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Amazon.co.jp ・本 / ISBN・EAN: 9784480022868
感想・レビュー・書評
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148冊目『江戸へようこそ』(杉浦日向子 著、1989年1月、筑摩書房)
漫画家・杉浦日向子による初のエッセイ。吉原、春画、戯作、“粋“という、江戸特有の4つの文化を紹介している。なかでも黄表紙の読み解きは実例付きなので本当に勉強になる。
中島梓(栗本薫)、高橋克彦、岡本螢との対談、そして岡本との合作絵草紙も収録。この絵草紙がお話、絵共に間が抜けていてなんとも粋である。
〈売春のことを売笑といいますけれども、日本人にとってはセックスと笑いというのはごく密接の関係にあったように思います〉詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
1989年発行、筑摩書房のちくま文庫。9編。江戸の情報というよりも江戸時代へのスタンスというか、現代からみた江戸時代とはどういう時代として関わるかというのが主題か。江戸時代の情報を仕入れたいと思って読むと期待外れかもしれません。
掲載作:『ありんす国だより‐吉原について』、きもの対談『不自由のすすめ』中島梓(対談)、『よっこら、すうすう、はあはあ‐春画について』、みちのく対談『江戸人のテレビ』高橋克彦(対談)、『真があって運のつき‐戯作について』、黄表紙を読む『金々先生栄花夢』、『つかず、はなれず、ユラユラと‐粋について』、こたつ対談『東京最後のおめでた人間』岡本蛍(対談)、特別付録『乙好太郎駄弁居眠胡散噺全』(おとこたろうぺちゃくちゃむにゃむにゃうさんばなし)、
あとがき:「御礼‐あとがき」、解説:『解説 杉浦日向子の「江戸アソビ」』泉麻人、他:「『江戸へようこそ』関連年号早わかり表」、 -
この本の肝は前口上にある。杉浦ひなこ先生の眼差しは、安楽椅子人類学者のよう。
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黄表紙を読む『金々先生栄華夢』が良かった。
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杉浦日向子がテレビで江戸を語っていたころからフアンだった。漫画家として一流なので、絵も楽しみだった。たくさんの本を出しているが、この本がとても好きだ。杉浦日向子は、単に「江戸」が好きというのではない。稲垣史生についてしっかり学習している。だからといって歴史として『江戸」を見ているのでもない。杉浦日向子の江戸は「江戸という名の都市に起こったさまざまな現象」を指している。、言う。「古い昔のでき事でなく、常にここにある同時代にまじっている江戸を見たいと感じています。」私も江戸切り絵図を手に町を歩いても、今を意識したいと思っている。
具体的にというか実際的にこの本で一番学習したのは、<黄表紙を読む『金々先生栄花之夢』>だった。
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江戸を題材としたマンガを描いてきた著者が、江戸時代の吉原、春画、戯作、そして「粋」について語った本です。
そのほか、中島梓、高橋克彦、岡本螢との対談や、恋川春町の黄表紙『金々先生栄花夢』を読んでみるコーナー、著者と岡本螢の合作「乙好太郎駄弁居眠胡散噺」(おとこたろうぺちゃくちゃむにゃむにゃうさんばなし)が収められています。
庶民の「晴れ晴れとした絶望感」への共感を表明する著者が、現在の東京に生きる自分の姿を「最後の東京おめでた人間」と規定しているのがなんとなく腑に落ちるように感じられました。著者は、九鬼周造の名著『「いき」の構造』では「媚態」「意気地」「あこがれ」という三つの契機によって「粋」を説明していることに触れていますが、著者のいう「最後の東京おめでた人間」という生き様にも、それと同じような気持ちの張りと艶っぽさと、しかもそれに捕らわれない自由を感じるように思います。 -
江戸へようこそ 杉浦日向子 ちくま文庫
江戸後期の一般庶民が
どれだけ平穏だったかと言うと
「宵越しの金は持たねえ」と
明日の心配をせずに粋がれたことだけでもわかるし
財布を女房が管理するカカア天下であったことでも
納得がいく
学問に遊びにあらゆる事に好奇心が強く
性のモラルも開放的で
吉原などの岡場所が公認だったことや
浮気やお隣同士でスワッピングとかも
雑居部屋でのセックスもありで
明るい環境だったらしい
男色やアナルセックスも普通の事だったらしい
戯作とか洒落とか粋などは遊び心の頂点であり
心にゆとりのある環境だからこその文化に違いない
いずれにしても何かに付け江戸はすごい
参勤交代もあり長く安定した政権でもあり
当時としては世界一の大都市だろうし
庶民の文盲もほとんど無く文化も知識も教養も高く
鉄砲や機関車見ればすぐに現物を創り出すし
憲法やら飛行機を設計していたというし
数学や測量も発展し日本列島の地図も作っていたようだ
それにしても杉浦日向子の好奇心もすごいし
江戸人に負けないその深い洞察力によって
見て来たように細部まで五感に響く語り口は
学問を越えて絶品である -
杉浦日向子さん、本当に賢い方ですね。中島梓お姉さん相手に受け止めながらきちんとコメントしていく力量は見事なもののですね。さまざまそうだったのかと膝を打つまざまな解説が散りばめられ楽しめる一作だった。
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江戸エッセイ、対談、漫画と盛りだくさんの本書。師匠の江戸に関する造形の深さを再認識。特に黄表紙は師匠の解説がなければ、真の面白味が判らず仕舞だった。古典が苦手では「江戸」は半可通なのか?! と自己嫌悪(^^;泉麻人の解説は軽過ぎ!
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江戸が好きという思いが柔らかい文体で伝わってくる。細かい知識も書かれているけど、かたさはない。
浮世絵について書いてあるとこの「有体に描きては興無きものなり」が江戸って感じ。 -
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80年代的な価値観があるが
野暮、粋、気障の解説は見事。
野暮は生活・地面(生み出す、商人、政治家、主張、固執
粋は遊び・天(非生産、明るい虚無、距離感
最低なのが気障(英国紳士的な)、とりわけ半可通(自覚なし)。
野暮の究極は後白河法皇かな。 -
新書文庫
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2006年4月20日、初、並、帯無
2016年1月26日、松阪BF -
不自由の中の自由、粋といった江戸のエッセンスを感じることができる。トップダウンの文化ではなくボトムアップの文化だったという点もおもしろい視点で、過去のものではなく現在進行形でわれわれに身に流れている江戸庶民の血について考えさせられた。
黄表紙のテキストや劇作家らとの対談など読み応えがありつつ面白い作品だった。 -
時代として、又場所として「江戸」を探索してみたいとき学術的な文献は多くありますが、読みやすいものはそう多くあるとは思えません。一部の作品を除いて時代劇からも「江戸」はすんなりと伝わってはこないでしょう。
時代考証を学ばれたかただけに、説得力のある「江戸」についての所感と対談作品ですね。
吉原の話、春画の話、戯作の話などが興味深く、わかりやすい言葉で書かれています。特に戯作については、洒落本、滑稽本、人情本、草双紙の解説に始まり、戯作の技法、精神については読む価値多いにありですね。学校教育では、戯作の存在ぐらいのさわりの部分しか教えないので、戯作のおもしろさはわかりませんね。
『金々先生栄華夢』を通して、黄表紙の解説は秀逸ですね。戯作者たちのエスプリとそれを理解する江戸の人々の素養のすごさを感じます。素直にもっと戯作読みたいと思いました。図書館に行って来ま~す。 -
そこまで江戸のことを好きでない人のための、江戸の本。
漫画?や緩い豆知識が豊富で、歴史にあまり興味が無くても読みやすい。 -
面白かった。データ的な江戸紹介ではなく、特定の話題について思いつくままに語っているような印象。そこにライブ感があって、「今現在」と地続きの江戸の話を確かに聞けた感じ。これ書かれたのは86年ですけど。
合間に挟まってる対談の一部にはちょっと反論したくなるような意見もあるものの、それも含めて色々インスピレーションを受ける内容でした。粋の話はモッズにも通じるなあ、とか。
割と性風俗に話題が偏ってますが創作方面の話題も多いので、絵描く人や物語作る人にもおすすめ。 -
江戸時代好き。杉浦さんは詠みやすく入門にぴったり。
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この作品は一九八六年八月二九日、筑摩書房より「ちくまぶっくす63」として刊行された。
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江戸という遠くで近い世界への誘い
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杉浦日向子の作品
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