クラクラ日記 (ちくま文庫)

著者 :
  • 筑摩書房
3.84
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本棚登録 : 279
レビュー : 34
  • Amazon.co.jp ・本 (355ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480023544

作品紹介・あらすじ

敗戦の衝撃に茫然自失する戦後世界をランニング・シャツにパンツ一枚で走りぬけた男-坂口安吾。彼は一時期"戦後"の象徴だった。「堕落論」「安吾巷談」などで戦後文壇をはなやかにいろどり、やがてアドルム中毒のすえ狂気に追いこまれていく…。孤独の人安吾を捨身で支え、看護し、さまざまの事件の後始末に奔走した妻の座から、愛と悲しみをもって描き切った異能の作家の回想記。

感想・レビュー・書評

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  • ご多分に漏れず、「ビブリア古書堂」シリーズを読んでたどり着いた本です。

    坂口安吾さんのことは、国語の教科書に名前が出てたかなあ、「白痴」とか書いた人だ、くらいにしか知りません。

    この本を読んで思ったことは、「私にはクラクラ日記は書けない」ということ。
    いや、もちろん文章力の問題で書けるわけもないのですが、私だったらここまでの本を書けるような思い出がたまるまでに、離婚するから。

    絶対無理。
    薬飲んで大暴れして家族にも他人にも迷惑をかけ、裸で外出たり。
    外出すると連絡もなく何日も帰ってこないくせに、帰ってきたときに妻が家にいないと怒る。
    自分はさんざん浮気してるのに、妻が浮気したかもと疑って怒る。
    あり得ない。

    この本の背表紙に「安吾の溢れるばかりの魅力」って書いてあるけど、アリマスカ、魅力……。
    男の人なら、かっこいいと思うのかな。

    よく、三千代さんは離婚せずついていったなと思うのです。 
    こんなことをされても、許せるくらいの魅力があるのかなあ。
    「いい面はあまり書けなかった」と書いているので、たくさん優しいいい面もあったのだとは思うけど、ここに書かれていることだけで、私だったら立派な離婚材料です。

    まあまず、子供を置いて安吾さんの元へ行った、というくだりで「おいおいおい……」ではありましたが。
    置いてかれた子がその後どうしたのかが気になってしまいました。

    そうそう、関係ない話になりますが、「チャプスイ」。
    私は長女を妊娠しているとき、切迫早産で1ヶ月入院していました。
    その時、病院の夕食の献立表に「チャップスイ」という単語が載っていて、旦那と「なんだろね?」と話していたのです。
    結局、それを食べることなく退院してしまったのでチャップスイの正体はわからずじまいでしたが、チャプスイとチャップスイが同じものであるなら、もやしの旨煮だったんですね。
    ケチャップは関係なかったか。

  • ビブリア古書堂で取り上げられいた本。恥ずかしながら坂口安吾の本を読んでいないのに、先に奥方のお話から読んでしまった。次は安吾の作品をよもうとおもう。

    どうしても、 残された最初の子供の事を考えると、男との愛に生きた女の話は辛く、反感を持ちながらも、また壮絶な話なのにも関わらず、ユーモアと明るさに溢れた文章で、スラスラ読み終えてしまった。

    ただどうしても、自分にとって酒や薬に溺れ周りを傷つける人間は、許し難くその狂気をも愛したような感じが取れてしまう文章には、腹がたった。が、その部分の表現が素晴らしいかったのも事実でした。

  • 作家の日常生活を追うドキュメンタリーとして、夫婦の絆の物語として興味深く読めた。
    作家は自らの生命を削って作品を編み出すことが多分にあり、故に自殺する作家が多い所以であろう。安吾も然りで、覚醒剤と睡眠薬を服用しながらも作品にこだわり続ける姿勢は壮絶である。
    しかしながらその副作用で作者てある三千代をはじめ周辺の人に迷惑をかけ続けるのには閉口です。三千代主観で書かれているが、よく我慢ができるものだと感心するやら、腹立たしいやら。そんな時代だったのかもしれないが、夫婦の絆はもっと深いところで繋がっており容易には別れられぬものであろう、特にこの夫婦の場合は。時に劇的な名文章があり、作家のもとで読書に親しんでいたことなどが文才につながったのだろうか。
    それにしても表紙の画はまるで内容にそぐわない。いくら知人の横山泰三氏によるものであろうとも、元々はクラブのマッチやコースターのデザインとして描かれたものとの事でマッチしないのは仕方ない。下品な内容を想像されそうで外出時にはカバーをつけたくなる。

  • 『ビブリア古書堂の事件手帖2』に登場する本。坂口安吾の妻、坂口三千代が坂口安吾を語る。

  • 坂口の振る舞いにはハラハラされ通しだったけども……。
    子煩悩な部分を見せてからの、突然の死というのは、少し悲しいと思ってしまった……。

  • 『ビブリア古書堂の事件手帖』で取り上げた本。だけど今となってはどんな文脈で出てきたか覚えていない。

    著者の坂口三千代さんは坂口安吾の奥さん。
    壮絶な内容なのにあっさりと、まるでサザエさんみたいに書かれてるけど。坂口安吾に怒れてきてとても冷静に読めなかった。
    坂口安吾…ぶっとびすぎでしょう。覚せい剤と睡眠薬に溺れ、興奮すると裸で外に出て大暴れ。ふらっと何日も外出しておいて、帰った時に奥さんがいないと激怒するとか勝手すぎる。

    誰か(齋藤孝だったかロバート・キャンベルだったか)が、文学の魅力について、「自分じゃ体験できない極端な人生を味わうことができる」というようなことを言ってたけど、そういう意味で貴重な作品だった。

    今の時代だったら途中で離婚されるでしょう。二人が別れなかったのは三千代さんのキャラクターもあっただろうし時代もあったのかなと思う。安吾は良かったね。

    坂口安吾の作品は堕落論だけ読んだけど、もっとほかの作品を読んでみれば魅力がわかるのかな。

  • 『クラクラ日記』坂口三千代
    http://earthcooler.ti-da.net/e9329686.html
    蒲田(現在の矢口渡)時代。安吾はいったん書き出すと仕事部屋でひたすら集中した。その間、なにをすることもない三千代は、別の部屋で寝転がりながら、ひたすら本を読んでいる。安吾が三千代のために、どっさりと買い込んできたのだ。筆休めに顔を出した安吾は、君は幸せだね、などと三千代に声をかける。おかしみを含んでいるが皮肉ではない。

  • 「文士」なんで職業はいまでは過去のモノなんでしょうか。坂口安吾の奥さんが書いた夫婦生活の記録。やさしくて、身勝手で、自己破滅的で・・・ 坂口安吾像が最も身近な人によって書かれているわけですから、安吾ファンにとっては必読ですね。坂口安吾も安吾なら、奥さんの三千代さんもある意味宇宙人的です。狂気の世界すれすれを歩き、酒やクスリで問題を起こしまくる夫を支え続ける姿には感服します。その夫婦生活が安吾の死の前、短期間ですが二人の間に子どもが生まれたことを契機に今までになく平安なものになったことは救いなのかもしれません。貴重な戦後文学界の記録です。

  • (リリース:ウララ)

  • 【ネタバレ注意】









    器が大きく呑気でぼんやりな女性だから、坂口安吾氏の妻が勤まったのかなあ?と言う感じです。
    良い意味で鈍感なんじゃないか?とも思います。

    鈍感だからと言って、感性がない訳ではない、この三千代さんと言う人は不思議な人だと思います。

    平気で子供を捨てたかと思えば、犬を可愛がってみたり、道徳的に見れば理解出来ない点は沢山ありますが、やっぱり何か不思議な魅力を持った人のように思います。
    鈍感なゆえの、生命力の強さを感じます。

    内容はハードでも、文体がどことなくゆるく、力を入れなくても読める本でした。

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