように思考の整理をするには?というようなHow to本ではないので、そこらへんを期待して読んでしまうとちょっとゲンナリします。いや、それって俺のことなんですけどね(笑)
    そんななかでも、グライダーとしての優秀さと、飛行機としての優秀さは違う。ということは、「確かに・・・」と記憶に残る内容でした。

  • 工場と倉庫。人間の脳とコンピュータを言い表した表現。何かを産み出す工場としての脳、多くのものを整理するための倉庫としてのコンピュータ。記憶と再生能力でコンピュータに劣る人間としては、前者のような知的創造力が必要であるにもかかわらず欠如している現代に対しての警告と、知的創造を産み出すための思考の整理方法について書かれた一冊。この本を読んだからといって急にアイデアが湯水のように溢れ湧いてくるという訳ではないが、情報の取り扱いなど参考となるものは多々あり。また、使い古された考えではあるが、新たなアイデアを考える時、0から1を産み出すことに執着するのではなく、1と2から3を産み出すことに着目すべきとの考えがこの本にも記されていた。過去から存在しているアイデアは時の風化作用をくぐり抜け、強固なものであるが故、積極的に利用すべきとのこと。
    この本は一読で終わらず、繰り返し読み知的創造を膨らます思考の整理学に対して、著書と対話して始めて有意義なものとなるであろう。

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著者プロフィール

お茶の水女子大学名誉教授

「2019年 『やわらかく、考える。』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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