三島由紀夫レター教室 (ちくま文庫)

著者 :
  • 筑摩書房
3.79
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  • (7)
本棚登録 : 2602
レビュー : 381
  • Amazon.co.jp ・本 (227ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480025777

作品紹介・あらすじ

職業も年齢も異なる5人の登場人物が繰りひろげるさまざまな出来事をすべて手紙形式で表現した異色小説。恋したりフラレたり、金を借りたり断わられたり、あざけり合ったり、憎み合ったりと、もつれた糸がこんがらかって…。山本容子のオシヤレな挿画を添えて、手紙を書くのが苦手なあなたに贈る枠な文例集。

感想・レビュー・書評

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  • 三島由起夫、いや由紀夫が(笑)、手紙形式というちょっと変わった着想にて、手紙ならではの人間の機微な感情の行き来について物語しています。
    登場人物は、金持ちマダム、色男の中年デザイナー、若き劇団青年、OL、太ったぐうたら青年という感じでこれだけでも、これからのわくわくするような話の展開が期待されます。
    手紙でやり取りする話の内容が割と軽いので手軽に面白く読めてしまいますが、そこは三島由紀夫なりのそれぞれの心理描写が楽しくて、なかなかじっくりと読ませてくれましたね。
    特に金持ちマダムと色男の中年デザイナー、太ったぐうたら青年のキャラが際立っていて、終始にやにやしながら読了しました。
    群ようこの解説にもある通り、それぞれの年代に即した感情移入ができるようにもなっていると思われ、十年二十年後に読み直すと、また違った見方で本書に接することができるほど、軽いなりに味わい深い物語になっていると思います。
    これは手紙ならではの、何回も読み直すという特質を上手く使った筆致になっているからなんでしょうね。
    あと、最後の三島由紀夫からの読者への言葉もなかなか面白いものでした。
    名前を間違えるなというのは当然として、手紙を書く時は相手は自分に関心を持っていないと思って書け、というのは目から鱗が落ちないまでもなるほどそうかなと思わせるものがありました。
    現代では手紙を書く機会が減り、電子メールでやり取りする機会の方が断トツで多くなっていますが、電子メールでも同じことが言えますよね。
    電子メールでは味わいを感じることは少ないですが、私も相手の関心を引くような書き方を心がけたいと思います。
    三島由紀夫によれば、相手の関心を得るには、一、大金 二、名誉 三、性欲 四、感情 だそうですが。(笑)

    • やまさん
      mkt99さん、こんにちは。
      いいね!有難う御座います。
      mkt99さん、こんにちは。
      いいね!有難う御座います。
      2019/11/03
    • mkt99さん
      やまさん、こんにちは。
      こちらこそ、いいね!をありがとうございます。
      今後ともよろしくお願いいたします。
      やまさん、こんにちは。
      こちらこそ、いいね!をありがとうございます。
      今後ともよろしくお願いいたします。
      2019/11/09
  • 5人の男女のあいだでやり取りされた手紙で進む本書、とにかく書き手の人間性が丸見えでおもしろい!
    なんせ5人が5人とも曲者ぞろい。
    筆まめな彼らのペンが生み出す文章と、移ろう人間関係に、にんまり笑いが止まりませんでした。

    手紙は「キチンと封をされた紙の密室」。
    ラブレターに脅迫状、借金の申込みに肉体関係を求める手紙まで、こんなことも書いちゃうのか、と驚くような内容の手紙が飛び交います。
    他人同士の手紙だから笑って読んでいられるけれど、当事者にはなりたくないな~とも思ったり。
    でもここまで自分の感情や思惑を文字で表現できる文章力には憧れます。

    最後に添えられた作者から読者への手紙も奮っています。
    三島が女性からのファンレターをばっさり切って捨てる痛快さがたまりません。
    けらけら笑いたいとき、ブラックユーモアににんまりしたいときに読み返したい1冊です。

  • 性別も年齢も職業も異なる、筆まめな5人がおくる書簡体小説。

    デートのお誘い、金銭の依頼、恋愛相談、お見舞い状、果ては悪口や裏切り絶縁まで悲喜交々、様々なやりとりが手紙上で行われます。連作小説のように、読み進めていけばいくほどそれぞれの気持ちや思惑が複雑に絡み合い、「まったく人間ってやつは…」と妙な悟りと愛着を感じます。氷ママ子女史と山トビ夫氏のやりとりには終始にやにやとさせられました。トビ夫氏の株が後半に向けて急上昇したのは私だけではないはず。
    一回のやりとりに時間を掛け、内容も熟考でき(時として殴り書く場面もあるようですが笑)、相手の顔を思い浮かべながら一文字一文字を綴る手紙、そして文面からこうも隠しきれない個性が光ってしまう手紙というツールに改めて魅力を感じます。
    三島由紀夫の魅力再発見!ユーモアに富んだ愉快な作品でした。

  • 久しぶりに本を読んだからリハビリ感覚で読めた。あの三島の軽妙な一冊。よい!

  • こんな面白い、辛辣で瀟洒な本がまたとあるでしょうか。
    最高に面白かったです。

    言わねばならないことを述べるには率直であること。

    相手をこてんぱんにしているようでも 
    どこか読み手の心には一筋の退路を確保する
    温かさを持つこと

    言いたいことはいうけれど、自分でコントロール出来ないほど
    自分自身の気持ちに夢中になって乱れないという姿勢。

    なりふり構いながらも、今、まさに動いている
    心を見せるという、相反した付き合いの極意。

    行き過ぎないたしなみの良さ。

    世の中自分の思い通りには運ばないものだという
    冷静な了解がある上で、ほんの少し覗く書き手の真情。

    それがある手紙は、きっと素敵です。

    それと、人間って、「可愛げ」がないとダメだなって
    ほとほと思いました。媚じゃなくって「可愛げ」。

    多分文章のほうがそういうものが伝わりやすいのかも
    しれませんね。

    三島の作品は、恥ずかしいことながら初読でしたけれど
    あっという間に読みました。

    この本は美文麗文を書くには向きません。
    でも上に挙げたような大事なことを身につけて
    手紙をしたためるには、最高の本です。

    これと、アンブローズ ビアスの「悪魔の辞典」と
    ラクロの「危険な関係」をセットにして読みたいですね。

    その時点で私のひねくれかげんがわかってしまうと
    いうものですけれど。

    小説の方はなんとなく難解なのかなって思い込んで
    いましたから、彼の随筆を片っ端から読んでみましょう。

    三島由紀夫という人に惚れたら、その時初めて小説を
    読み始めてもいい気がしてきました。

    中毒になりそうな、予感がします。
    知的で、アイロニカルで、でも優しい―。

    ひと夏、その背中を追いかけてみようと
    決心しました。

  • れっきとした小説。

    男女5人の手紙のやりとりだけでストーリーが展開していくという変わった小説だが、構成がマジで巧み!!!!!!!

    登場人物の名前も「炎タケル」「氷ママ子」などとかなりユニークだし、各章のタイトルも「借金の申し込み」「処女でないことを打ち明ける手紙」など、最初パラパラと本を捲っただけでは、なんじゃこりゃと言いたくなる本だ。

    が、少ない情報量や話しかけるような手紙の何気ない一文によって、登場人物たちの性格や人生、ストーリーの上での感情の動きなどを明らかにしていく作者のセンスが光る。

    皮肉とユーモアたっぷりの独特な世界観の中で、どこかコミカルなテンポで進んで行く文章の中にも、人生の悲哀のようなものが感じられる。

    あまり力を入れずに読むことができる。三島由紀夫は苦手という人にもおすすめ。

    最後のほうはストーリーの流れに読み込まれてしまって、私は三重県鈴鹿市のローカル線で乗り過ごしてしまいました。

  • 大学生の時に読んで三島由紀夫のイメージが一変した。
    かなり風変りな手紙のお手本集。
    再読して、やっぱり面白い!と膝を何度叩いたことか。

    そして忘れかけていたことを思い出したのだった。
    こういうユーモア溢れる手紙を書きたいとずーっと思っていたこと。

    納得したのだった。
    最近自分が書く手紙に対する違和感の訳を。

    言葉の表現がいちいち面白くてその度に心が踊る。

    例えば・・・

    「あいかわらずおヒマですか?あいかわらずご多忙ですかと聞くのはあまりに月並みですから」

    とか

    「甘言で釣ろうなどというところもなく、私に結婚を申込みながら、結婚したらどうしてやる、という保証はなにもなく、ぜんぜん自分勝手で、あなたらしくて、ステキでした」

    とか

    「あなたみたいな底抜けの人は、もうここらあたりでバカがどんづまりかと思うと、またその下があるので、おどろくほかはありません。本当にすばらしいわね、あなたって!」

    とか

    「あなたはウソで固めた女性だからこそ魅力があったのに、私と同じくらい真正直な人間だとわかったら、ちょっと魅力半減ですね」

    とか・・・。
    愛のある悪口はこう表現すれば粋に聞こえるのかと勉強になり、そうだ、悪口用の語彙を増やすのは楽しいかもしれないなと思ったり。

    そして最後に書かれていた手紙を書くにあたって一番大切なこと。大真面目に胸を付かれて、参りましたと唸った。
    手紙の神髄。それなのにすっかり忘れかけていた。
    人は読むべきときに読むべきものを読むんだなぁ。

    ・有名人へのファンレターの書き方
    ・借金の申し込みの書き方
    ・愛を裏切った男への脅迫状の書き方
    ・陰謀を打ち明ける手紙の書き方
    ・妊娠を知らせる手紙の書き方

    これはこの「レター教室」で書かれていることのほんの一部だけれど、こんなサブタイトルで手紙の書き方のワークショップをやったら受講生さんは集まるだろうか?
    でも、これを教えるには人生経験も重要だ。

    なぜかこの本を読むと心豊かに、そしてユーモアたっぷりに生きたいと切実に思うのだ。

  • 現代は手紙の時代ではないので、ちょっと古臭い感じは否めない。
    でも、そこそこ面白く読みました。
    登場人物が5人というのも、いいですね。
    お名前がそれぞれ個性的。笑えました。

  • なんとも不思議で面白い感覚。

    個性あふれる5人の登場人物が、手紙形式によって独白し、それらがつらなることでストーリーが生まれてくる。
    また、個性が表れた手紙のなかには、細かな心理描写や価値観なども散りばめられており、一つのエッセイのように楽しめる。

    私は文章を書くことはそれほど嫌いではなく、むしろ様々に書き連ねたいタイプ。
    昨今のLINEなどはどうも苦手。
    かつて、電子メールなどなかった時代、遠距離恋愛で数週間おきに手紙のやりとりをしていた頃が懐かしく思い出され、久々に手紙、書いてみよっかな...(^^)

  • 「三島由紀夫レター教室」読了。アンタらは魑魅魍魎か?と疑いたくなる複雑怪奇且つ簡単明瞭な、ひたすら自分は正しくてステキと信じている人達が「手紙」を主軸に闊歩しまくり、なんかイイ感じに鞘に収まる。終盤・トラ一君の「どうぞどうぞ〜」がステキ。一気に読める。てか、読むなら一気にいけ!

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著者プロフィール

三島由紀夫(1925.1.14~1970.11.25) 小説家、劇作家。
東京生まれ。学習院時代から文才を注目され、1944年、東大入学と同時に『花ざかりの森』を刊行。47年、東大卒業後、大蔵省に勤務するも、翌年辞職。49年、『仮面の告白』で新進作家として地位を確立。『金閣寺』『鏡子の家』『近代能楽集』など、強固な美意識で彫たくされた作品を発表。海外での評価も高い。68年、楯の会結成。『豊饒の海』の最終回を書き上げ、陸上自衛隊市ヶ谷駐屯地東部方面総監室に立てこもり、割腹自決。

「2017年 『告白 三島由紀夫未公開インタビュー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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