三島由紀夫レター教室 (ちくま文庫 み-13-1)

  • 筑摩書房 (1991年12月4日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (240ページ) / ISBN・EAN: 9784480025777

作品紹介・あらすじ

恋したりフラレたり、金を借りたり断わられたり、あざけり合ったり、憎み合ったり、ネコをかぶったりと、もつれた糸がこんがらかって……。職業も年齢も異なる 5 人の登場人物が繰りひろげるさまざまな出来事をすべて手紙形式で表現した異色小説。見事なまでの離れ技で織りなす構成、洒落た文体で交わされる小粋なやりとり。 文豪・三島由紀夫による、反則レベルのスタイリッシュ・エンタメ小説。山本容子の挿画を添えて、手紙を書くのが苦手なあなたに贈る粋な文例集。 解説 群ようこ【目次】登場人物紹介古風なラブ・レター有名人へのファン・レター肉体的な愛の申し込み借金の申し込み処女でないことを打ちあける手紙同性への愛の告白愛を裏切った男への脅迫状出産の通知招待を断わる手紙結婚申し込みの手紙恋敵を中傷する手紙心中を誘う手紙旅先からの手紙年賀状の中へ不吉な手紙英文の手紙を書くコツ真相をあばく探偵の手紙探偵解決編の手紙身の上相談の手紙病人へのお身舞い状姙娠を知らせる手紙姙娠を知った男の愛の手紙陰謀を打ち明ける手紙余計なお世話をやいた手紙裏切られた女の激怒の手紙閑な人の閑な手紙結婚と新婚を告げる手紙すべてをあきらめた女の手紙家庭のゴタゴタをこぼす手紙離婚騒動をめぐる手紙悪男悪女の仲なおりの手紙作者から読者への手紙

みんなの感想まとめ

手紙形式で描かれるこの作品は、恋愛や人間関係の複雑さをユーモラスに表現しています。異なる職業や年齢の5人の登場人物が織りなす手紙のやり取りは、時に軽快で時に深い心理描写を伴い、読者を引き込む魅力があり...

感想・レビュー・書評

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  •      『三島由紀夫レター教室』


    今回は「三島由紀夫」です✨

    この『三島由紀夫レター教室』の初出は…
    『女性自身』
    1966年9月26日号〜1967年5月15日号
    なんだそうです。
    三島由紀夫の長編小説です。


    登場人物は…この5人

     (A) 氷ママ子  (四十五歳)
    (B)山トビ夫  (四十五歳)
    (C)空ミツ子  (二十歳)
    (D)炎タケル  (二十三歳)
    (E)丸トラ一  (二十五歳)

    年齢も違う男女の"騒動"を手紙のやり取りだけで
    構成されているの。『レター教室』っていうくらいだから…それぞれの手紙がそのまま文例・手本になっています。
    例えば…「古風なラブ・レター」なら
    氷ママ子から山トビ夫への手紙……というふうに。

    最初に「登場人物紹介」から始まり
    三十からなる章によって構成されています。
    最後には「作者から読者への手紙」なるものもあって、三島由紀夫の手紙を書く際の要点なんかがまとめられています。

    全然、色褪せてなくって…
    とってもチャーミング✨
    人の手紙を読むのは…
    ちょっぴり罪悪感もあったりでドキドキ♡
    しながら読んでしまいます♪
    こういう形式はなかなかないから新鮮

    山トビ夫から氷ママ子への手紙で
    「私はまったく面白くない。面白くない。
    面白くありません。」
    って書いてある一文があるんだけど…
    なんてチャーミングなんでしょ✨
    余程 面白くなかったのね…可愛い❤️

    「慣用句というものは、使えばうまくみえるだろうと思うと大まちがいで、鼻持ちならなく見えるほうが多いのです。」
    そうよね〜✨
    読みながら頷いちゃったり…ねっ(๑˃̵ᴗ˂̵)

    手紙という形式をとっているから…
    書きづらいこともユーモアたっぷり
    サックサク読めちゃいました。
    時間をおいて再読必至だなぁ⭐︎

    最後に
    「作者から読者への手紙」
    これはもう…
         三島由紀夫 凄い 
                    に尽きます♪

    語彙力!! (c" ತ,_ತ)
    とても 面白く 勉強になりました✨






    • ともちんさん
      『午後の曳航』も実は用意してます♪
      『午後の曳航』→『美徳のよろめき』→
      『肉体の学校』にします!
      おびのりさんの読んだあとに『肉体の学校』...
      『午後の曳航』も実は用意してます♪
      『午後の曳航』→『美徳のよろめき』→
      『肉体の学校』にします!
      おびのりさんの読んだあとに『肉体の学校』
      に しちゃおうっと!
      たまにはいいですよね!
      2025/04/14
    • ともちんさん
      おびのりさん♡ 追っかけます!
      おびのりさん♡ 追っかけます!
      2025/04/14
    • おびのりさん
      (≧∀≦)キャア
      (≧∀≦)キャア
      2025/04/14
  • どうも近代の日本文学については「敬して遠ざける」風な苦手意識を持っていたので、この本も「小沢健二の解説カバー」がなければ手に取らなかっただろう一冊でした。それでも四、五年積みましたが、今回読書会の課題本になったのはよい機会でした。三島由紀夫さんは作家というよりは革命家、と思っていたし、教科書にも載っていなかったので、たぶん初読ですが、少し古くさい価値観が並んでいますが、楽しめました。思えば自分は、五人の手紙の書き手の誰よりも年上なのですが、昔の人のませていることと言ったら!自分が幼いのか、日本人が幼くなったのか、それともいわゆる「多様性」の功罪か、と思ってみたり。最後の方にあるように、幸福の形は人それぞれなのだから、うまく調整して社会が回っていければいいのですが。

  • 「三島由紀夫」とタイトルにあるのだから、「レター教室」といっても、変化球ありだなと思って読み始めました。

    男女(20歳から45歳まで)の手紙のやりとりが
    、複雑に絡み合っている小説で、やはりぶっ飛んだ面白さでした。自分宛の手紙を人に見せてしまうのですから、これは普通ではありません。

    タイトルを、『昭和の男女5人、おもしろ恋愛相談室(手紙編)』としても良さそうな内容です。でも、ただ面白いだけではなく、ためになるところもあります。「英文の手紙を書くコツ」は、さっそく実践しようと思います。(手紙は、“I”アイで始まらないようにする。感謝、喜びを伝える。文法や構文に凝るより、形容詞に凝る。英語の手紙ということを忘れて書く。など)

    登場人物の女性の言葉に

    “恋愛というものは「若さ」と「バカさ」をあわせもった年齢の特技”

    とあり、なんて上手い表現なんだろうと、妙に感心してしまいました。

    最後に、作者から手紙についての考えが記されています。非常に納得のいくものでした。

    ・手紙の第一要件⇨あて名をまちがいなく書く。

    ・手紙を書くときには、相手はまったくこちらに関心がない、という前提で書きはじめなければいけません。これがいちばん大切なところです。世の中を知る、ということは、他人は決して他人に深い関心を持ちえない、もし持ち得るとすれば自分の利害にからんだ時だけだ、というニガいニガい哲学を、腹の底からよく知ることです。
             ↓
    これは本当のことだと思います。

    隙間時間に気楽に読めて笑える、そして様々に学びもある小説です。

  • 三島由起夫、いや由紀夫が(笑)、手紙形式というちょっと変わった着想にて、手紙ならではの人間の機微な感情の行き来について物語しています。
    登場人物は、金持ちマダム、色男の中年デザイナー、若き劇団青年、OL、太ったぐうたら青年という感じでこれだけでも、これからのわくわくするような話の展開が期待されます。
    手紙でやり取りする話の内容が割と軽いので手軽に面白く読めてしまいますが、そこは三島由紀夫なりのそれぞれの心理描写が楽しくて、なかなかじっくりと読ませてくれましたね。
    特に金持ちマダムと色男の中年デザイナー、太ったぐうたら青年のキャラが際立っていて、終始にやにやしながら読了しました。
    群ようこの解説にもある通り、それぞれの年代に即した感情移入ができるようにもなっていると思われ、十年二十年後に読み直すと、また違った見方で本書に接することができるほど、軽いなりに味わい深い物語になっていると思います。
    これは手紙ならではの、何回も読み直すという特質を上手く使った筆致になっているからなんでしょうね。
    あと、最後の三島由紀夫からの読者への言葉もなかなか面白いものでした。
    名前を間違えるなというのは当然として、手紙を書く時は相手は自分に関心を持っていないと思って書け、というのは目から鱗が落ちないまでもなるほどそうかなと思わせるものがありました。
    現代では手紙を書く機会が減り、電子メールでやり取りする機会の方が断トツで多くなっていますが、電子メールでも同じことが言えますよね。
    電子メールでは味わいを感じることは少ないですが、私も相手の関心を引くような書き方を心がけたいと思います。
    三島由紀夫によれば、相手の関心を得るには、一、大金 二、名誉 三、性欲 四、感情 だそうですが。(笑)

    • やまさん
      mkt99さん、こんにちは。
      いいね!有難う御座います。
      mkt99さん、こんにちは。
      いいね!有難う御座います。
      2019/11/03
    • mkt99さん
      やまさん、こんにちは。
      こちらこそ、いいね!をありがとうございます。
      今後ともよろしくお願いいたします。
      やまさん、こんにちは。
      こちらこそ、いいね!をありがとうございます。
      今後ともよろしくお願いいたします。
      2019/11/09
  • 5人の手紙のやり取りで構成された作品。
    最初は短編集のように感じたが、読み進めるうちに一つの物語としてつながっていくことがわかり、面白かった。
    全体的にポップで読みやすく、三島由紀夫の作品とは思えないほど軽やかだった。こんな作風もあるのかと新鮮に感じた。

    女性に必要なのはやさしさと自信の平和な結合という内容の一文があり、確かにそうだなと共感した。
    けれど、自分にもそれが欠ける瞬間があると思い、少し反省もした。

    最後の「作者から読者への手紙」では、手紙で相手の関心を惹く方法について書かれており、なるほどと思える内容だった。

  • 初の三島由紀夫作品がこの本なのはイレギュラーでしょうか。
    書店をぶらついていたらこの本が目に止まり、初めて見るタイトルの本だったので、興味が湧きました。
    なので三島由紀夫の作風がどのようなものか分からないままでの読書となりましたが、5人の人物による往復書簡は大変面白かったです。
    登場人物みんなが、自分の言いたいことをズバズバ伝え合い、愛の告白から、各種相談、相手を陥れようとしたり、共謀しようとしたり、駆け引きもあり。
    言わせてもらうなら、全員がナルシスト。自己愛が強くて自信家だと感じました。そんな彼らが、手紙を通して自分の感情をぶつけ合うのだから、これは愉快、喜劇のようです。
    各種テーマの書簡ですが、気づけば何となくストーリーとして繋がりながら進み、結局丸く収まるところに収まってしまうのはさすが、と思いました。
    有名どころ(金閣寺とか仮面の告白など)ではなくともこんなに面白いなんて!

  • 難しいイメージがある三島由紀夫作品の中で、この作品は一番読みやすくて、エンタメ性が溢れている作品だと思います。内容としては、手紙を通じての会話が文章になっていく書簡体小説で、三島らしい毒とユーモアがクセになる一作になります。初心者にオススメだと思います。

  • 三島由紀夫の作品は、敷居が高いイメージがあり、読んでみたいと思いつつもなかなか食指が動かない状態が続いていました。しかし、この作品はライトな作品で、5人の登場人物達の手紙によって展開していく形式が斬新で面白かったです。
    気軽に読めますが、登場人物1人1人の性格が手紙によって表れ、感じ取れるような気がして、軽さの中にも奥の深さがある作品でした。
    恐らく、自分の年に近い登場人物に感情移入しやすいのではないでしょうか。数年後に読み返すと、感情移入する対象が変わっていそうな気がします。
    最近では、SNSを使った短文のメッセージを送って連絡をすることが主な手段であり、相手がちゃんと読んだかがわかる機能があります。
    でも、手紙は最後まで読んでもらえたのかわからず、途中で相手の反応も掴めません。手紙を書くことに抵抗を感じてしまうのは、相手に自分の思いの丈をぶつけたら、敬遠されてしまいそうだからだと思いました。表紙に「手紙は爆走である」というキャッチコピーがありますが、最後まで読んでもらえるかわからない手紙を綴る為には、強靭なメンタルが必要なのかもしれません。久しぶりに誰かに手紙を送ってみたいような気持ちになりました。

  • 面白かった。私は三島作品は、この様なライトなものしか読んだ事が無い。他の文学作品は、敷居が高くて…。

  • 職業も年齢も異なる五人の登場人物の手紙のやり取りだけで構成された異色の小説。

    今の時代、相手に何かを伝える手段として電話、メール、SNSが多く使われていて、手紙なんてもうその手段として思いつきもしないかもしれない。この小説では登場人物五人の機知に富んでいたり、くすっと笑ってしまうユーモアを含んだ文章によってそんな手紙だけがもつ魅力というのを少し感じることができると思う。これから先、手紙を書くという文化はほとんどなくなっていくのかもしれないけれど、自分はこの小説に出てくるような文章のやり取りをしてみたいと思った。

    今回は二十代の登場人物に感情移入をして読んでしまったけれど、また何年後かしてから再読すると別の登場人物に寄り添うようになって、この小説を違った捉え方で楽しめると思う。

    各登場人物の手紙の所々に心に響く名言のようなものがあるので、そういうのもぜひ探してみて欲しい。数年経ってから読むと響く箇所が変わったりと面白い発見もありそうだ。

    この作品は三島由紀夫の中でも異色な作品だけれど文体としては読みやすいので、すこし昔の文学を読むのに躊躇いがある人にも勧めやすい。ただこの小説のイメージで他の三島作品を読むと面食らってしまうかもしれない。

  • 『憂国』を読んですさまじく陰鬱な気持ちになった後にこちらを読んだので、本当に同じ人間が…!?とギャップに驚いた。三島先生の感情起伏どうなってる??

    二十歳の女の子や中年女性の口調や文体も書き分けているところを見ると、なんとなくバカリズムの『架空OL日記』を彷彿とさせた。

    「ともすると、恋愛というものは『若さ』と『バカさ』をあわせもった年齢の特技で」のくだりの文はまさに名文。そして、ラストの一文でドキリとさせるあたりはさすが小説がうまいなと思わされた。

  • 手紙形式でストーリーが成り立っている、珍しい作品。登場人物5人のキャラクターが、相互への手紙に滲み出ていて面白い。平易な文章で書かれていて、すらすら読むことができた。

  • 手紙へのこだわり、手紙の性質、手紙の恐ろしさがわかるエンタメ小説。
    今では体験できない、やり取りにおける言葉の熟成期間を持ったシンプルなコミュニケーションは言葉の貴重さを際立たせた

  • ▼手紙を書くときには、相手はまったくこちらに関心がない、という前提で書きはじめなければいけません。これがいちばん大切なところです。
     世の中を知る、ということは、他人は決して他人に深い関心を持ちえない、もし持ち得るとすれば自分の利害にからんだ時だけだ、というニガいニガい哲学を、腹の底からよく知ることです。
     世の中の人間は、みんな自分勝手の目的へ向かって邁進しており、他人に関心を持つのはよほど例外的だ、とわかったときに、はじめてあなたの書く手紙にはいきいきとした力がそなわり、人の心をゆすぶる手紙が書けるようになるのです。(本文から)
    ▼「三島由紀夫のレター教室」三島由紀夫。ちくま文庫、221頁。サクッと読めます。2020年2月読了。初出1966年。ウディ・アレンの良くできた恋愛コメディを観た気分。軽いだけに見えて、人生と恋愛への皮肉と諧謔に満ち。ヒトの愚かさに肩をすくめる感じと、そんな愚かさが愛おしい感じ。
    ▼「女性自身」に連載した小説。編集者もちゃんと役割を果たしたのか、三島さんの小説の中でもおそらくかなり柔らかく、読み易い。で、十分に面白かった。うまいなー。職人というか娯楽に徹しているのか、かなり、マトモです。ヘンタイな感じが薄かった。普通のも、書けるんやんか。
    ▼5人の、手紙のやり取りが、小説になっています。
    ①40代の未亡人、英会話塾経営者
    ②40代の衣服デザイナー、既婚だが、①のボーイフレンド
    ③20代の会社員女子(①の元生徒)
    ④20代の演劇青年(②の知人)
    ⑤30代の暢気なTvばかり見てる男(③の従兄弟)
    最後には、ここから二組のカップルが出来上がります。かなり笑えます。あははと笑ってると、まさにエスプリの効いた名台詞にうなります。
    ▼実は現代性が高い。さすが、ちくま文庫。
    メールやSNSが手紙の一種だとすれば、有史以来日本人が(世界中も)これほど手紙を書いている時代はありません。テレビ漬けな男は、ネットやゲームの中毒にも似ています。会ったり電話するよりも手紙を選ぶコミュニケーションは、生ではない活字依存と考えれば、今風ですね。
    ▼しかし、三島、キレ者だなあ、と、改めて。まだまだ読んでない本がいっぱい。楽しみです。
    ▼そして、この本には「男が好きな男」が、出てきません。同性愛が出てこない。三島なのに。
    ▼同性愛者である男性は、女性に冷徹かつシビアかつ洞察的で無駄な優しさの無い助言をできるという、「ベスト・フレンズ・ウェディング」などでパターン化された【イイ男、ゲイ、女の友達】というのが、なんとなく当てはまる気が(三島さんが)。

    /////////以下全て本文より///////

    ▼だれでも、自分と全く同じ種類の人間を愛することはできませんものね。

    ▼*英語の手紙について
    1.手紙はなるべくなら、I(アイ)ではじまらぬようにすることです。
    2.物喜びをなさい。
    3.日常の些事をユーモアを混ぜて入れなさい。
    4.文法や構文に凝るよりも、形容詞に凝りなさい。
    5.ときどきちょっと文法や綴(スペリング)をまちがえなさい。
    6.英語の手紙ということを忘れて書きなさい。
    返事はなるたけすぐ出すように。私は世界中で、日本人ほど筆不精な国民はないのではないかと思います。

    ▼大ていの女は、年をとり、魅力を失えば失うほど、相手への思いやりや賛美を忘れ、しゃにむに自分を売りこもうとして失敗するのです。

    ▼恋愛というものは『若さ』と『バカさ』をあわせもった年齢の特技で、『若さ』も『バカさ』も失った時に、恋愛の資格を失うのかもしれません

    ▼なぜ断られるか?それは彼女にやさしさと自信との平和な結合がないからです。女の真の魅力は、その二つのものの平和で自然な結合以外にはないのですからね。彼女の心のアンバランスを、男性は一目で見抜いてしまうのです。

  • 5人の男女のあいだでやり取りされた手紙で進む本書、とにかく書き手の人間性が丸見えでおもしろい!
    なんせ5人が5人とも曲者ぞろい。
    筆まめな彼らのペンが生み出す文章と、移ろう人間関係に、にんまり笑いが止まりませんでした。

    手紙は「キチンと封をされた紙の密室」。
    ラブレターに脅迫状、借金の申込みに肉体関係を求める手紙まで、こんなことも書いちゃうのか、と驚くような内容の手紙が飛び交います。
    他人同士の手紙だから笑って読んでいられるけれど、当事者にはなりたくないな~とも思ったり。
    でもここまで自分の感情や思惑を文字で表現できる文章力には憧れます。

    最後に添えられた作者から読者への手紙も奮っています。
    三島が女性からのファンレターをばっさり切って捨てる痛快さがたまりません。
    けらけら笑いたいとき、ブラックユーモアににんまりしたいときに読み返したい1冊です。

  • Youtubeで「読みたい三島は普通の本屋にはない」と語っていた人のお勧め本

    軽やかでユーモアもあって、とっつきやすくて、読まず嫌いだった三島由紀夫の印象がガラッと変わりました

    昔の流行り言葉も出てくるけど、全体として古臭さはあまり感じなかった

    「C調言葉」はサザンの歌詞だけかと思ったら、違いました

  • 全ページ、お手紙の書き方教室なのかと思っていたら、登場人物たちのお手紙のやり取りでストーリーが進んでいった。

    最後には、三島由紀夫先生から読者への手紙、が書かれているのだけど、なるほど納得でしたよ…

    私は誰かの心に残るようなお手紙を、書いてみたい。

  • 性別も年齢も職業も異なる、筆まめな5人がおくる書簡体小説。

    デートのお誘い、金銭の依頼、恋愛相談、お見舞い状、果ては悪口や裏切り絶縁まで悲喜交々、様々なやりとりが手紙上で行われます。連作小説のように、読み進めていけばいくほどそれぞれの気持ちや思惑が複雑に絡み合い、「まったく人間ってやつは…」と妙な悟りと愛着を感じます。氷ママ子女史と山トビ夫氏のやりとりには終始にやにやとさせられました。トビ夫氏の株が後半に向けて急上昇したのは私だけではないはず。
    一回のやりとりに時間を掛け、内容も熟考でき(時として殴り書く場面もあるようですが笑)、相手の顔を思い浮かべながら一文字一文字を綴る手紙、そして文面からこうも隠しきれない個性が光ってしまう手紙というツールに改めて魅力を感じます。
    三島由紀夫の魅力再発見!ユーモアに富んだ愉快な作品でした。

  • 久しぶりに本を読んだからリハビリ感覚で読めた。あの三島の軽妙な一冊。よい!

  • こんな面白い、辛辣で瀟洒な本がまたとあるでしょうか。
    最高に面白かったです。

    言わねばならないことを述べるには率直であること。

    相手をこてんぱんにしているようでも 
    どこか読み手の心には一筋の退路を確保する
    温かさを持つこと

    言いたいことはいうけれど、自分でコントロール出来ないほど
    自分自身の気持ちに夢中になって乱れないという姿勢。

    なりふり構いながらも、今、まさに動いている
    心を見せるという、相反した付き合いの極意。

    行き過ぎないたしなみの良さ。

    世の中自分の思い通りには運ばないものだという
    冷静な了解がある上で、ほんの少し覗く書き手の真情。

    それがある手紙は、きっと素敵です。

    それと、人間って、「可愛げ」がないとダメだなって
    ほとほと思いました。媚じゃなくって「可愛げ」。

    多分文章のほうがそういうものが伝わりやすいのかも
    しれませんね。

    三島の作品は、恥ずかしいことながら初読でしたけれど
    あっという間に読みました。

    この本は美文麗文を書くには向きません。
    でも上に挙げたような大事なことを身につけて
    手紙をしたためるには、最高の本です。

    これと、アンブローズ ビアスの「悪魔の辞典」と
    ラクロの「危険な関係」をセットにして読みたいですね。

    その時点で私のひねくれかげんがわかってしまうと
    いうものですけれど。

    小説の方はなんとなく難解なのかなって思い込んで
    いましたから、彼の随筆を片っ端から読んでみましょう。

    三島由紀夫という人に惚れたら、その時初めて小説を
    読み始めてもいい気がしてきました。

    中毒になりそうな、予感がします。
    知的で、アイロニカルで、でも優しい―。

    ひと夏、その背中を追いかけてみようと
    決心しました。

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著者プロフィール

本名平岡公威。東京四谷生まれ。学習院中等科在学中、〈三島由紀夫〉のペンネームで「花ざかりの森」を書き、早熟の才をうたわれる。東大法科を経て大蔵省に入るが、まもなく退職。『仮面の告白』によって文壇の地位を確立。以後、『愛の渇き』『金閣寺』『潮騒』『憂国』『豊饒の海』など、次々話題作を発表、たえずジャーナリズムの渦中にあった。ちくま文庫に『三島由紀夫レター教室』『命売ります』『肉体の学校』『反貞女大学』『恋の都』『私の遍歴時代』『文化防衛論』『三島由紀夫の美学講座』などがある。

「1998年 『命売ります』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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