太宰治全集 (3) (ちくま文庫)

  • 筑摩書房 (1988年10月25日発売)
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Amazon.co.jp ・本 / ISBN・EAN: 9784480022530

みんなの感想まとめ

多様な人間の心情と独特のユーモアが織り交ぜられた作品群が特徴です。再読した「駆込み訴え」では、愛の苦悩が普遍的な感情として描かれ、共感を呼び起こします。特に女性の独白がリズミカルに響く作品もあり、感情...

感想・レビュー・書評

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  • 全集二冊目。「駆込み訴え」再読
    ★4「畜犬談」「皮膚と心」

  • 「八十八夜」、「畜犬談」 - 「俺ってパッとしない、死にたい」系のおかしみのある文章。電車の中で読んでいて思わず笑ってしまった。第2巻に比べると、自分べったりじゃなくて精神状態がいい様子。

    「俗天子」、「誰も知らぬ」 - 男性より女性の独白のほうが、圧倒的にリズムがいい気がする。女の人が憑依したみたい。

    「駆け込み訴え」 - 第3巻の目玉。好きな人に同じように好いてもらえない人の苦しみ。世界中の誰もが知っている気持ちが書かれている。

    「乞食学生」 - これを読んでそわそわして、最後にほんわりした気持ちになるってことは、中年になったということ。

  • 犬に対して凄まじいツンデレを見せたり(畜犬談)、女の子の裸を見て元気になったりしている(美少女)。
    走れメロス、面白いよなあ。邪智暴虐って言葉が大好き。

  • 久しぶりに太宰治を読んだ。
    感性と才能がほとばしっている。
    日本はさぞ生きづらかっただろう。
    (2019.2)

  •  この方の文章は、文中に出てくるのが「登場人物」なのか「ご自身」なのかが頻繁にわからなくなります。それが「ご自身」だった場合の卑下っぷりが、とにかく凄まじい。

     『鷗』に関しては、「自己嫌悪」とかそういうの通り越して半ば「無」。ほんと「無」。見ているこっちがつらくなってくる。

     『皮膚と心』はトライポフォビアについて。この時代にそれに触れるとは、着眼点が違うなと感動しました。御本人は、コンプレックスを語っただけなのかもしれませんが。

  • お中元でもらう高級お茶漬けセットみたいな1冊。食べ応えのあるもの、懐かしい味のするもの、新しい味のするもの、20篇以上の特色あるバラエティがアソートされてるので、すすすっと読めるうえ、どれも本当に風味が豊か。読みやすさ、親しみやすさにホッとする、そんな1冊だった。

    全集2よりも気に入った短編が多かった。
    全集2では人の優しさや温かさに触れる主人公の心情変化に主眼が置かれたものが多かったけれど、女性にフォーカスしたものと、太宰自身が生活を省みる自伝のような作品が収録されている。別にそんな他意なく編纂されてるんだろうけど。

    畜犬談
    皮膚と心
    女人訓戒
    駆込み訴え
    老ハイデルベルヒ
    善蔵を思う
    乞食学生

    あたりが気に入った。なかでも

    ①溢れ出る愛と憎悪の激烈な感情がどういうわけか隙間なくきちんと収納されている「駆込み訴え」

    ②学生相手にムキになる大人に、なおのことムキになる学生の描写がいちいち滑稽で笑えるのに、なぜか甘苦い余韻の残る「乞食学生」

    は面白かった。

    あと「女は、一瞬間一瞬間の、せめて美しさのよろこびだけで生きているのだもの」がグッときた「皮膚と心」もいい。対象物にどうやって感情移入したらこういう視点で物事をストーリーにできるんだろう。決して太宰が女々しいようには見えないけど、女の決闘、女人訓戒など、男性が空想で書くにはあまりにリアルな作品が目立った。

    あと最後に「走れメロス」ね。あれ別にメロス勇敢でもなんでもないわ。文学じゃなく歌で覚えてたからか、勇敢なメロスのイメージが粉砕されて久々に読み直して笑ってしまった。月曜AM中〆の資料提出を、土日やらないで始発で来てやる営業担当となんら変わりないじゃん。上長報告遅れたら考課に響くのに〆切信じて待ってくれたセリヌンティウス営業部長、こんなの美談にしてたら後々出世しないだろうなぁ。

  • 2000.01.01

  • 書き忘れ、やっちまったなあ。短編の分別はわからないけど、これは多いイメージ。こういうのが短編でいいんだよね。ちょっと前だから乞食学生だけ。「よし。よろこびのための酒は一杯だけにして止めよう。よろこびを、アルコオリの口実にしてはならぬ。」

  • 八十八夜。座興に非ず。美少女。畜犬談。ア、秋。デカダン抗議。おしゃれ童子。皮膚と心。春の盗賊。俗天使。兄たち。鴎。女人訓戒。女の決闘。駈込み訴え。老ハイデルベルヒ。誰も知らぬ。善蔵を思う。走れメロス。古典風。盲人独笑。乞食学生。失敗園。一燈。リイズ。

  • 「ビブリア古書堂の事件手帖」第6巻登場作
    『駈込み訴え』『走れメロス』収録

  • 八十八夜/座興に非ず/美少女/畜犬談/ア、秋/デカダン抗議/おしゃれ童子/皮膚と心/春の盗賊/俗天使/兄たち/鴎/女人訓戒/女の決闘/駈込み訴え/老〈アルト〉ハイデルベルヒ/誰も知らぬ/善蔵を思う/走れメロス/古典風/盲人独笑/乞食学生/失敗園/一灯/リイズ

  • ☆皮膚と心
    最高。主人公の気持ちに共感しまくりです。
    女にとって肌は命の次に大事…かも。

  • 物語の末尾でメロスの親友セリヌンティウスはこう言う。 「メロス、君は、まっぱだかじゃないか。早くそのマントを着るがいい。この可愛い娘さんは、メロスの裸体を、皆に見られるのが、たまらなく口惜しいのだ。」  勇者は、ひどく赤面した。 と終わる。 裸体とは恥ずべきものだが、ここで太宰は、正義や信頼に対し、絶対的な肯定を与えたうえで、恥じる、もとい、恥ずかしく思ってしまうもの、と言う意味を与えている。この逆説こそ、太宰治のユーモアであり、他の作家には描けないイメージである。

    以前どこかでも書いたが、信じるという言葉には、疑う、あるいは疑い得るという前提があるように思えてならない。信じられないけど、あえて信じてみる。「信じる」と言葉にすることで、信じてみるという意志が湧いてくるものだ。そういえば「信」という感じは、人が言う、と書く。
    真に敬虔な宗教家が「わたしは神を信じている」などと、頻度高く言うものだろうか。真に誰かを信じているひとが、「ぼくは〜を信じてるよ」などというだろうか。

    「この大事な時に、精も根も尽きたのだ。私は、よくよく不幸な男だ。私は、きっと笑われる。私の一家も笑われる。私は友を欺いた。中途で倒れるのは、はじめから何もしないのと同じ事だ。ああ、もう、どうでもいい。これが、私の定った運命なのかも知れない。セリヌンティウスよ、ゆるしてくれ。君は、いつでも私を信じた。私も君を、欺かなかった。私たちは、本当に佳い友と友であったのだ。いちどだって、暗い疑惑の雲を、お互い胸に宿したことは無かった。いまだって、君は私を無心に待っているだろう。ああ、待っているだろう。ありがとう、セリヌンティウス。よくも私を信じてくれた。それを思えば、たまらない。友と友の間の信実は、この世で一ばん誇るべき宝なのだからな。セリヌンティウス、私は走ったのだ。君を欺くつもりは、みじんも無かった。信じてくれ!」(本文)

    本当に欺瞞に満ちた言葉たち。言い訳だらけだし、一人称の文学とはいえ、ここまで語る勇者もいないだろう。しかし、そもそも言葉にする自体が欺瞞であるが、その欺瞞に自覚的であり、それでも、信じることに憧れるのである。わたしが太宰治に共感し、彼を大好きな理由は、まさにこの部分。人間的、あまりに人間的!無垢への憧れを諦めきれない一方で、一瞬でもそうありたいと願う。

  • 10.9.8~10.9.18

    『皮膚と心』収録(http://booklog.jp/users/huka/archives/B004080B48参照)

  • 5点は全部「皮膚と心」につけてます。
    とんでもねえ萌え小説です。(ええええ)

  • 「皮膚と心」が凄く好き。「愛おしい」ってたぶんこういうこと

    光が差し込む縁側で男が女の体に優しく薬を塗ってあげる描写が凄く美しくてキュンってなる

  • ア、秋ー
    職業詩人のカタログについての回想。例えが「ア」⇒「秋」。書いてくれと頼まれた事についての作詩用連想引き出し。秋は夏と一緒にやってきて、夏の陰に隠れて着々とその準備をしているらしい。判らなくもない。夏から秋にかけての境界線は他の季節よりも判りにくいから?

    兄たちー
    父親に先立たれた兄弟四人の話。三男が28で死ぬ。かれの様子がおかしいので医者に見せると「平気で」4、5日と言われびっくりする。そこから泣きながら兄の身辺整理を手伝い、兄弟、友人をよんで彼を看取る。兄の死の悲しさを書こうと思ったが肉親に死なれた悲しみは皆同じようなものではないかと気付き、やめる(書いてるけど)。


    老ハイデルベルヒー
    読み方はアルトハイデルベルヒ。学生が三島にしばらく住む話。やたらと居心地の悪くなる事が多い主人公。格好をつけようとして失敗することが多いみたい。三島に住んで、元いたところに帰ってからしばらくして旅行の帰り道に家族を案内したくてみしまに立ち寄る。昔の優しい三島ではなく、いまでは別人になってしまったような感じをひしひしと感じて寂しく思う。
    私が10年後にイギリスに戻ってきたらこう感じるのかもしれない。
    知り合いがいない土地は年を取るのが早い。

  • 「善蔵を思う」が読みたかったので、買ってみました。

    p.297
    「私は、嘘ばかりついている。けれども、一度だって君を欺いたことが無い。私の嘘は、いつでも君に易々と見破られたではないか」
    の一節は凄いを超えて脱帽の一言。
    さすが太宰治。

  • 100周年の余波で読む。ちまっとした短編が面白い。
    「畜犬談」「春の盗賊」「駆込み訴え」が個人的ベスト3。
    「昔の小説」のイメージを払拭させるユーモアが、確実にある。

    MVP:熊本くん(「乞食学生」)

  • 皮膚と心は永遠に聖域

    だって不細工だから肌がきれいじゃなくちゃ、
    唯一のアイデンティティーが崩壊してもなお
    支えてくれる旦那様の神々しさ!
    痛いくらいに共感した。

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著者プロフィール

太宰 治(だざい・おさむ):1909年、青森県北津軽郡金木村生まれ。中学の頃より同人誌に習作を発表。旧制弘前高校から東京帝国大学仏文科へ進学、中退。1933年、太宰治の筆名で「列車」を発表。「二十世紀旗手」「女生徒」「富嶽百景」「お伽草子」「ヴィヨンの妻」「斜陽」ほか代表作多数。1948年、筑摩書房の雑誌「展望」にて「人間失格」連載。同年6月、同作最終回の掲載をみることなく、玉川上水に投身。

「2025年 『人間失格』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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