だれが、いばら姫を起こしたのか

  • 筑摩書房 (1991年1月1日発売)
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Amazon.co.jp ・本 / ISBN・EAN: 9784480025579

みんなの感想まとめ

独自の視点からグリム童話を再解釈した本作は、古典的な物語の新たな魅力を引き出します。特に「ヘンゼルとグレーテル」や「赤頭巾ちゃん」、「白雪姫」といった有名な話を取り上げ、原典の決定稿とともにパロディや...

感想・レビュー・書評

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  • 童話の紹介、解説の順番で書かれている。
    解説部分より、グリム童話そのものの方が圧倒的に面白い。知らない童話もたくさんあったし、知っている話も細かいところが違ったり。
    荒唐無稽で次に何が起こるかわからなくてわくわくする。
    主人公を応援したくなる。童話の力はすごいですね。

    70年代には、技術が人間を労働から解放すると思われていたんですね。現代ではAIに仕事を奪われるって言われているのに。
    でもそれって、オフィスワークの話で、効率重視のために低賃金で搾取されている人たちの労働を手伝ったらいいんじゃないかなあ。マルクス主義に影響されてますね。
    っていうか、マルクスの言うことは科学的根拠がなく、文学だと思っているけれど、どうしてこんなにたくさんの大人が本気にしたのだろう?
    人間が経済を支配できるなんて考えるのは傲慢です。

    あと、最近なんで日本人の賃金が上がらないのか考えてみたのですが、それは賃金に見合った仕事をしようとする意識がないから。
    低賃金の接客業に従事する人は、お客様を神様として扱い、高いお金をもらっている会社員は尊大な態度をとる。
    上げるメリットがない。
    ここはアメリカ人を見習ってほしい。

    そしてなんでそんなことをするのか考えてみたら、日本人は根本的に、善悪の判断ができていない。
    聖書では繰り返し善悪を強調し、最後には善と悪の戦いにまで発展する。それに親しんできたキリスト教世界の人は、善悪の判断をすること、に子供の頃から慣れ親しんでいる。
    もちろん、本音と建前はあれど。

    日本人にはその機会がない。
    もちろん古典芸能は勧善懲悪を扱うものはたくさんあるけれど、それに親しんでいる人なんてほとんどいなくなってしまい、自分の頭で考えられないのだ。何が正しくて間違っているのか。

    それが、良いのか悪いのかというと、うーん、騙されやすくなる?かな。
    本当に英会話も脱毛も転職も必要ですか?
    それって元手が少なくて利益の出やすいビジネスだからばしばし広告うってるだけじゃなくて?
    とかね。

    翻訳の人、素晴らしい。すごく自然で綺麗な日本語。

    ハリーポッターのヴォルデモートは怖いのか?っていう配信があったけれど、まず顔が怖い。
    あと、政治的信条の違いは命を奪われる可能性のある恐怖である、というのを西洋世界の人は共通して持っているから怖いんじゃないんですかね。
    本読み返してなくて映画見返しただけなので詳細覚えてないですが。
    でも今から読み返すならクレストマンシーシリーズかな。ダイアナ・ウィン・ジョーンズの世界の方がずっと好き。
    クラシカルな魔法、パラレルワールド、緻密な伏線回収、安心できる家。
    能力バトルって意味では日本の少年漫画の方が上ですが、謎解きと伏線回収はイギリスのほうが圧倒的。歴史が長いですからね。

  • 児童書!?ですね。
    子どもには分からない話も多々あり。

    まさしく、ひっかきまわされた…
    でも、納得できるところもありました!
    「ヘンゼルとグレーテル」が検事側からの視点で面白かった。

  • 「幸せ者のハンス」という話が昔から好きだった。あまり頭の良くないだろうハンスが、給料の金塊を「重い」という理由で馬に、馬を牛に、牛を豚に、豚をガチョウに次々交換してしまう。そのたびにハンスは損をしているのに、「自分はなんて幸運なんだ!」と喜ぶ。
    最終的に砥石と交換するが、それもうっかり川に落としてしまう。それでも「重たい荷物がなくなった」と喜んで家に帰るというストーリー。
    「周りから見ると不幸だけど本人は幸せだと思っている」という人物は物語の中ではとても魅力的だ。
    この本の著者はハンスの行動は経済活動的に不利な立場だと考える(このへんがドイツ人っぽい)。
    私は著者にぜひ日本の昔話「わらしべ長者」をおすすめしたい。この話ならきっと気に入ってくれるだろう。

  •  グリム童話のパロディーのようで、「真相」のようで、よくわからない。今じゃ、わりとよくある題材だが、1984年の発刊だから当時としては斬新だったのだろう。でも、へんにシニカルに捕らえてないし、さもありなんと思わせるように作ってあるので、結構面白かった。

  • なにしろ私は天の邪鬼です、先刻ご承知でしょうが、まずはお断りしておきます。数あるグリム童話(と呼ばれるもの)、それに関する著作は、もちろん私もそれなりに知っているつもりです。でも敢えて、天の邪鬼うさぎは、この1冊を挙げます。1972年に西ドイツで出版された、グリム童話パロディの古典です。でも、ただ面白可笑しくひっかきまわしているわけではありません。「赤頭巾ちゃん」や「白雪姫」、「ヘンゼルとグレーテル」など有名な14篇について、まず決定稿を紹介し(これは重要)、それにパロディや解説をつけてその「真相」に迫ります。巻末には「パロディへの招待」として、パロディ化の方法を三つ(文献学的な原典批判、精神分析、歴史唯物論と「希望の原理」)に分け、取り上げられた14篇がそれぞれどの方法でパロディ化されたか、の一覧が載っています。「本当は怖い……」とか「あなたの知らない……」とか「実はエロティックな……」などと冠された童話についての本は、割合たくさんあるように思われるけれど(私は持ってないのでテキトーでごめんなさい)、わざわざ言うまでもなく童話とは(グリムの場合、元はメールヘンで、つまり口承という意味ですが)、本来そういうものでもありましょう。ただし、特にグリム童話は、本人たちの採録の仕方も含め、早い時期からの改筆と近代化によって、保守的な側面が強くなっていったと言うことができます。そういう読み方・読ませ方に対して、本書は、その歪曲や誤解を面白く示してくれます。もちろん(訳者あとがきにあるように)、グリム童話の胡散臭さだけではなく、その「魅力」も嗅ぎ取ることができます。さて、それではこの書全体は胡散臭くはないのか?という問い(著者の方法は多分に社会科学的ですから)も含め、「いばら姫/処女喪失なんて、こわくない」といった切り口にご興味がおありの方や、ディズニー的おとぎ話(だけ)に飽き足りない方は、どうぞ。

  • パロディの古典です。これを読まずしてグリムのパロディを語るなかれ、ですか。赤頭巾ちゃんのお兄さんの話とか、パルチザンに身を投じる白雪姫、独居老人殺害を行ったヘンゼルとグレーテルなどがいます。社会的風刺作品がおおいかな?でもニヤリとくると思います。

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