夏目漱石全集 (9) (ちくま文庫 な 1-13)

著者 :
  • 筑摩書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (648ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480021694

感想・レビュー・書評

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  • 夏目漱石の遺作としても知られる長篇。世間では傑作と評価されていて、その理由もなんとなくわかったが、個人的にはどうにも評価しづらい。登場人物は全員いけ好かない(とくに小林)し、どうも会話も冗長すぎる気がするし、なによりも本作は完結していない。それでも各場面にいろいろと見るべき点はあるのだが、悲しいかなわたしはそれを的確に表現する力を持たない。また、本作を読み終えての感想よりも、本作をもって漱石の全小説を読み終えたことに対する感慨のほうが大きかった。ところで本作は未完ということで古今東西さまざまな論者がその結末を予想し、また水村美苗が勝手に構想した続篇も存在するのだが、作品の冒瀆までとは思わないにせよ、未完ゆえの価値というものもあると思うので、ちょっと無粋な試みだと思う。

  • 主人公が痔の手術のため1週間ほど入院して退院するのだが、それだけの期間に500頁が費やされる。主人公、妻、妹、後見人、親戚、友人等がそれぞれ組み合わせを変えつつ、神経戦ともいうべき会話を展開し、それを作者漱石が飄々とした調子で実況中継する、といった趣。とにかく面白い。活劇でもないのにどんどん読める。そして物語が盛り上がってきたところで突然、〈未完〉の文字。残念だが、漱石の語り口を楽しむだけでも充分読む価値はある。

  • 「明暗」収録。漱石最後の作品にして大長編。未完が惜しまれる。

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著者プロフィール

1867(慶応3)年、江戸牛込馬場下(現在の新宿区喜久井町)にて誕生。帝国大学英文科卒。松山中学、五高等で英語を教え、英国に留学。帰国後、一高、東大で教鞭をとる。1905(明治38)年、『吾輩は猫である』を発表。翌年、『坊っちゃん』『草枕』など次々と話題作を発表。1907年、新聞社に入社して創作に専念。『三四郎』『それから』『行人』『こころ』等、日本文学史に輝く数々の傑作を著した。最後の大作『明暗』執筆中に胃潰瘍が悪化し永眠。享年50。

「2021年 『夏目漱石大活字本シリーズ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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