思考の整理学 (ちくま文庫)

著者 :
  • 筑摩書房
3.67
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本棚登録 : 20424
レビュー : 2125
  • Amazon.co.jp ・本 (232ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480020475

作品紹介・あらすじ

アイディアが軽やかに離陸し、思考がのびのびと大空を駆けるには?自らの体験に則し、独自の思考のエッセンスを明快に開陳する、恰好の入門書。

感想・レビュー・書評

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  • あとがきにあるように、この本はハウツーを目指していない。
    冒頭からずっと比喩的な表現が続きます。
    読んでいてもアタマは整理はされないし、詰まる所思考を扱った文学的な読み物でしかないです。
    読んで面白くなければ、価値のない代物。
    著者が携わった、モーティマーアドラーの「本を読む本」の方が読む価値が高いです。

  • 「東大・京大生が根強く支持する異例のロングセラー!」というコピーに惹かれて読んでみた。
    本書の内容は簡単に言うと、どういった心構えで学問をするか、学問に対する取り組み方や姿勢みたいなものがエッセー形式で書かれている。

    「これからの時代で必要とされるのは、同じ空を飛ぶものであっても、自力では飛ぶことのできないグライダー人間ではなく、自力で飛び回れる飛行機人間である」と筆者は力説している。
    確かに、今の時代だからこそより一層求められている人間像だ。

    驚くのは、この本は35年以上も前に書かれているのだが、内容が全く陳腐化していないことだ。それどころか、現在、問題なっていることや、世間で論じられていることが数多く語られている。35年以上も前に今の状況を予見していたかと思うと、筆者の先見の明には驚きを隠せない。

    35年前といえば、インターネットもスマホも無い時代であるが、この時から筆者は将来、コンピューターが記憶の大部分を補助する時代がくるので、人間の脳は記憶の為ではなく、新たな創出をするために使うべきだなんてことが書かれている。
    今、人間は記憶に頼らず、分からないことはすぐにスマホで調べて、分かった気になってしまい、物事を覚えようとしなくなっている、今の時代は本書の予言どおりだ。
    本書では「コンピューター」という言葉が使われているが、今の時代なら「AI」という言葉に置き換えてみればそっくりそのまま当てはまる。

    コピーどおりなら、本書は東大生や京大生に良く読まれているようだが、たぶん、大学に合格した生徒達に最初に読ませるような「課題図書」か、口コミなどで「読んだ方が良い本」になっているのだろう。もし、なっていなかったとしても、大学生にこのような姿勢を持って学問に取り組んで欲しいという筆者の気持ちを理解できる学生が東大、京大には多いということなのだろう。

    本書は頭を論理的に使う方法が書かれているが、本書内で使われている言葉は平易で非常に読みやすく、興味深い事例が多く論じられているので読者を飽きさせない。

    さらに、本書にはテーマの見つけ方やそのテーマの発展のさせ方、寝かせ方など仕事に通じることもたくさん書かれている。
    本書は大学生だけでなく、社会人1年生やこれから何か勉強しようという人にも非常に参考になると思うので、ぜひ一読をおすすめする。

  • 読後最初の感想は、「大学時代に読んでおきたかった」でした。
    本書が文庫になったのは1986年、私の生まれた年です。
    しかし、この思考の整理法はインターネットで情報あふれる現代であるからこそ、色あせず多くの人に読まれているのでしょう。

    大切なのはインプットした知識を寝かせることと、いかにうまく忘れるかということ。
    自分の価値観をしっかり持って、必要ないことは忘れて、必要なことは整理して熟成させる。
    以前読んだ『天才科学者のひらめき36』(リチャード・ゴーガン/著、創元社)に、科学者の発明には「準備」と「チャンス」と「欲求」が必要と書いてありました。
    本書には、その「準備」の土壌を作るヒントがつまっています。

    情報のつめこみすぎは非効率だし、ブックマークして自分のものになったと思っていてはダメだなぁ…と反省。
    また、専門分野にとらわれず、他分野と接触することの大切さを改めて感じました。

  • 帯にも書いてあった。
    もっと若いときに読んでいれば、そう思わずにはいられませんでした。
    書名の通り、思考を整理させるためには、とても良い本である。思考そのものにも参考となるが、整理、ひらめきのアイデアもある。多くのアイデアに関する本と似ている記載は、アイデア⇒すぐ消える、アイデア⇒ねかせるなど。朝飯前、三上、寝かせる、忘却。
    既知と未知の開設は、難しいが、良く分かるように書いてある。また、これの理解は、読書の醍醐味かもしれない。
    著者の情報、アイデア整理法は、ノートを使う。ノートの使い方は面白い、メタ化という。

  • インターネットの進化にあわせて、ホームページやブログ、そして電子書籍と、自分の考えていることを友達はおろか全く知らない人達にも伝えることができるようになりました。さまざまな夢を描けるようになった反面、自分の考え方をメールでむげに否定されて悲しい思いをしたり、目に入ってくる情報が多すぎて頭の中が整理できなくなったり、かつて言われていた「高度情報化社会」の中で、新しい葛藤が出てきています。

    本書は、1986年に出た本で、アイディアを整理する方法、正確に言うと、ものを考える時に起きるさまざまな状況を利用する方法を解説しています。例えば、アメリカで潜水艦を作るために音波探知機を研究していたら、イルカが超音波で交信していることに気がついた(セレンディピティ)、という事例から脱線もまた大事であることを説いたり、「忘却」すら「ものを考えるツール」と捉えていたりします。

    「忘却」については、何かを考える時に大量の情報を頭に詰め込んだ後で、わけがわからなくなったのであれば、少し時間を置いて、不要なことを忘れてしまった残りが本当に必要なことである、という考え方をしています。

    そういえば、ツイッターも、自分が全部のタイムラインを見る必要はなくて、みんなが大事な情報だと思っていれば、リツイート(みんなが目の前のツイートを自分のツイートとして再配信する機能)を使って、どんどん共有するので、ちょっと遅れても見逃すことはない、というのと同じで、ソーシャルメディアの中でも、忘却という現象を逆手に取ったものは自然と生まれている気がします。

    25年以上前の本が未だに輝きを失っていないのは、インターネットで誰もが情報発信をできるようになった今だからこそ、かつての知識労働者という特権階級だった著者(お茶の水大学の教授などを歴任)が抱いていたアイディアを広げて行くための葛藤や悩みが、多くの人に適用される時代になったということではないでしょうか?

    僕はこの本を読んだ時に、もうライフハックや知識系の自己啓発本を読む必要はなくなったと思っています。それだけ人間の日常生活においてできる本質的な部分については、本書に全て書いてあります。本書は、販売部数が100万部に到達し、東大生、京大生に最も読まれた本とも言われる一冊とも言われているそうですが、ヴィレッジヴァンガードの平積みでも見かけた本で、特に何も知らずに買ってみたらとても面白い本でした。

  • 外山先生の言っていることは至極明快。
    1.早起きしろ、朝の頭はリセットされていて勉強に向いている。
    2.頭の整理には忘れることが大事である。
    3.メモをとり、規則をつくって整理しろ。
    その他、日常の行動規範にかかわる様々なエッセイである。


    この本の帯にかいてあるキャッチフレーズは、
    「2年連続!!東大・京大で一番売れた本」

    こういった生き方・学び方的な本が日本のトップ大学で一番売れてしまうって大丈夫なのかと思う。
    悪い本ではなかったけど、感心した部分は一つもなかった。

  • 思考の整理学
    外山滋比古
    2018年3月31日読了。

    1986年刊行の本なのに、物事を考える・ものの考え方は今にも十分通じる手法が書いてあった。

    学校はグライダー人間の訓練所。グライダー人間は与えられた教材、学習内容を規律乱さず覚えるのを良しと評価される。自学自習という言葉あるけど、独力で知識を得るのではないしそうした能力は求められない。風に乗って飛行すれば良いだけ。
    それに対して、飛行機人間。自分で考えて、自分のエンジンを駆使して飛行する人間。
    人間の中には両方の能力が同居してるのに、学校を卒業するとグライダー人間が多すぎる。
    そして、現実にそういう人間が評価される社会に日本はなってしまってる。

    ホメテヤラネバ
    人の思考は揺れ動きやすい。しかも弱くて1人で悩んでいたりクヨクヨしてたり、自分はダメだと言っていると出来るものも出来なくなってしまう。
    自分に対しての言葉だけでも、自分の思考に影響を与えてしまうのだから人からの言葉はもっと影響を受けやすい。
    なので、人の考えに対して不用意な言葉を慎まなくてはならないと思うようになる。
    友には、褒めてくれる人を選ばないとダメ。これが中々難しい。人間は褒めるよりもけなす方がうまくできてるから。また頭のいい人ほど欠点を見つけるのが上手く、長所を発見するのが下手なようだと著者はいってました。

    ピグマリオン効果
    学力の同じグループを2つに分けてテストをする。Aチームには採点した答案を返すが、Bチームには答案は見もしないで、教師が一人一人生徒を呼んでテストの成績は良かった。と告げる。もちろんデタラメ。
    しばらくしてまた第二回のテストをする。また同じにAには答案を返して、Bチームには今度も良くできていた。と答案を見せず、返さず伝える。
    こういうのを何度か繰り返した後に、今度は全員の答案を採点。なんと褒めておいたBチームの方が点が高くなってるというもの。
    根拠はなくても肯定する言葉には人の思考に良い影響を与えるお話。

    他にも「考えることとは」について極力言語化した事例があって面白かったです。

  • 仕事術の教本といえるが、著者の語彙力・表現力がすばらしく含蓄があり、噛み締めながら読み進めるべき本。

    この本をよむべきだと思う人は、例えば
    「一つの仕事やテーマに没頭してしまっている人」
    「何かに没頭するあまり生活スタイルが定まらない人」「『考える』ことを人一倍必要とされるのに、『考える』ことを自己流に何となくやっている人」

    上記に当てはまると思った方は、今背負っている課題は一旦隅に追いやって、ゆったりした気持ちで本書を読むと良いと思う。

    革新的な成果は、それ自体とは無関係に思える他分野の仕事やアイデアとの融合となることが多い。
    如何にして広い視野を保ち、機会を逸せずに捕らえられるか。そのためにどのような事を日々積み重ねるべきか、そのヒントを、本書は提示してくれる。

  • テーマは、ものごとを考えるとは、どういうことか。どういうに、ものを考えたらいいだろうか。
    私がおもしろいと思った箇所をご紹介します。

    ・10世紀ごろの中国の言葉に「三上」という語がある。
     考え事が進むのは、鞍上(=馬の上)、枕上(ベッド)、厠上(トイレ)の3つだ。
     頭が緊張していないときに、アイディアは生まれる。思いついたことは、すぐにメモにとる。
     とにかく、メモに残す。しばらくはメモをみない。
     思いだした頃に、メモを読み返してみる。すると、とても陳腐なものに思える。完全に腐り、死に絶えている。
     だが、それでいい。考えは、寝かせることが必要。時の試練を与える。
     寝かせ、試練を乗り越えたネタは、まれに、「醸成」している。いい感じに「発酵」している。
     そんなネタは大切にすればよい。

    ・全く新しいことを考えることは難しい。例えば、新しい原子を発見することは至難の業だ。
     だが、物体AとBを混ぜ合わせて、化学反応を起こすことは、容易で、そして、おもしろいことが起きる。
     物事を考えるときもそうだ。組み合わせを新しくすると、おもしろい見え方になる。

    ・さきほど、化学反応の話を書いたが、これは、人でもそうだ。
     同じ専攻の人間と話していても、頭は凝り固まる。
     まったく異分野の人と話すことで、新しい発想が生まれる。

    ・忘却しなければならない。学校では、「覚えろ、忘れるな」と言われ続け、忘却は悪と教えられる。
     だが、人間が蓄えられる情報には限界がある。畑の収穫逓減と同じだ。
     本当に大事なことは、忘れない。忘却を恐れないでいい。
     そもそも、知っていても、考える力がなければ意味がない。

    ⇒読書も、「知識を蓄える」+「考える」ということをやるトレーニングだと「思います。」
    (余談ですが、本書によると、「と思う」をI thinkと訳してしまうと、
     海外の方は「日本人はなんて思索的なんだ」と感じるそうです。
     日本語の「と思う」は、おまけというか、トーンをボカす意味合いが強いので全然思索していないんですが、、、言葉って難しいですね)

    話がそれました。
    不思議なもので、本を読むことで(、、因果関係があるのか微妙ですが、)
    「次はこんな本を読んでみたい」「こんなことをやってみたい」と感じるようになりました。
    本書の最後に、「コンピューター」について、
    述べた箇所があり興味がでてきたので、
    そのうち、コンピューター関係の本を読んでみようかな。要約はこんな感じです。

    ・世の中にコンピューターが出てきた。(この本は30年前の本です。)
     こいつは、人間よりも膨大な知識を持つことができる。
     コンピューター時代において、人間の価値とは何か?
     それは、思考できるということ。

    ⇒コンピューターVS人間。30年前の本では、人間は知識では負けるが、考えることができるのだ、と。
     でも、今は・・・AIの登場で、考えることすら、コンピューターに敵わなくなってきています。
     たとえば、現状・課題のデータをコンピューターに与えれば、
     最も「合理的な」政策を提案してくれるのでは・・・
     では、人間の価値は?・・・コンピューターが捨て置く「非合理な」判断をできてしまうのが、人間の強み・・・?

  • 論文作成を軸に書かれている。
    麦(素材)と酵素(アイディア)があれば発酵し始めるが、寝させないとビールにはならない。
    騒ぎ立てない。忘れてしばらく放っておく時間が大切。

    過集中して結論を急ぐのが私の弱点だったけど、これを読んでからフレーズを思い出すたびに、少しずつ改善できていると、今振り返って思える。

    ‘見つめるナベは煮えない’

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著者プロフィール

お茶の水女子大学名誉教授

「2018年 『「考える頭」のつくり方』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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