ヴィクトリア朝妖精物語 (ちくま文庫)

  • 筑摩書房
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本棚登録 : 25
レビュー : 3
  • Amazon.co.jp ・本 (555ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480024848

作品紹介・あらすじ

おとぎ話の世界には、古くからのいろんなきまりごとがある。たとえば…悪いドラゴンはセント・ジョージに滅ぼされるはず。良い娘は妖精から贈り物がもらえるはず。魔法をかけられた王女は王子に救われるはず…。ところがそんな"はず"をすべてはずして、思いがけない展開をみせるおとぎ話もある。イギリス・ヴィクトリア朝のひと味違う秀作をまとめた、文庫オリジナル版の楽しいフェアリーテール集。挿絵も多数収録。

感想・レビュー・書評

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  • 何にでも決まり事はつきものだが、おとぎ話の世界でも、その“はず”をはずしてみると…より自由な面白さを味わえる。ヴィクトリア朝の作家たちによる妖精物語のアンソロジー。
    文庫も分厚いが、14名のそうそうたる面々によるフェアリーテール群はどれも面白く、読みごたえも楽しさもたっぷり。味わいある挿絵も多い。
    この中で、私が既読だったのは、岩波少年文庫でのジョージ・マクドナルドとメアリ・ド・モーガンの二つだが、こちらは違う訳者で、それぞれ、荒俣宏氏(題名も“お目当て違い”)と安野玲氏によるものだし、何度読んでも味わい深い作品だ。

    クリスチナ・ロゼッティの妖しくも不思議な魅力に満ちた妖精物語の詩から、ディケンズのユーモラスでひねりのきいた作品や、エドワード・リアのナンセンスな面白さ(絵も自身)、マザーグースの国の冒険話(マギー・ブラウン)やら、イギリス風味もどっぷり。

    ラングの“いないいない姫”は、ウィリアム・アリンガム詩『妖精の国で』にインスピレーションを得た作品とか。長編の中のエピソードとしての妖精譚というメアリ・ルイザ・モールズワースの“王の娘の物語”や、アンスティの“妖精の贈り物”はおとぎ話のパロディ的でもあり面白かった。

    キプリングの“壺の中のお姫さま”もユーモラスで傑作だったし、ハウスマン“ヒナゲシの恋”、イヴリン・シャープの“魔法使いの娘”なども民話風で面白くも、主人公がおのれを貫いているのが印象的。

    そして、西洋では悪者として登場するはずの竜の想定外が、ケネス・グレアムの“ものぐさドラゴン”で、何とも楽しいし、ネズビットの“メリサンド姫――あるいは割算の話”にはまた彼女の奔放な持ち味がばっちりである。

    編者である風間賢二氏のあとがきにあるように、“‘娯楽’重視のセレクト”ながら、“産業革命以降の合理主義的社会に異を唱え、アルカディアと新たな自己を求める主人公を描いた作品…“としての妖精譚でもあり、ヴィクトリア朝時代の多才な作家の一面を垣間見る興味深い一冊でもありました。

  • いろんな作家の短編の寄せ集めです。

    童話のパロディみたいな話を集めてるようです。

    あたしはケネス・グレアムの『ものぐさドラゴン』がお目当てでした。


    実際読んで面白かったのは

    イーディス・ネズビット『メリサンド姫―あるいは割算の話』
    妖精のせいで、髪が伸びまくる姫様の話で、なんか『塔の上のラプンツェル』みたい。

    F・アンスティ『妖精の贈り物』
    口から宝石を吐く童話のパロディ。

    あたり。

    ほかもけっこう面白い話しがありました。

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著者プロフィール

1953年東京都生まれ。翻訳家、幻想文学研究家。武蔵大学人文学部欧米文化学科卒業。首都大学東京、明治大学、青山学院大学非常勤講師。早川書房を経てフリーに。1998年『ホラー小説大全』で第51回日本推理作家協会賞評論その他の部門受賞。主な著書に『ダンスする文学』『いけない読書マニュアル』(自由国民社)『スティーヴン・キング恐怖の愉しみ』(筑摩書房)『ホラー小説大全』(角川選書)『オルタナティヴ・フィクション』(水声社)『きみがアリスで、ぼくがピーター・パンだったころ』(ナナ・コーポレート・コミュニケーション)が、主な訳書にS・キング『荒地(暗黒の塔3)』(角川書店)『魔道師の虹(暗黒の塔4)』(角川書店)『ダーク・タワー』(新潮文庫)、J・アップダイク 『終焉』(青山出版社)、J・サリヴァン編『幻想文学大事典』(国書刊行会)、J・ニコルスン『装飾庭園殺人事件』(扶桑社)、R・カークマン『ウォーキング・デッド』(飛鳥新社)等がある。

「2023年 『ファミリー・ブラッド(仮)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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