思考の整理学 (ちくま文庫)

著者 :
  • 筑摩書房
3.67
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本棚登録 : 20626
レビュー : 2144
  • Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480020475

作品紹介・あらすじ

アイディアが軽やかに離陸し、思考がのびのびと大空を駆けるには?自らの体験に則し、独自の思考のエッセンスを明快に開陳する、恰好の入門書。

感想・レビュー・書評

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  • 【感想】
    だいぶ昔から気になっていた本だが、最近ようやく読みました。
    要点を一言で言うなら、「覚える事より考える事を重視せよ」ということでしょう。
    (「考える」という行為の材料として、「覚える」行為そのものが必要不可欠であるのは当たり前として。)

    確かに情報過多である現代において、「覚える事」(=頭を倉庫化してしまう事)の重要性は少し下がってきている風に思える。
    イノベーションを生み出す事、またそれが出来る人材こそが、これからも生き残っていけるのだろう。
    グラーダーとしての能力も磨きつつ、飛行機型人間として自力飛行が出来るように自分を成長させないといけないなと感じた。
    インプットとアウトプットにも近い意味があるなと思ったな。

    この本自体が発刊されて30年以上という事に、非常に驚いた。
    今でも同じような内容の本が多数出版されている事から考えると、近年の日本人にとって未だ解決されていない大きなテーマなんでしょうね。
    こわいこわい・・・・


    【内容まとめ】
    1.人間にはグライダー能力と飛行機能力がある。
    学校はグライダー人間の訓練所で、飛行機人間は作らない。
    例外はあるが、一般に学校教育を受けた期間が長ければ長いほど、自力飛行の能力は低下する。

    2.受動的に知識を得るのが前者、自分で物事を発明、発見するのが後者。
    勿論グライダー能力を全く欠いていては基本的知識すら習得できず、どんなミスにつながるか分からないリスクもあるが、やはり飛行機能力は必要なのである!

    3.教育を受けようとする側の心構えも必須
    受け手も受動的なだけではなく、積極的な学習意欲、「多くの事を学びたい」という積極性が必要不可欠。

    4.朝飯前
    いかにして朝飯前の時間を長くするか?
    どんなことでも言葉通り朝飯前に、早朝にすれば、さっさと片付く。朝の頭はそれだけ能率がいい。
    朝の仕事が自然なのではないか。朝飯前の仕事こそ本道を行くもので、夜に灯をつけてする仕事は自然に逆らっているのだ。

    5.カクテル
    「ひとつだけでは多すぎる。ひとつでは、すべてを奪ってしまう」
    自分だけの考え、独創的な考えで、自信を持つのは良いが、行き過ぎればやはり危険である。
    一つだけを信じ込むと、ほかのものが見えなくなってしまう。

    自分だけを特別視するのは思い上がりである。他にも優れたものはいくらでもある。

    6.触媒説
    新しいことを考えるのに、すべて自分の頭から絞り出せると思ってはならない。
    無から有を生ずる思考など滅多に起こるものではなく、すでに存在するものを結びつける事で新しいものが生まれる。

    7.情報の「メタ」化
    第一次情報をふまえて、より高度な抽象を行うこと。
    ニュースや新聞など第一次的な情報を元に、その同種を集めて整理し相互に関連づけることで「メタ化」された第二次思考が生まれる。

    整理、抽象化を高めることで、高度の思考となる。普遍性も大きくなる。

    8.つんどく法
    →「積み重ねて置いておく」という意味ではなく、「同じテーマの本を積み上げて片っ端から読む」という意味。
    有効なのが、あるテーマに沿ったものを「つんどく」して、片っ端から読み進めること。
    そうしたら、綺麗さっぱりと忘れずある程度は頭に残る。

    全部が全部覚えておくことなど不可能だ。
    短期的に詰め込んでレポートを作成し、そして忘れる。
    このサイクルが大切である。

    9.「知って蓄積すること」よりも「考えること」に重点を置くこと。
    人間が、真に人間らしくあるためには、機械の手の出ない、あるいは出しにくいことができるようでなくてはならない。
    創造性こそ、その最たるものである。


    【引用】
    思考の整理学


    p10
    ・学校はグライダー人間の訓練所で、飛行機人間は作らない。
    新しいことをするには、学校が一番。学ぶには、まず教えてくれる人が必要だ。
    これまで皆そう思ってきた。
    今の社会は、強い学校信仰ともいうべきものを持っている。そして学校の生徒は、先生と教科書に引っ張られて勉強する。自学自習という言葉こそあるが、独力で知識を得るのではない。
    いわばグライダーのようなもの、自力では飛び上がることはできない。


    p12
    いわゆる成績の良い学生ほど、この論文に手こずる。言われた通りのことをするのは得意だが、自分で考えてテーマを持てと言われるのは苦手である。
    例外はあるが、一般に学校教育を受けた期間が長ければ長いほど、自力飛行の能力は低下する。


    p13
    ・人間にはグライダー能力と飛行機能力がある。
    受動的に知識を得るのが前者、自分で物事を発明、発見するのが後者。
    勿論グライダー能力を全く欠いていては基本的知識すら習得できず、どんなミスにつながるか分からないリスクもあるが、やはり飛行機能力は必要なのである!


    p17
    教育はグライダー教育ではいけない。
    そして、教育を受けようとする側の心構えも必須である。なんとしても学問をしたいという積極性がなくては話にならない。

    昔の塾や道場はどうしたか?
    入門しても、すぐに教えるような事はしない。むしろ、教えるのを拒む。薪割りや水汲みなど、雑用をさせる。
    なぜ教えてくれないのか?と、当然不満を抱く。そしてこれが、実は学習意欲を高める役をするのである。
    教える際も一気に教えず、焦らして、学習意欲を高めて、少しずつ教える。
    陰湿のように見えるが、親切すぎないところに逆説的に相手の学習意欲を高める効果があり、ひいては飛行機能力を高める事につながる。


    p24
    ・朝飯前
    どんなことでも言葉通り朝飯前に、早朝にすれば、さっさと片付く。朝の頭はそれだけ能率がいい。
    朝の仕事が自然なのではないか。朝飯前の仕事こそ本道を行くもので、夜に灯をつけてする仕事は自然に逆らっているのだ。

    極端な話、朝食を抜けばいい。
    腹がふくれたら、どんなことをしても動くものではない。
    いかにして朝飯前の時間を長くするか?


    p42
    ・カクテル
    「ひとつだけでは多すぎる。ひとつでは、すべてを奪ってしまう」
    自分だけの考え、独創的な考えで、自信を持つのは良いが、行き過ぎればやはり危険である。
    一つだけを信じ込むと、ほかのものが見えなくなってしまう。

    自分だけを特別視するのは思い上がりである。他にも優れたものはいくらでもある。

    同じ問題について、AからDまでの説があるとする。自分が新しくX説を得たとして、これだけを尊しとして、他のすべてを削っては蛮勇に落しやすい。が、Xに最も近いB説だけを肯定しても、ただの我田引水である。
    AからDまでとXをすべて認めて、調和折衷させる事が重要である。


    p56
    ・触媒説
    新しいことを考えるのに、すべて自分の頭から絞り出せると思ってはならない。
    無から有を生ずる思考など滅多に起こるものではなく、すでに存在するものを結びつける事で新しいものが生まれる。


    p65
    ・アナロジー
    うまい説明や表現がないとき、「たとえて言えば、○○のようなものだ」といった形で、我々はたえずアナロジーの方法を用いる。

    「あの人の行動はまるでマッチポンプ」
    一方では火を付けて煽りながら、同時に他方では自分でそれを消火しようとすること。


    p74
    ・情報の「メタ」化
    第一次情報をふまえて、より高度な抽象を行うこと。
    ニュースや新聞など第一次的な情報を元に、その同種を集めて整理し相互に関連づけることで「メタ化」された第二次思考が生まれる。

    整理、抽象化を高めることで、高度の思考となる。普遍性も大きくなる。


    p91
    ・つんどく法
    →「積み重ねて置いておく」という意味ではなく、「同じテーマの本を積み上げて片っ端から読む」という意味。

    カードにしろノートにしろ、いちいち手書きにしなくてはならなく、時間も手間もかかる。
    また、せっかく書き留めたものも、全部が全部あとで使えるわけでもない。
    後々役に立つこともあるが、それは偶然に支配される。
    また、「記録した」という安心感が、忘却を促進するらしい。

    その際に有効なのが、あるテーマに沿ったものを「つんどく」して、片っ端から読み進めること。
    そうしたら、綺麗さっぱりと忘れずある程度は頭に残る。

    そもそも、字を書いているとそちらに気を取られて、内容理解がお留守になりやすい。
    もっぱら耳を傾けていた方が、話は頭に入るものである。
    また、「関心」がものを言う。興味があることはそんなに簡単に忘れない。

    かといって、全部が全部覚えておくことなど不可能だ。
    短期的に詰め込んでレポートを作成し、そして忘れる。
    このサイクルが大切である。


    p112
    ・整理
    PCなど他デバイスの出現により、人間の頭脳は「倉庫」としての役割だけでなく、知的生産をする「工場」という役割が必要になってきた。
    その際、やたらと物が入っていては作業効率低下につながるため、余計なものは処分してスペース確保をする必要が生じる。

    工場内の整理に当たるのが、「忘却」である。
    工場としての作業効率を良くするためには、忘却が必要不可欠になってくる。
    (勿論ある程度の知的材料は必要だが)頭を倉庫のようにして喜んでいてはいけない!


    p204
    ・拡散と収斂(しゅうれん)
    我々には二つの相反する能力が備わっている。
    ひとつは、与えられた情報などを改変し、そこから脱出しようという拡散的作用。
    もうひとつは、バラバラになっているものを関係づけ、まとまりに整理しようとする収斂的作用である。


    p212
    産業革命によって工場の主役は人間から機械に移り、機械に仕事を奪われた人間は、機械には手の出ない事務所の中に主要な働き場所を見つけ、サラリーマンが生まれた。
    だが、コンピューターの登場で、この聖域もまたあえなく潰れようとしている。
    「機械的」人間は早晩コンピューターに席を明け渡すという社会的な自然淘汰の法則を受けないではいられない。

    これまでの学校教育は、記憶と再生を中心とした知的訓練を行なってきた。コンピューターがなかったから、コンピューター的人間が社会でも有用だった。
    しかしコンピューターの普及が始まるこの現代において、この教育観は根本から検討し直す必要がある。

    「知って蓄積すること」よりも「考えること」に重点を置くこと。
    人間が、真に人間らしくあるためには、機械の手の出ない、あるいは出しにくいことができるようでなくてはならない。
    創造性こそ、その最たるものである。

  • 面白かった!
    ベストセラー!という肩書きだけで手に取ったけど、つらつらと体験や考えが書いてあり、個人的にはエッセイを読む感覚で読めました。「わかるわ〜」って思いながら。
    自分の言いたいことが上手くまとまらず、伝わらず、どうしたらいいのかと思っていた時だったので、何かヒントを得た感じがしました。

  • 【学んだ事】
    ▼エディターシップ
    ・ありきたりなモノ同士を結び合わせても、新しいモノになりにくい。一見、とうてい一緒にできないような異質な考え方を結合させると、奇想天外な考えになることがある。
    ▼触媒
    ・モノを考えるにあたって、あまり緊張しすぎない。心をゆったりさせて、自由にさせる方が、面白い考えが生じやすい。没個性的になる。
    ▼セレンディピティ
    ・目的の課題をセレンディピティが起りやすいようなコンテクストで包む。人間の意志の力では、全てを成し遂げるのは難しい。無意識の作用に負う部分がきわめて重要である。
    ▼情報のメタ化
    ・思考の整理には、平面的で量的なまとめではなく、立体的、質的な統合を考えなくてはならない。低次の思考を、抽象の梯子を上って、メタ化していく。
    ▼カード・ノート
    ・本を読む際に、一読即座にノートは取らない。内容の区切りの良いところまで読んで、また後戻りして、ノートをとるようにする。
    ▼手帖とノート
    ・何か思いついたら、その場で、直ぐに書き留める。優れたアイデアが浮かんだとしても、忘れてしまっては意味がない。
    ▼メタ・ノート
    ・メモからノートへ書き写す。その中で、伸びそうな考えと、役に立たなさそうな考えを選別していく。新しい思考の生命には、コンテクストの適、不適がある。コンテクストを変えることによって、新しい展開が期待できる。
    ▼整理
    ・人間は新しい事を考えだす工場でなくてはならない。倉庫なら、PCが代用してくれる。
    思考の整理とは、いかにうまく忘れるかである。
    ▼忘却のさまざま
    ・一つの仕事をしたら、全く別の事をする。長く同じことを続けていると、疲労が蓄積する。能率が悪くなる。別種の活動ならば、とくに休憩などしなくても、リフレッシュできる。
    ▼とにかく書いてみる
    ・まだまだ書けないと思っている時でも、もう書けると、自分に言い聞かす。書いているうちに、頭の中で筋道が立ってくる。
    ▼ホメテヤラネバ
    ・自分の考えに自信を持ち、これでよいのだと自分に言い聞かせるだけでは十分ではない。他の人の考えにも、肯定的な姿勢をとるようにしなくてはならない。どんなものでもその気になれば、必ず良いところがある。
    ▼しゃべる
    ・ちょっと良いことを考えたからと言って、むやみやたらと人に話さない。褒められると、さらに考え続けようという気力がなくなってしまう。あえて黙って、表現に向かって内圧を高めていく。
    ▼三上・三中
    ・自分の観念をあまりに信頼している人は発見をするにはあまり適していない。
    ・文章上達の3カ条
    ① 看多⇒多くの本を読む事
    ② 做多⇒多くの文を作る事
    ③ 商量多⇒多く工夫し、推敲する事
    ▼ことわざの世界
    ・一般化して、なるべき、不偏性の高い形にまとめておくと、同類のものが、あとあとその形と照応し、その形式を強化する。自分だけのことわざのようなものをこしらえて、自己の経験と知見、思考を統率させる。
    【実践できる事】
    ① 文章力をあげる。
    ■オブジェクティブ&ゴール 週に3回は何かの対象を決めて、ブログを更新する。
    ② 日々考えたアイデアをメモする。さらに、伸びそうなアイデアをノートへ移していく。
    ③ 日々の読書のスタイルを変える。一章をノートに取らずに読んで、覚えている限りの情報を書く。そして、見直してから、重要な部分を再度ノートに書き込む。

  • 名著と呼ばれているので読んでみた。
    元はかなり古い本のようで、使われている例なんかはどうしても時代を感じてしまう。ただ、書かれている内容自体は、今読んでも納得感も高く、さすが。 とはいえ、似た本をすでに読んでいると、既知の内容もあるので、うーん、といったところ。正確にはこの本が元なのだろうけど。

    思考のネタは寝かせろとか、詰まったらとりあえず寝ろ、とか、やっばりそうなんだなーと。詰まったらとりあえず書いてみろとかも納得。実体験としてもそうだと思うし。

    ちゃんと褒めるべき、というのは、思考の観点でもそうなのかーと。人を育てたり動かしたりするテクニックとしては知ってるけど、褒めることで思考もオープンになりよい循環に、というのは、言われてみればそうだけど、考えてなかったなー。

    カードノートとかも書かれていてけど、そのあたりは個人的にはあまり響かず。これは時代のせいもありそう。アナログ管理は嫌いです。

  • 第2回(テーマフリー)

  • ◯思考の整理学、というタイトルではあるが、途中まで読んでいて、論文の書き方の本かと思ってしまった。
    ◯しかし、読み進めるうちに、なるほど、これはそのタイトルとおり、「思考を整理し、それを通じて学ぶ」ということをテーマとして書かれていた。
    ◯当然と言えば当然であるが、この本自体も著者の理論の実践であるところが説得的で面白い。
    ◯終盤の章では、単純に思考を整理するだけでなく、また、それまでの思考の整理の過程における創造的思考でもなく、現実世界に即して創造的思考を行うことを書いているところ、思考の整理学というタイトルの終盤にふさわしい、発展的な内容で、恥ずかしい限りの感想ではあるが、さす学校の先生だと思わされた。

  • ものすごく面白かった。1986年の本なのに、内容的には全く古くない。むしろ今の時代にぴったり。情報を捨てていくことが大事、というのは、まさに今、必要な思考整理法だと思う。自分の仕事にもとても必要なこと。外山先生、ありがとうございました。

  • 『flier版』
    スキルを持て、とか、起業か独立しろ、など短絡的な内容ではなく、学び・表現・記憶などの各テーマでどのような思考が望ましいかが書いてある。

    方法だけでなく、その背景にも解説されてるので納得感もある。

  • グライダーよりも飛行機のほうがよいという暗黙の前提がある。誰もが創造的なんて恐ろしいことではないだろうかと少々疑問を感じる。定評ほどの感動はない。

  • 古い本だが、今に通ずるところもあって参考になった。
    「不幸な逆説」「朝飯前」「アナロジー」のページは特に面白かった。

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著者プロフィール

お茶の水女子大学名誉教授

「2019年 『やわらかく、考える。』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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