- Amazon.co.jp ・本 (247ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480022868
感想・レビュー・書評
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江戸を題材としたマンガを描いてきた著者が、江戸時代の吉原、春画、戯作、そして「粋」について語った本です。
そのほか、中島梓、高橋克彦、岡本螢との対談や、恋川春町の黄表紙『金々先生栄花夢』を読んでみるコーナー、著者と岡本螢の合作「乙好太郎駄弁居眠胡散噺」(おとこたろうぺちゃくちゃむにゃむにゃうさんばなし)が収められています。
庶民の「晴れ晴れとした絶望感」への共感を表明する著者が、現在の東京に生きる自分の姿を「最後の東京おめでた人間」と規定しているのがなんとなく腑に落ちるように感じられました。著者は、九鬼周造の名著『「いき」の構造』では「媚態」「意気地」「あこがれ」という三つの契機によって「粋」を説明していることに触れていますが、著者のいう「最後の東京おめでた人間」という生き様にも、それと同じような気持ちの張りと艶っぽさと、しかもそれに捕らわれない自由を感じるように思います。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
80年代的な価値観があるが
野暮、粋、気障の解説は見事。
野暮は生活・地面(生み出す、商人、政治家、主張、固執
粋は遊び・天(非生産、明るい虚無、距離感
最低なのが気障(英国紳士的な)、とりわけ半可通(自覚なし)。
野暮の究極は後白河法皇かな。 -
2006年4月20日、初、並、帯無
2016年1月26日、松阪BF -
時代として、又場所として「江戸」を探索してみたいとき学術的な文献は多くありますが、読みやすいものはそう多くあるとは思えません。一部の作品を除いて時代劇からも「江戸」はすんなりと伝わってはこないでしょう。
時代考証を学ばれたかただけに、説得力のある「江戸」についての所感と対談作品ですね。
吉原の話、春画の話、戯作の話などが興味深く、わかりやすい言葉で書かれています。特に戯作については、洒落本、滑稽本、人情本、草双紙の解説に始まり、戯作の技法、精神については読む価値多いにありですね。学校教育では、戯作の存在ぐらいのさわりの部分しか教えないので、戯作のおもしろさはわかりませんね。
『金々先生栄華夢』を通して、黄表紙の解説は秀逸ですね。戯作者たちのエスプリとそれを理解する江戸の人々の素養のすごさを感じます。素直にもっと戯作読みたいと思いました。図書館に行って来ま~す。 -
<FONT color="#666666">この空のようにあっけらかんとした絶望感が、<br>
江戸市民の心の大半を占めていたのではないか……。<BR>
明るい絶望感と言うとちょっとおかしいかもしれないのですが、<br>
絶望に近いほど明るい、そういった湿り気のなさ、その感覚に、東京人である私たちが共感を覚えた時、<br>
東京もまた江戸へとたどりつく事になるだろうと思っています。<br>
</font><br><br><br>
杉浦日向子さんの江戸本。<br>
対談形式になっていてちょっと慣れるまで抵抗がありますが、間に入ってる杉浦さんの小話?見たいなのは何時もどうり読み外があります -
江戸(後期)の風俗について詳しく書かれている。着物を着始めてから読んでよかったと思う(お腰など着物を着ない頃には馴染みのない単語が出てくるので)