なめくじ艦隊: 志ん生半生記 (ちくま文庫 こ 7-1)

  • 筑摩書房
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本棚登録 : 303
感想 : 23
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  • Amazon.co.jp ・本 (297ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480025760

作品紹介・あらすじ

酒がいっぱいあるということで満洲行を決意した話など酒、女、バクチ、芸をしみじみと語り、五代目古今亭志ん生の人柄がにじみでた半生記。

感想・レビュー・書評

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  • 五代目古今亭志ん生の自伝です。
    なんといっても魅力的なのは、その語り口。
    「するてぇと…」や「…なんですナ」といった口調に、まるで本の中から志ん生さんの声が聞こえてくるかのようで、にんまりしてしまいます。

    志ん生さんの落語はCDで数回聞いたことがあるのですが、その生い立ちやどんな生活を送っていたのかはまったく知りませんでした。
    驚くほど貧乏で、それなのに酒に博打に…と、ひたすら我が道を行く暮らしを読みながら目を白黒させてしまいました。
    しかし、その生活があったからこその志ん生さんの落語なのだなぁ。
    女性関係については遊ぶことなく奥さん一筋、というところもいいですね。

    義理人情に厚い当時の人々の様子なども今読むととても新鮮で、当時の気配が立ち上ってくるようでした。

    • みじんこさん
      志ん生は大好きなので、買って読んでみます!
      志ん生は大好きなので、買って読んでみます!
      2013/12/28
    • すずめさん
      みじんこさん、こんにちは!
      コメントありがとうございます。
      志ん生さんがお好きなら、なおさらおすすめします:-)
      みじんこさん、こんにちは!
      コメントありがとうございます。
      志ん生さんがお好きなら、なおさらおすすめします:-)
      2013/12/28
  • 本書は、志ん生が語った半生を、お弟子さんが文字化したものです。口述筆記というやつですね。

    まるで「いだてん」サイドストーリー
    今年の大河ドラマ「いだてん」では、日本で初めてオリンピックに出場した金栗四三や、東京オリンピック招致のストーリーが柱となっていますが、ストーリーテラーとなっている古今亭志ん生のストーリーも描かれています。

    老年の志ん生をビートたけしさんが演じ(ほぼ落語シーンで語りの役割)、若年期は森山未來さんが演じています。
    先日読んだ『志ん生の食卓』もそうだったのですが、文章を読んでいて、脳内でビートたけしさんの声で再生されました。

    今回は更に、いろんなエピソードが森山未來さんorビートたけしさんで映像で脳内再生されました。
    奥さんの嫁入り道具を1週間ですべて質に入れ、お酒を飲んでしまった志ん生、なめくじ長屋でなめくじと格闘する志ん生、このあたりは森山未來さん。
    終戦後、満州引き上げのあたりはビートたけしさん。

    大河ドラマや朝ドラで、続編やサイドストーリーをやることがあるのですが、ぜひぜひ本書を基に映像化して「志ん生物語」を正月時代劇あたりでやってほしいものです。
    NHKさん、宮藤官九郎さん、よろしくお願いします!

  • 志ん生は落語界のみならずすべての芸能のなかでの最高峰の一人である。けれど、この人ってのはよく分からないんですね。この人本当に頭が良かったのかなあ?って。いや、よくないよ。存在自体が落語そのもの。まあ、だからと言っちゃなんだけれど、・・・そこまでこの本は面白くないですね。いや、面白い具があるんだけれど、上手に料理できてないんですね。時代を知りたいのなら良いけれど。噺をしてるほうが面白い。まあ、けれど、やっぱり良いんですね。それでも良いんですよ。美濃部孝蔵という人間がどんな人だったかが分かる。

  • 若い頃のエピソードは手のつけようのないほどの悪童で、後に紫綬褒章を貰えるような人間には思えないのだが、時代もあるが、とても普通じゃ経験しないような人生を歩み、晩年の古今亭志ん生と成ったことがわかる。

  • 情けは人のためならず

  • 古今亭志ん生の半生記。明治23(1890)年生まれの人物が昭和31(1956)年に語ったもの。
    この人の落語を聞くとフワフワと軽みがあるのだが、本書を読むと芸に極めて厳しく、かつ人や物事の好き嫌いが激しく、鼻っ柱の強い人柄が窺われる。
    「昔は、芸人になるてえのは、たいがいさんざ道楽のかぎりをつくして親も親類もあきれかえって、サジを投げたというような人種が多かったんです(p86)」。落語家に限らず、伝統芸能の担い手の社会的地位は、戦前と戦後で大きく変わっているだろう。それは芸にも影響しているはず。
    意外で印象的だったのが、税金に対する考え方。「日本はむかしから貧乏な国ですし、しかも大戦争をやって負けたんだから、なおさら貧乏になっちまったし、国家再建てえんで金がかかる、その金をどこから出すかといえば、あたしたち国民が分に応じて出す以外にゃないんですからね(p216)」。
    これは本書後半の、満州からの悲惨な引き揚げ体験に裏打ちされたもの。芸以外の話題で主語の大きな話をほとんどしない人がこういう考え方を述べるということは、同じ世代で似たような苦労をした人にはある程度自然に共有された「公-私」の感覚なのかもしれない。
    そういえば兵士として悲惨な体験をした話に比べ、引き揚げの話はあまり現代のフィクションに登場しない。単純に、悲惨さのわりにドラマにしにくいからだろうが。

  • 古今亭志ん生の自伝。「貧乏自慢」は晩年に書かれたものだが、こちらは60代で、やはり本書の方が熱を感じる。とくに戦中と戦後の引き揚げの話が生々しい。

  • やんちゃも、成功した人だから笑い話。

  • 図書館で。そしてこの雨が降ると洪水になる長屋付近に今、スカイツリーが建設されたということを姉に聞きました。…地盤は大丈夫なのか。恐ろしい。
    それにしても10cm以上で赤茶色でって…嫌ななめくじだ。アメリカで見たなめくじがまさにそんな感じで(直径2cm~3cmぐらいあって、背中に筋が入っていて塩かけても死なない。脱皮して逃げていく感じの)恐ろしかった思い出がありますが日本にも存在したんですねえ…。その時はさすがアメリカ、全てにおいてスケールが違うと思ったんですが。

    それにしても昔の遊びや芸を知る人がいなくなってしまったので噺が上手くなくなった、と言うのはわかるような気がします。でも聞いているこちらだって江戸は大分遠くなっているのだから仕方ないですが。仕方ない…けれどもやはり芸人は粋であってほしいですね。芸や遊びに通じているからあのどうしようもないな、と言う落語の主人公とかを上手く演じれるのかなあと思ったりしました。

  • 崖っぷち歩いて生きるってこんな感じかな、と考える。すげえ。やろうと思ってできるんじゃねえし、果たして望んでやったとしてもそれが身になるかどうかは怪しいもんで。ま、とにかく、いちばんすげえのはそういう人生を振り返る位置に立って、ああそういやそんなこともあったねえ、と、語ってみせることのできるところまで生き抜いた、ってこと。そりゃ落語も面白く聞こえますわな。

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著者プロフィール

五代目古今亭志ん生(ここんてい・しんしょう)

1890(明治23)年~1973(昭和48)年。明治後期から昭和期にかけて活躍した東京の落語家。20世紀の落語界を代表する名人と称される。

三代目林家正楽(はやしや・しょうらく)

1948年1月17日生まれ。寄席紙切り芸の第一人者。短いが洒落の利いた言葉の数々、注文から出来上がりまでの流れの組み立てなど、そのセンスの良さで人気を博する。

「2018年 『落語紙芝居 古今亭志ん生シリーズ2 粗忽長屋/強情灸』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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