青空人生相談所 (ちくま文庫 は 6-1)

著者 :
  • 筑摩書房
3.71
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本棚登録 : 234
感想 : 23
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  • Amazon.co.jp ・本 (284ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480021878

感想・レビュー・書評

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  • 著者がさまざまな世代の人びとから寄せられた人生相談に回答した本です。

    回答者のするべき仕事は、「あなたの望む解決策は、既にあなた自身の質問の中に書かれている」ということを指摘することだと、著者は「まえがき」で述べています。「あなた自身の説明によれば……」という形で、質問者の持ち込む問題の本質に踏み込み、ときに厳しく、ときに教え諭すような語り口で、回答していきます。

    けっきょく、解決策は質問者の相談の中に最初から含まれているわけですから、著者の回答も「いい加減腹くくって現実と向き合えよ」という結論にならざるをえないのですが、それが例の橋本節でやられるわけですから、質問者の逃げ道を全部、論理的につぶしてから決断を迫るということになります。

    ときには独り決めがすぎるような気がしないでもないのですが、著者の見立てが質問者の状況にドンピシャだった場合には、質問者にとって恐ろしい回答だろうなあと思わざるを得ません。

  • 30年以上前の相談だけど、人間の本質ってなんにも変わらないんだなー。
    権威になってしまう!と焦るところがもうお釈迦様だよな。

  • 単行本が出版されて30年は経とうとしますが、
    今読んでも、本当に面白い。
    人生相談本として、異色の出来と言うか、
    恐らく金字塔だと思う。
    それは、橋本治氏の並外れた知性と、想像力だからだろうと思う。

    こういった相談モノは、
    時代背景が色濃く反映され、
    経過年数を経てばたつほど、面白くなくなるが、
    ただ、この本に限っては、全くの逆になっている。
    ますます価値が出ているように思います。

    橋本氏「人間の悩み」を、かなり深いレベルまで、見通している。
    それは氏の一連の著作から、日本文化・歴史に関して深い洞察を持っていたり、
    また、自身が小説家だったりと、人間を扱う上での、
    エキスパートだからだろう。

    読んで全く損はないし、そして今、多くの日本人が感じている閉塞感や
    先の見えない不安感に対して、どう接していけばいいのか、そのヒントを得る
    ものだと思う。

  • phaさんの「ニートの歩き方」で紹介されていた本。26年前の本だけど悩みは昔も今も変わらないもの。それをバッサリと途轍もない論理と視点で斬りまくる。特に十代、二十代の悩みへの回答は秀逸です。いやー、面白い!!
    ちなみに「ニートの歩き方」も素晴らしい本!生きることを掘り下げてじっくり考えるきっかけになると思います。

  • 橋本治の人生相談本。雑誌に連載されていたのをまとめたものらしい

    橋本治が相談者に対して、すごく内角にえぐるタマを投げ返してくる。デッドボールすれすれ。相談者が10代だろうが50代だろうが容赦ない。回答は論理的に強固に構築されていて、論理的豪速球と言っていい。論理的豪速球に付き合うのはしんどい。読者にも論理的体力が要求される。しかし体力のある読者なら読み物としておもしろいだろう。

    回答の多くは「相談者はこういうことに違いない」という強引な断定の上に成り立っている。相談者の役に立つかどうかは疑問だが、読者に効いてしまう部分はある。10代の相談者から寄せられた、老人ホームにいる祖父の話が一番効いた。

    ところで、この本の相談内容は本当に雑誌読者から寄せられたものなんだろうか?著者が相談を自分で書いて自分で返答する自作自演なのではないか?そんな疑いを持ってしまった。

  • 2018/03/18 初観測

  • 買いたい

  • phaさんの本で紹介されていたもの。なかなか面白かった。ちょっと昔の本なので、中身もそんな感じだけど。ほんと人の悩みってどうでもいいよね。

  • この前ごはんを食べに行ったら、
    「大藤はこじれている」
    みたいな話になり、そのこじれの処方箋として
    おすすめしていただいた一冊。
    タイトルがいかにもまたピッタリな感じですよね。

    内容は、色んな境遇の老若男女から
    どしどしと寄せられる人生相談に、
    小説家である筆者が切り込んでいくという285ページ。

    読者のお悩みを読んで自分なりの一般的な意見とか
    回答とかをなんとなく用意し、いざ回答を読みすすめると、
    全然違った視点から問題をとらえていたりして、
    ちょくちょくよくわからなくなったり、
    わかったような気になったり、混乱します。

    必死にパンチとかキックとか繰り出して
    ぜぇぜぇいいながら戦ってたら
    師匠にヒミツのツボとんって押されて倒された。
    みたいな、なんかそんな感覚。

    結局ぼんやりとわかったような気になって読み終えてしまいましたが、
    また人生レベルが上がったら新たにわかる箇所も出てくるかもですし、
    そのうち読み返してみるのも良いかもしれません。

    橋本さんの回答は良い感じに毒とユーモアがあり
    読み物としても面白いですので、
    こじれてる方もこじれてない方も、
    ぜひ読んでみるといいのではないでしょうか。

    ありがとうございました!

  • だいすき

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著者プロフィール

1948年東京生まれ。東京大学文学部国文科卒。小説、戯曲、舞台演出、評論、古典の現代語訳ほか、ジャンルを越えて活躍。著書に『桃尻娘』(小説現代新人賞佳作)、『宗教なんかこわくない!』(新潮学芸賞)、『「三島由紀夫」とはなにものだったのか』(小林秀雄賞)、『蝶のゆくえ』(柴田錬三郎賞)、『双調平家物語』(毎日出版文化賞)、『窯変源氏物語』、『巡礼』、『リア家の人々』、『BAcBAHその他』『あなたの苦手な彼女について』『人はなぜ「美しい」がわかるのか』『ちゃんと話すための敬語の本』他多数。

「2019年 『思いつきで世界は進む』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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