本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
Amazon.co.jp ・本 / ISBN・EAN: 9784480023292
みんなの感想まとめ
食の官能性と人間の欲望を巧みに描いた短編集で、特に女性の生々しい描写が印象的です。著者の谷崎潤一郎は、大正期の作品において、探偵小説の名手としての一面も見せつつ、独自の語り口で物語を引き締めています。...
感想・レビュー・書評
-
アンソロジーで芥川龍之介「魔術」を読んだら、
谷崎の「ハッサン・カンの妖術」を再読したくなったので、
久しぶりに手に取った。
一段落が長くても全然気にならない読みやすさ。
テンポがいいというよりは、
喉越しのよい麺類のようにツルツルッと入ってくる文章。
種村季弘セレクトによる大正期の短編小説・全8編で、
編者のセンス・嗜好が伝わってくる好著。
■病蓐の幻想
心配事が頭の中をグルグル回って、
眠ったのかそうでないのか判然しないという、
身につまされる嫌~な話。
懇切丁寧な歯痛の描写は知覚過敏の読者には拷問に等しい(泣)。
■ハッサン・カンの妖術
芥川龍之介にインスピレーションを与え、
「魔術」を書かしめたと目される作品。
語り手=谷崎が図書館で出会った
インドからの留学生との交際。
彼、マティラム・ミスラは子供の頃に出会った妖術師
ハッサン・カンについて語った――。
ミスラのセリフ(p.69)
> 物質と霊魂とは(略)
> どこまで行っても一致するはずはないのだから、(略)
> いずれか一つを選ばなければならないのです
で、T.R.コグスウェル「壁の中」の
「人間は二つの道を同時にたどることはできない(略)
ただし、そうするには二つの世界が必要だ」という
ウィッケンズ先生の言葉を連想した。
■小さな王国
一見平凡だが実は恐ろしく奸智に長けた子供に翻弄される教師。
これは怖い……。
■白昼鬼語
再読。
最初に読んだのは『谷崎潤一郎犯罪小説集』で、だった。
プラクティカル・ジョークの一種かと(かなり悪質だけど) 。
■美食倶楽部
これも悪質な冗談というか。
谷崎が「こんな話」を書いたら、こうなるのか(笑) 。
グロじゃなくてエロ寄りだった……って、違うか☆
■或る調書の一部
刑事(A)が容疑者(B)を訊問して作成された調書の一部、
という体裁の短編。
(B)とその妻は共依存関係にある模様。
■友田と松永の話
ダイエットとリバウンドの話(笑)。
■青塚氏の話
これはヒドイ(いい意味で)!
変態節全開(褒めてるんですよ)!!
若くして病死した映画監督が、亡くなる前、
女優である妻に書き残していた遺書。
カフェで接触してきた変なオジサンに絡まれて
嫌な目に遭わされた話。
とにかく生理的に気色悪い、
一種のホラーと言っても差し支えない内容だが、
アイドル(偶像)は、
たとえプライベートで配偶者(パートナー)がいたとしても、
支持者みんなのものだ、
ファン一人一人の所有物なのだ――という考え方には、
一応、首肯せざるを得ない。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
大じゃない谷崎の短篇集。ずいぶん俗っぽいなあと思う話もなくはないけれど、折々にはさまれる女性の描写が生々しく鮮烈で、そこはやはり谷崎潤一郎なのだった。後半のほうが、話し運びが引き締まっているし変態性が高くて面白い。以下三話が印象に残った。
美食倶楽部 - 食いしん坊もここまでくると実際悪徳。
或る調書の一節 - ダメ人間ロジックの一例。
青塚氏の話 - 凄い情熱だけどしょうもなさすぎて呆れた。変態です。 -
谷崎の二十代後半から三十代にあたる大正期の短編集である。探偵小説の名手でもあり、プロットの確かさと語り口の巧妙さに唸らされる佳作揃いである。またそれに加えて、これは編者の好みもあるのだろうが、江戸川乱歩にも通じるような露悪的、嗜虐的な志向性も強い。表題作に至っては食の官能性を究極まで描き抜いたその迫力にただただ圧倒されてしまう。ふと筒井康隆の『薬膳飯店』を思い出した。
-
食べることに関して「美食倶楽部」ほどエロティシズムを感ぜられた作品はありません。
-
耽美だ…
基本的に谷崎ってあんまり共感できる情動や美的感覚ではないけど、「或る調書の一節」はなんか良かった。語り手の男はクズだけど、誰かが自分のために泣いてくれることで自分が救われる気がすることってのはあるかもしれない。でもその為に相手を殴るっていうクズっぷりがすごい。凡庸じゃない、ひとかどのクズで良い。
「白昼鬼語」の終わり方も良かったし、「青塚氏の話」も狂乱爺がホラーすぎて良かった。
後書きの解説にもあったけど、美女に限らず登場人物は大体2面性を持ってるから、それが剥がれたり変化したりするのは面白い。
◯あらすじ
「善に対して真剣になれず、美しき悪業に対してのみ真剣になれるような、奇態な性癖を己に生みつけたのは誰なのだ」―対象の善悪を問わず美しいものへの惑溺に情熱を燃やし尽くした谷崎。大正期の谷崎文学に注目してきた編者種村氏が、表題作ほか7篇で再構成した珠玉のアンソロジー。いま新しく、谷崎文学の再発見。
病蓐の幻想
ハッサン・カンの妖術
小さな王国
白昼鬼語
美食倶楽部
或る調書の一節―対話
友田と松永の話
青塚氏の話
(筑摩書房HPより引用) -
文学
-
舌の肥えすぎた人はやっぱりこの手の嗜好に走りますか・・・。
-
不気味で滑稽でもあるが艶めかしい。
「或る調書の一部」の掛け合いなんかは笑ってしまう。
しかし、善いことができるはずがないから、
気持ちの好い悪い事をするという一節にどうも心を惹かれる。 -
6/11 読了。
-
小説がお上手。あと女好き。
-
グレート短編集。タイトル以外の短篇も、読み応えあり。
-
讀みたい
-
ファンタジーと狂気の間をさまよう作品集。狂ってます。絶版なのが惜しい。
この本が好きな人におすすめの本
著者プロフィール
谷崎潤一郎の作品
本棚登録 :
感想 :
