芥川龍之介全集 1

  • 筑摩書房 (1986年1月1日発売)
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Amazon.co.jp ・本 / ISBN・EAN: 9784480020819

みんなの感想まとめ

多様なテーマや視点を持つ短編作品が収められており、読者を深く考えさせる魅力があります。特に、自然主義に対抗し独自の物語構造を追求した作風は、当時の文壇に新たな風を吹き込んでいます。作品は、普遍的なテー...

感想・レビュー・書評

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  • 主に芥川の初期の短編を揃えた作品集。当時の文壇に支配的だった自然主義に対立し、西欧風の架構的物語を自分流に実現せんとする新進気鋭で愉快な作風が色濃く反映されている。そうした意識の上で、尚我々を感心させるのは矢張り芥川の手数の多さであろう。「鼻」「羅生門」「父」の様に芥川の普遍性を見抜く理知的鋭さを真正面から享受できるもの、「運」「煙管」の様に普遍性を愉快な小話に落とし込んだもの、「青年と死」「尾形了齋覚え書」の様に一風変わった実権的書き方のもの、「酒虫」の様に古典を原典に取るもの、「さまよえるユダヤ人」の様に切支丹を題材にしたもの、「MENNSURA ZOILI」の様に…とここに書き止まれない程の方法論の多様さで、その根底にある作風・眼差しは一貫しているものの、一方で「似てるな」「同じ様なのあったな」と思わせない、我々に飽きを来させない性格を有している。芥川が多くの読者を引き付けた主因であろう。

  • 芥川龍之介が描いた「超ダークな平安時代」の迫力 | 日本人が知らない古典の読み方 | 東洋経済オンライン | 社会をよくする経済ニュース
    https://toyokeizai.net/articles/-/454891

    筑摩書房 芥川龍之介全集 1 / 芥川 龍之介 著
    https://www.chikumashobo.co.jp/product/9784480020819/

  •  読書力養成読書、4冊目。何人かの文豪の作品は、ちくま文庫の全集で買いそろえてあるので、これを読んでいきます。読書力読書としてカウントする冊数は、巻数に関係なく1タイトルを1冊とします(巻数のある作品はすべてこうカウントしていきます)。ずっと本棚に並んでいただけの文庫全集、この機会に全部読んでやろうじゃないの、と意気込んでおります。

     てことで、まずは芥川龍之介から。1巻に収録されている作品は、以下。
    老年
    青年と死
    ひょっとこ
    仙人
    羅生門

    孤独地獄


    酒虫
    野呂松人形
    芋粥

    手巾
    煙草と悪魔
    煙管
    MENSURA ZOILI

    尾形了斎覚え書
    道祖問答
    忠義

    世之助の話
    偸盗
    さまよえる猶太人
    二つの手紙
    全集なので制作順に収録されています。私はもともと、どの作家も処女作から順番に読んでいくのが好きなので、全集をこうして文庫で読めることがとてもうれしく、ありがたく思います。

     芥川龍之介、めちゃくちゃおもしろい! 時代や場所、語り手、文体、すべてがガラリと違う作品ばかりで、次はどんな話だろうとワクワクしながら読みました。しかもどれもおもしろかった。風景描写や心理描写が素晴らしく、過不足なく巧みに表現されていて、甚だ失礼ながら「さすが、やっぱり文豪は違う」と思わずにいられませんでした。

     名作といわれる作品は、よく、高校生くらいの若者に読むよう勧められます。多様な価値観があることを知り、感性を磨くために(まさに『読書力』で語られる〈自己形成〉のために)。もちろんこれには激しく同意なのですが、初読再読にかかわらず、大人になってから読むことも大事だと思いました。それまでの人生経験により、若いころには思い至らなかったような深い理解が得られますし、いろいろな角度から想像したり考えたりできるのです。

     私は「羅生門」や「鼻」を若いころに読んだことがありましたが、知識も想像力も未熟すぎて状況理解が足りず、結局どんな話だったか記憶が曖昧だったのです。しかし今回はまるで映像を見ているかのように状況が理解でき、登場人物たちの細かい心の動きまでよくわかりました。おかげで、くすっと笑えたり悲しくなったり憤りを感じたり切なくなったり、じっくり深く味わうことができました。とくに「偸盗」は格別に良かった! 血湧き肉躍り、涙が出ました。「仙人」もお気に入りです。

     この芥川全集は、全8巻。いろいろな本を楽しみながら、2巻以降もちょろちょろと読んでいくつもりです。他の文豪の全集も控えてるしね。ああ楽しみ。

     ただちと表紙がねぇ……。これをテーブルの上に置いておいたら、夫が「何この気持ち悪い表紙は⁉︎」とギョッとしていました。やっぱそうよねぇ。ちとコワイよね。1巻のイラストは「芋粥」の主人公らしいんだけど、私のイメージではこんなんじゃないし……。

  • 芥川龍之介というとどうしても芥川賞が先行する。全部名作みたいな先入観を持ってしまう、反実仮想。一方で居並ぶ直木賞はどうかと言われると、作品はおろかフルネームすら覚束無い。三十五か六。

    中学の国語で『羅生門』は読んだ。『蜘蛛の糸』『地獄変』あたりも内容は知っている。聞いたことがあるだけだった『鼻』『芋粥』あたりは元々持っていた印象とだいぶ違った。

    どの作品にも言えることだが、読んで「はい、おしまい」だと何のことやらさっぱり訳がわからない。「で、何?」と深掘りさせられるのが作品の妙といえるのかもしれない。

    現在の話とか、題材を内外の古典に取っていたりするのとか案外幅が広く、中には説法くさいものもある。注目したいのは心情の移り変わりに対しての気付きに重きをおいて書いている作品。主人公が心境の変化によった顛末を迎えることがあれば、神の視点から読み手に変化が伝わることもある。
    んなもん当たり前のことだろってそうなんだけど、ここがベーシックになっているんだろうなって感じがする。

    この中だと『偸盗』が好き。こういうのも書けるんだという新鮮味と活劇の臨場感があって他編と一線を画していたように思える。

  • 中学生以来読んでいなかったが今読んでも色褪せることない名作。
    鼻を読んだことあるが昔は理解でかなかったのが今では充分わかる。
    まだ積読の太宰治も読みたい。が、今は大河の影響で紫式部に目がいってしまう。

  • ★3.5
    ユーモアのあるものや読み手に考えさせられるもの。

  • 十代の頃に主要作はほとんど読んだ芥川だが、再読して、どう感じるか、考えるか試していきたい。注が程よく付されており、内容を理解する上で助けになる。

  • 太宰治が人間的な生臭ささを感じるのに対して、芥川は審美的な感じを受ける。

    双方ともに、自分対するナルシズムは感じるが、泥臭い太宰と優雅な芥川という印象を受ける。

    味わい深い作品が多い。

  • 本当は角川で読んだけど入ってないからこっち。角川は表紙の天野さんの絵が好き。初期の芥川の作品は歴史題材が多くて、文の作りが精巧。

  • 彼との出会いは小学校のとき。『蜜柑』で惚れました。

  • 羅生門て、初めて読んだとき、よく意味がわからなかった。
    黒澤映画で見たときは、もっと意味わからなかった・・・(汗)

  • 人間は、時として、充されるか充されないか、わからない欲望の為に、一生を捧げてしまふ。その愚を晒ふ者は、畢竟、人生に対する路傍の人に過ぎない
    ──『芋粥』

  • 芥川龍之介はとても多様な作家なのだなと思った。ごく初期から「仙人」や「酒虫」のような中国ものも書いているし、「父」には東京の中学生の放言が記録されていたし、「猿」のような海軍士官候補の世界、そして、「鼻」「芋粥」「偸盗」のような『今昔物語』『宇治拾遺物語』にもとづいた王朝物、「虱」「煙管」「忠義」のような江戸幕末物、「世之助の話」のような井原西鶴の解釈、「魔術」「さまよえる猶太人」のようなエキゾチックな小説、どれも面白かった。「Mensura Zoili」では自分の小説を「常識以外なにもない」と評しているが、ある意味そうなのだろうが、これだけ多様な物語世界を作れるのはすごいことなのだろうと思う。

  • 「羅生門」と「鼻」のみ読了。
    みんながやっているなら自分も、という心理をどす黒く描いた羅生門。
    ○○よりはマシ、と自分の中で折り合いがつけばいいんだよなとちょっと笑える鼻。
    鼻を持ち上げていた板なんて発想が面白い。

  • 2000.01.01

  • 〈今回刺さったもの〉
    1 偸盗
    2 忠義
    3 父

    〈もう何度読んだか分からんもの〉
    羅生門

    芋粥
    (父もここに片足をつっこんでいる)

  • [老年]
     若い頃に遊んでいた老人の枯れ具合は、江戸文化の衰退にも見えた。
     男は武勇伝が好きで、老人の話を聞きたがる。だけど老人は一人の部屋で、猫に甘えた声を出していた。それを見た若い者は、そそくさと帰る。それは未来に対する気恥ずかしさか、記憶に残る思い出を消さないためか。
     若い頃の作品だけど、文章が上手い。当たり前だけどね。ゆっくりと噛み締めて読むと、香りを感じた。
    [青年と死]
     透明なマントを着て、妃たちに夜這いを仕掛ける。最後はバレて殺されてしまう。
     ドラえもん的な話だけど、中国でこういう逸話が残っているのかな。
    [ひょっとこ]
     ひょっとこを着た男が船で踊っていて、倒れて面を取ると顔がひょっとこみたいになっていた。
     呪いの面なのか。そういうわけでも無くて、酔っ払ってそうなったのか。
    [仙人]
     鼠に芝居とさせる見世物をしている男は金が無い。ある日、自分よりボロボロの老人に会う。老人は仙人だと言って金をくれた。
     仙人は何にも不自由しないはずなのに、苦しい人間の生活をしている。結局、暇に苦しんでいるのではないか。金はあるし、なんでも出来るけど、やりたいことがないという人物に見えた。
    [羅生門]
     名作と名高い羅生門。話の内容はよく分からない。
     男がいきなり老婆の着物を奪ったのは、人はすぐに悪に染まるということか。生きるための悪の肯定を感じた。
     男の心理状況を追っていくのが一番読みやすい気がする。テキスト以外の小物にも読み解く鍵があるので、何回か読んで解説書でも探そう。
    [鼻]
     鼻が長くて笑われていた男が、鼻が短くなっても割られるので、長く戻ったことを喜ぶ。
     笑われていたのは鼻のせいだけではないし、自分でも鼻が短くなったことが気になって、周りを見ていただけかもしれない。
    [孤独地獄]
     孤独地獄に落ちて興味が永続しない禅僧。そこら中に、こういう人はいるだろうけど、なんにしろ地獄と名のつくものには近寄りたくない。
    [父]
     著者の中学生時代に、電車にいる客を見てあだ名をつけるのが上手い奴がいた。そいつが周りの級友に言われて、あだ名をつけたのがそいつの父だったと著者は気づく。
     どういう心持だったかは分からないが、照れ臭くもあったのか。当時でいうとおしゃれな感じの父だったのかな。
    [虱]
     虱が大量発生して、懐で飼う男と食べる男。双方はお互いが気に入らなくて罵り合う。
     この話の面白いところは、虱が台風の目だということ。
    [酒虫]
     大酒飲みが体の中にいた酒虫という虫を捕ってもらうと、酒は飲めなくなり富は無くなる。
     虫がいたから富があったの、富があったから虫がいたのか。
    [野呂松人形]
     著者が人形劇を見に行く。その人形は古くて、そこまで動かないが品がある。
     著者が思ったことが面白くて、自分たちの芸術もこの人形のように古くなって消えて行くのだろうかと考える。
    [芋粥]
     意気地が無くて誰からも相手にされていない五位の夢は、飽きるまで芋粥が食べたい。だが五位は、いざ食べるときになると、怖気付いて少ししか食べなかった。
     夢は夢のままが美しいという訓示だろうか。もう少し、何かありそうだけど。
    [猿]
     船で盗みを働いた船員を追いかけて、いつの日か猿を追いかけたところを思い出す。
     人が悪いことをするには理由がある。間違っても猿を取るように気楽にやってはいけない。副長にはそれが分かっていたんだな。
    [手巾]
     先生の家に生徒の母が尋ねてきて、息子は病気で亡くなったと話す。先生は母の不動さに不思議がるが、物を拾おうとして母が机の下ではハンカチを震えんばかりに握りしめていたと知る。体では泣いていたのだ。
     これは美しい話だ。傍目には気丈に振る舞っていても、実は泣いている場合がある。
    [煙草と悪魔]
     悪魔が神父に化けて日本に来て、暇つぶしに煙草を植えた。農民との賭けて、名前を答えたら煙草をやろう。答えられなかったら魂を貰うと脅す。農民は煙草畑に牛をけしかけて、悪魔が怒鳴った時に煙草の名を聞いて、無事に畑を貰えた。
     ただ、日本には害を及ぼす煙草が広まったので、悪魔的にはそれもまた良しなのではないか。
    [煙管]
     金持ちの武士は金の煙管を見せびらかすようにしている。僧侶たちはそれを羨ましがって、一人の僧侶が頂戴に行くと武士は喜んで煙管をやった。武士にとってはステイタスを表す物なので誇らしいのだ。部下たちは財政が圧迫しては困ると思い、煙管を真鍮に変えた。僧侶が真鍮に変えた煙管をもらってからは、もう二度と煙管をねだらなくなった。武士は以前と同じように煙草が美味く感じなかった。
     芥川はこういう話が多い。武士は煙草を飲んでいたのではなくて、ステイタスを飲んでいたんだな。
    [MENSURA ZOILI]
     美術品を測定できる機械。芥川の作品も久米の作品もあまり良くない評価だ。夢の話だが、本当に見た夢なのかな。
     芸術を測定するなんて、絶対に無理なことだ。芥川を読んでいると芸術というものがよく出てくる。改めて、文学は芸術なんだと気づく。
    [運]
     物質的な幸福だけを真の幸福と考える若侍と、精神の内部における幸福を最大視する翁と、この相対する二つの型の人間の会話を最後において、種類の異なった幸福感を示した。
     精神を病んでいた芥川らしい問題提起だ。
    [尾形了斎覚え書]
     キリシタンを捕まえたとかの文書だが、昔の書き言葉なので読みにくい。
    [道祖問答]
     男女の交合も万全の功徳とはものも言いようだ。口が上手い御坊だという印象。解釈していけばなんでもありになってしまう。
    [忠義]
     人が狂って、城内で人を殺して、お家が潰れる。ホラー話だ。非常に怖い。
    [貉]
     貉が歌を歌ったのは、女がついた嘘だったが、それが次第に村中で聞いたという声が上がって、見たという人も出る。ついには女も貉の歌を聞いてしまう。
     化かすという事と、化かすと信ぜられるということに、どれほどの相違があろう。妖怪や物の怪の話はだいたいこういう時スタートを切って広まって行く。
    [世之介の話]
     3742人の女と戯れたという男。話を聞くと、手を触れた女も数えるとそれだけの数になったという。
     それでも結構な人数だけど。
    [偸盗]
     100ページを超える中編。長めなので登場人物も多い。迫力があって、美しくて面白い。
     沙金という女の悪女っぷりが気持ち良い。阿漕の描写が美しかった。
    [さまよえる猶太人]
     世界に伝承があるユダヤ人が日本にも来ていたのではないかという話。芥川は随分と、この話に執心らしい。キリスト教に心奪われているのはよく分かる。もしかしたら、自分のことのようにユダヤ人を見ているのではないか。
    [二つの手紙]
     ドッペルゲンガーを見たのでどうにかしてほしいと警察署長に手紙を出す男。
     最初は本当に見たのだろうと思って読んでいるが、ページが進むごとに男が狂っているのだと分かって怖くなる。奥さんがいなくなったのは、自分から出て行ったのか、もしかすると男が手をかけたのかと疑いたくなる。

  • 圧倒的。短編の形式でここまで網羅的に東洋、西洋の歴史を横断できる作家はほぼ居ないはず。この一冊でさえ畏怖を覚える。
    歴史的な遺産。

  • 老年、青年と死、ひょっとこ、仙人、羅生門、鼻、孤独地獄、父、虱、酒虫、野呂松人形、芋粥、猿、手巾、煙草と悪魔、煙管、MENSURA ZOILI、運、尾形了斎覚え書、道祖問答、忠義、貉、世之助の話、偸盗、さまよえる猶太人、二つの手紙

  • 芥川龍之介、好きだな。

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著者プロフィール

1892年(明治25)3月1日東京生れ。日本の小説家。東京帝大大学中から創作を始める。作品の多くは短編小説である。『芋粥』『藪の中』『地獄変』など古典から題材を取ったものが多い。また、『蜘蛛の糸』『杜子春』など児童向け作品も書いている。1927年(昭和2)7月24日没。

「2021年 『芥川龍之介大活字本シリーズ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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