三島由紀夫レター教室 (ちくま文庫)

著者 :
  • 筑摩書房
3.80
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  • (31)
  • (9)
本棚登録 : 3561
感想 : 434
  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480025777

作品紹介・あらすじ

職業も年齢も異なる5人の登場人物が繰りひろげるさまざまな出来事をすべて手紙形式で表現した異色小説。恋したりフラレたり、金を借りたり断わられたり、あざけり合ったり、憎み合ったりと、もつれた糸がこんがらかって…。山本容子のオシヤレな挿画を添えて、手紙を書くのが苦手なあなたに贈る枠な文例集。

感想・レビュー・書評

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  • 三島由起夫、いや由紀夫が(笑)、手紙形式というちょっと変わった着想にて、手紙ならではの人間の機微な感情の行き来について物語しています。
    登場人物は、金持ちマダム、色男の中年デザイナー、若き劇団青年、OL、太ったぐうたら青年という感じでこれだけでも、これからのわくわくするような話の展開が期待されます。
    手紙でやり取りする話の内容が割と軽いので手軽に面白く読めてしまいますが、そこは三島由紀夫なりのそれぞれの心理描写が楽しくて、なかなかじっくりと読ませてくれましたね。
    特に金持ちマダムと色男の中年デザイナー、太ったぐうたら青年のキャラが際立っていて、終始にやにやしながら読了しました。
    群ようこの解説にもある通り、それぞれの年代に即した感情移入ができるようにもなっていると思われ、十年二十年後に読み直すと、また違った見方で本書に接することができるほど、軽いなりに味わい深い物語になっていると思います。
    これは手紙ならではの、何回も読み直すという特質を上手く使った筆致になっているからなんでしょうね。
    あと、最後の三島由紀夫からの読者への言葉もなかなか面白いものでした。
    名前を間違えるなというのは当然として、手紙を書く時は相手は自分に関心を持っていないと思って書け、というのは目から鱗が落ちないまでもなるほどそうかなと思わせるものがありました。
    現代では手紙を書く機会が減り、電子メールでやり取りする機会の方が断トツで多くなっていますが、電子メールでも同じことが言えますよね。
    電子メールでは味わいを感じることは少ないですが、私も相手の関心を引くような書き方を心がけたいと思います。
    三島由紀夫によれば、相手の関心を得るには、一、大金 二、名誉 三、性欲 四、感情 だそうですが。(笑)

    • やまさん
      mkt99さん、こんにちは。
      いいね!有難う御座います。
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      2019/11/03
    • mkt99さん
      やまさん、こんにちは。
      こちらこそ、いいね!をありがとうございます。
      今後ともよろしくお願いいたします。
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      2019/11/09
  • 三島由紀夫の作品は、敷居が高いイメージがあり、読んでみたいと思いつつもなかなか食指が動かない状態が続いていました。しかし、この作品はライトな作品で、5人の登場人物達の手紙によって展開していく形式が斬新で面白かったです。
    気軽に読めますが、登場人物1人1人の性格が手紙によって表れ、感じ取れるような気がして、軽さの中にも奥の深さがある作品でした。
    恐らく、自分の年に近い登場人物に感情移入しやすいのではないでしょうか。数年後に読み返すと、感情移入する対象が変わっていそうな気がします。
    最近では、SNSを使った短文のメッセージを送って連絡をすることが主な手段であり、相手がちゃんと読んだかがわかる機能があります。
    でも、手紙は最後まで読んでもらえたのかわからず、途中で相手の反応も掴めません。手紙を書くことに抵抗を感じてしまうのは、相手に自分の思いの丈をぶつけたら、敬遠されてしまいそうだからだと思いました。表紙に「手紙は爆走である」というキャッチコピーがありますが、最後まで読んでもらえるかわからない手紙を綴る為には、強靭なメンタルが必要なのかもしれません。久しぶりに誰かに手紙を送ってみたいような気持ちになりました。

  • 面白かった。私は三島作品は、この様なライトなものしか読んだ事が無い。他の文学作品は、敷居が高くて…。

  • 難しいイメージがある三島由紀夫作品の中で、この作品は一番読みやすくて、エンタメ性が溢れている作品だと思います。内容としては、手紙を通じての会話が文章になっていく書簡体小説で、三島らしい毒とユーモアがクセになる一作になります。初心者にオススメだと思います。

  • 手紙へのこだわり、手紙の性質、手紙の恐ろしさがわかるエンタメ小説。
    今では体験できない、やり取りにおける言葉の熟成期間を持ったシンプルなコミュニケーションは言葉の貴重さを際立たせた

  • 職業も年齢も異なる五人の登場人物の手紙のやり取りだけで構成された異色の小説。

    今の時代、相手に何かを伝える手段として電話、メール、SNSが多く使われていて、手紙なんてもうその手段として思いつきもしないかもしれない。この小説では登場人物五人の機知に富んでいたり、くすっと笑ってしまうユーモアを含んだ文章によってそんな手紙だけがもつ魅力というのを少し感じることができると思う。これから先、手紙を書くという文化はほとんどなくなっていくのかもしれないけれど、自分はこの小説に出てくるような文章のやり取りをしてみたいと思った。

    今回は二十代の登場人物に感情移入をして読んでしまったけれど、また何年後かしてから再読すると別の登場人物に寄り添うようになって、この小説を違った捉え方で楽しめると思う。

    各登場人物の手紙の所々に心に響く名言のようなものがあるので、そういうのもぜひ探してみて欲しい。数年経ってから読むと響く箇所が変わったりと面白い発見もありそうだ。

    この作品は三島由紀夫の中でも異色な作品だけれど文体としては読みやすいので、すこし昔の文学を読むのに躊躇いがある人にも勧めやすい。ただこの小説のイメージで他の三島作品を読むと面食らってしまうかもしれない。

  • 5人の男女のあいだでやり取りされた手紙で進む本書、とにかく書き手の人間性が丸見えでおもしろい!
    なんせ5人が5人とも曲者ぞろい。
    筆まめな彼らのペンが生み出す文章と、移ろう人間関係に、にんまり笑いが止まりませんでした。

    手紙は「キチンと封をされた紙の密室」。
    ラブレターに脅迫状、借金の申込みに肉体関係を求める手紙まで、こんなことも書いちゃうのか、と驚くような内容の手紙が飛び交います。
    他人同士の手紙だから笑って読んでいられるけれど、当事者にはなりたくないな~とも思ったり。
    でもここまで自分の感情や思惑を文字で表現できる文章力には憧れます。

    最後に添えられた作者から読者への手紙も奮っています。
    三島が女性からのファンレターをばっさり切って捨てる痛快さがたまりません。
    けらけら笑いたいとき、ブラックユーモアににんまりしたいときに読み返したい1冊です。

  • ▼手紙を書くときには、相手はまったくこちらに関心がない、という前提で書きはじめなければいけません。これがいちばん大切なところです。
     世の中を知る、ということは、他人は決して他人に深い関心を持ちえない、もし持ち得るとすれば自分の利害にからんだ時だけだ、というニガいニガい哲学を、腹の底からよく知ることです。
     世の中の人間は、みんな自分勝手の目的へ向かって邁進しており、他人に関心を持つのはよほど例外的だ、とわかったときに、はじめてあなたの書く手紙にはいきいきとした力がそなわり、人の心をゆすぶる手紙が書けるようになるのです。(本文から)
    ▼「三島由紀夫のレター教室」三島由紀夫。ちくま文庫、221頁。サクッと読めます。2020年2月読了。初出1966年。ウディ・アレンの良くできた恋愛コメディを観た気分。軽いだけに見えて、人生と恋愛への皮肉と諧謔に満ち。ヒトの愚かさに肩をすくめる感じと、そんな愚かさが愛おしい感じ。
    ▼「女性自身」に連載した小説。編集者もちゃんと役割を果たしたのか、三島さんの小説の中でもおそらくかなり柔らかく、読み易い。で、十分に面白かった。うまいなー。職人というか娯楽に徹しているのか、かなり、マトモです。ヘンタイな感じが薄かった。普通のも、書けるんやんか。
    ▼5人の、手紙のやり取りが、小説になっています。
    ①40代の未亡人、英会話塾経営者
    ②40代の衣服デザイナー、既婚だが、①のボーイフレンド
    ③20代の会社員女子(①の元生徒)
    ④20代の演劇青年(②の知人)
    ⑤30代の暢気なTvばかり見てる男(③の従兄弟)
    最後には、ここから二組のカップルが出来上がります。かなり笑えます。あははと笑ってると、まさにエスプリの効いた名台詞にうなります。
    ▼実は現代性が高い。さすが、ちくま文庫。
    メールやSNSが手紙の一種だとすれば、有史以来日本人が(世界中も)これほど手紙を書いている時代はありません。テレビ漬けな男は、ネットやゲームの中毒にも似ています。会ったり電話するよりも手紙を選ぶコミュニケーションは、生ではない活字依存と考えれば、今風ですね。
    ▼しかし、三島、キレ者だなあ、と、改めて。まだまだ読んでない本がいっぱい。楽しみです。
    ▼そして、この本には「男が好きな男」が、出てきません。同性愛が出てこない。三島なのに。
    ▼同性愛者である男性は、女性に冷徹かつシビアかつ洞察的で無駄な優しさの無い助言をできるという、「ベスト・フレンズ・ウェディング」などでパターン化された【イイ男、ゲイ、女の友達】というのが、なんとなく当てはまる気が(三島さんが)。

    /////////以下全て本文より///////

    ▼だれでも、自分と全く同じ種類の人間を愛することはできませんものね。

    ▼*英語の手紙について
    1.手紙はなるべくなら、I(アイ)ではじまらぬようにすることです。
    2.物喜びをなさい。
    3.日常の些事をユーモアを混ぜて入れなさい。
    4.文法や構文に凝るよりも、形容詞に凝りなさい。
    5.ときどきちょっと文法や綴(スペリング)をまちがえなさい。
    6.英語の手紙ということを忘れて書きなさい。
    返事はなるたけすぐ出すように。私は世界中で、日本人ほど筆不精な国民はないのではないかと思います。

    ▼大ていの女は、年をとり、魅力を失えば失うほど、相手への思いやりや賛美を忘れ、しゃにむに自分を売りこもうとして失敗するのです。

    ▼恋愛というものは『若さ』と『バカさ』をあわせもった年齢の特技で、『若さ』も『バカさ』も失った時に、恋愛の資格を失うのかもしれません

    ▼なぜ断られるか?それは彼女にやさしさと自信との平和な結合がないからです。女の真の魅力は、その二つのものの平和で自然な結合以外にはないのですからね。彼女の心のアンバランスを、男性は一目で見抜いてしまうのです。

  • 性別も年齢も職業も異なる、筆まめな5人がおくる書簡体小説。

    デートのお誘い、金銭の依頼、恋愛相談、お見舞い状、果ては悪口や裏切り絶縁まで悲喜交々、様々なやりとりが手紙上で行われます。連作小説のように、読み進めていけばいくほどそれぞれの気持ちや思惑が複雑に絡み合い、「まったく人間ってやつは…」と妙な悟りと愛着を感じます。氷ママ子女史と山トビ夫氏のやりとりには終始にやにやとさせられました。トビ夫氏の株が後半に向けて急上昇したのは私だけではないはず。
    一回のやりとりに時間を掛け、内容も熟考でき(時として殴り書く場面もあるようですが笑)、相手の顔を思い浮かべながら一文字一文字を綴る手紙、そして文面からこうも隠しきれない個性が光ってしまう手紙というツールに改めて魅力を感じます。
    三島由紀夫の魅力再発見!ユーモアに富んだ愉快な作品でした。

  • 久しぶりに本を読んだからリハビリ感覚で読めた。あの三島の軽妙な一冊。よい!

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著者プロフィール

三島由紀夫

一九二五(大正一四)年東京に生まれる。本名、平岡公威。学習院高等科を経て東京大学法学部を卒業。在学中の四四(昭和一九)年に処女創作集『花ざかりの森』を刊行。戦後四七年大蔵省に入り翌年退官。四九年に刊行した『仮面の告白』で名声を確立し、以後、文筆活動に専念する。『潮騒』にて新潮社文学賞、『白蟻の巣』にて岸田演劇賞、『金閣寺』にて読売文学賞、『絹と明察』にて毎日芸術賞、『サド侯爵夫人』にて芸術祭賞などを受賞した。六八年、「楯の会」を結成し、七〇(昭和四五)年、自衛隊市ヶ谷駐屯地で自決。

「2020年 『三島由紀夫 石原慎太郎 全対話』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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