ギリシア神話 (ちくま文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本
  • / ISBN・EAN: 9784480023735

感想・レビュー・書評

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  • ギリシア神話を知っていると、西洋の絵画をみるときにおもしろいかな、というのと串田さんつながりで借りてみました。
    出てくる神さまたちがはちゃめちゃすぎてびっくりしました。すぐに殺したり狂ったりしちゃうしルールとかモラルみたいなものは存在しないようです。死んでも生き返ったりしてとても自由です。
    お話も読んでもよくわからないのもたくさんありました。
    でも、そもそも世界というものはこういうもので、いまも本質はそうなんだけどもわたしたちはふだんスーパーにならんだきれいなお野菜だけ見てるみたいなもんなのかもしれないと、ふとおもいました。

    思わず笑ったのは、ミダス王がシレノスに「人間はどのように生きるのがよかろう」と訊ねたときの返事「まず生まれてこないことが一番いい、それでも生まれてしまったら、できるだけ早くこの世を去っていくのが賢明だ」。そんなあ。
    あと巻末に載っている、神さまたちの家系図みたいなやつ。ゼウスが凄すぎです。
    愛の神エロスとプシュケの恋の話はなかなかかわゆいです。数々の苦難がありますが、珍しくハッピーエンドな気がします。

  • ギリシャ神話、って知っているようで案外知らない。
    筆者のいっているとおり、簡単な入門書として読んでみて、「あ、これギリシャ神話がネタ元だったんだっけ」という逸話が数多くあってびっくりした。
    王女メディナ、メドゥーサ、スフィンクス、エコー、キマイラ、ヒュドゥラ、王様の耳はロバの耳、ほかにもいろいろ。
    そして、たとえばメドゥーサがどういう怪物かは知っていても、彼女がどういう成り立ちで怪物と化したのかは意外に知られていないんじゃないだろうか。そんな「知っていて知らない」エピソードをさらりと読むのがおもしろい。
    筆者自身も言っているとおり、ギリシャ神話は諸説いろいろあって、この本がすべて正解、というわけではないのだろうけれど、へえ、と思うには十分な内容だ。
    それにしてもギリシャの神様って無茶苦茶。絶対みんな思いつきで行動してるだろう、としか思えない身勝手さがいっそ笑える。
    まあ、思いつきで狂わされたりかどわかされたり殺されたりしたほうはたまらないだろうけれど、そういう「きまぐれで、だけど逆らいようもない絶対的な力」というのが遥か昔にははっきりと存在していたんだろうと思う。

  • ギリシャ神話の入門書と言われるにも関わらず、かなり複雑に絡み合った内容のものも多いですが、この本は馴染みのあるエピソードを読みやすい文章で紹介してくれました。パンドラ、オルフェウス、ペルセウス、ミダス王など子供向けの絵本や星座の由来として聞いた話をもう少し詳しく、多少の不道徳も伝承に近い形で読むことができます。いくつもある異説の中から、読んでいて気持ちのよいものを選んで書いてもらっているようにも感じられました。切り紙による挿し絵も分かりやすくユーモラス。大胆なデフォルメも神話の雰囲気にあってます。
    神話の内容だけでなく、著者の言葉がまた名文です。
    「神話から教訓を得ようとするのは滑稽なこと。」
    「ギリシャ神話が面白く書ける状態を作って書きたかった。」
    特に「知識として、教養としてという考えは嫌いですから」という言葉に目が覚める思いでした。ご存命の間に、お名前だけでも知っていたかった。

  • 世界史にさまざまな影響力を与えたギリシャ神話だが、内容は自由奔放だ。おそらくは当時の世界が絶対権力者と平民、あるいは奴隷という、融和不能な構図となっていることがその背景にあるのだろう。とくにゼウスはつねに盛りのついた犬であり、妻のヘラはどこまでも陰湿残酷な処刑人と言える。力のない者はある者に人生を翻弄されるということだ。神々でさえ弱肉強食の世界であり、家族においても我が子を喰らうクロノス(サトゥルヌス)のような展開がある。世界と人間社会はつねに疑心暗鬼であり、人の情と空しさを教えているとも言える。

  • ゼウスだとかエロスだとかその名前や〇の神というようなことは知っているがその中身はあまり知らない、という部分をかなり読みやすい文章で語られていおり、さくさくと読める。そして現代にあふれる様々な物語や思想の源流がここにあるのだと感じられ、これからギリシア神話の知識を深めていくには安定した一歩になったなと思う。

    『ギリシア神話を教訓に利用しようなど考える人がいたら、それはずいぶん滑稽なこと』と著者の言葉があるが、読後感はまったく何度も首肯した。神として人と区別している割に彼らが持つ感情や欲望は人間のそれよりも生々しくて、神であるが故なのかそれらを発露することに躊躇がない気がする。

    印象的だったのは
    『愛の神エロスが恋をした話』
    『月の女神と羊飼いの若者との月夜にふさわしい恋物語』
    『女神の涙から生まれた花』

  • エッセイストとして知られる著者が、ギリシア神話をわかりやすいことばで語りなおしている本です。

    著者は「はじめに」で、ギリシア神話から感動を受け取ったことがないと述べています。物語に安易な感動を求める傾向が強まっているなかで、人間の想像力の根源的な力強さをギリシア神話に見いだそうとする著者のスタンスが印象的です。

    本書の「解説」を担当しているのは竹西寛子ですが、編集者だったころに著者に本書の執筆を慫慂した、いわば本書の生みの親ともいえる存在です。彼女が読みたかったギリシア神話は、「人間のわざ」として「古事記」も「ハムレット」も分け隔てなく対等にあつかうようなまなざしでとらえられた「ギリシア神話」であったことが明かされています。本書が、「人間のわざ」としての「ギリシア神話」としての性格をもっていることが、通り一遍の解説には見られない、本書の魅力なのだと思います。

  • ゼウスがクズで笑えた。メディアやばい。

  • 新書文庫

  • ギリシア神話。とてもコンパクトで読みやすかった。入門にはオススメ。
    知っているようで知らない話が多かったから、ちゃんとお話として理解することができて良かった。
    セーラームーンの過去の話とかもギリシア神話を題材に引いていたんだなぁとか(笑)
    淡々と交わったり殺したりするストーリー展開がすごい(笑)プシュケとエロスの話が素敵だった。

  • 子どもの頃から興味はあったけれど、ノータッチだったギリシャ神話。はじめて読んだギリシャ神話の本。とても面白い。著者の書き方と、挿絵も面白い。ますます興味がわいた。あとあと、違うギリシャ神話の本を見て、この本が最初で良かったなあと思った。

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著者プロフィール

哲学者・詩人・随筆家

「2022年 『寺田寅彦随筆集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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