- Amazon.co.jp ・本 (265ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480026309
作品紹介・あらすじ
裕福で自由な生活を謳歌している三人の離婚成金。映画や服飾の批評家、レストランのオーナー、ブティックの経営者と、それぞれ仕事もこなしつつ、月に一回の例会"年増園"の話題はもっぱら男の品定め。そのうち一人元貴族の妙子がニヒルで美形のゲイ・ボーイに心底惚れこんだ…。三島由紀夫の女性観、恋愛観そして恋のかけひきとは?
感想・レビュー・書評
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"恋愛上級者のバイブル"という帯に惹かれて読んでみたところ、登場人物みんながみんな、上級者すぎて舌を巻いてしまいました。
群ようこさんが本書の解説で「太刀打ちできない」と書かれていて、思わず大きくうなずいていました。
本書の登場人物たちは、自分が傷つくことも、相手を傷つけることも覚悟の上で、人間関係を築いています。
だから、仕事でもプライベートでもとてもアクティブ。
年若い恋人との関係も絶妙なバランスで成り立っていて、恋人同士なのに互いに心理戦を繰り広げているような緊張感があるのです。
傷つくことも、傷つけてしまうことも嫌だと思う私とは全然違う…。
どんな結末になるのかドキドキしていたのですが、私の想像を超える清々しいラストシーンでした。
最後まで圧倒されっぱなしで読了…三島由紀夫ってやっぱりすごいです。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「命売ります」に続いて三島由紀夫2冊目。「年増園」と名付ける作者の言葉選びの感覚に好感度。華族出身の裕福な中年女性と社会的な地位と安定した生活を手に入れようとする年下の男性の洒落た恋愛は今読んでも色褪せていなくて面白い。大人の余裕をみせる妙子がかっこよくて爽やかだった!!!名作にも挑戦したい。
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1964年に出版されたらしいが古くささを全く感じない。港区OLやパパ活に勤しむ女子大生も読んでみたらいいと思う。
千吉像は晩年の作者の姿をみると自らの理想とする男性を描いているように感じた。
男性作家によくみられる清廉性を強調した女性だったり、「私女性わかってます」からくる女性が描かれていなくてよい(あくまで男性視点だが) -
三島由紀夫が天才と言われる所以がこの本を読んでわかった。今まで読んできた恋愛小説はなんだったんだ…。到底辿り着けそうもない恋愛だと思いきや、誰の心にもある葛藤や虚栄、孤独をあぶり出している。魅せつけられました。お手上げです。
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60年前に描かれたこの作品。
現代でも色褪せていないことがすごいし何より世界観がお洒落すぎてどストライク。さすが三島由紀夫の娯楽小説。
主人公の女性、妙子がいい女すぎて私もこんな女性になりたいと思える程素敵すぎる女性だった。ラストが特に本当に面白くて最高。男性である三島が女性である妙子の心理描写をこんなに繊細に描けることに驚きと尊敬。とにかく夢のある小説だった。また時間が経ったら絶対読みたい。
そして三島由紀夫の作品が大好きであることを再確認させられる作品だった。 -
三島由紀夫の肉体の学校に出会いたくて、古本屋に足繁く通っていたけれど、6年探してもなかなか出会えなかった。
私のルールから外れて、ネットで購入。
いいんだよ、読みたかったんだから。
三島の人間描写が好きだ。生々しい赤裸々な感情が好きだ。なんの本を読んで好きになったかは覚えていないけど、肉体の学校を追い求めて読み続けた。
人間のドロドロした感情を、全部欲しいと思う感情を、そのまま書いてくれるから私は共感する。
でも私はやられたらやりかえしてしまうので、あんないいオンナにはなれないんだろうなあ。
大学の時からずっと読みたかった三島由紀夫の肉体の学校。愛知県美術館で出会ってから、次出会えた時が運命と思って探し続けたけど結局いつまで経っても出会えず6年。やっと読めた。
少し前の自分と重なる物語だった。ダメ男と気高くいたい自分の関係。素直になれない自分。葛藤。一緒にいてはいけないけど好きで仕方ない。
妙子はかっこよく離別できた。私もかっこいい大人の女性になりたい。 -
ああ〜もう〜
やっぱり三島由紀夫は娯楽小説がピカイチだと思うの。
豊饒の海も金閣寺も好きだけど、やっぱり純白の夜なの夏子の冒険なの、不道徳教育講座なの、三島由紀夫レター教室なの!!!!
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ということで。
敗戦を機に夫と離婚し、“離婚成金”となった妙子、39歳。元華族で、今はブティック経営者。
同じ境遇の友人3人と集う「豊島会」で、ゴージャスに着飾った彼女らが語るのは、専ら色恋の話と、男性の品定め。
ある日訪れたゲイ・バアの若いバーテンダー、千吉に妙子は惹かれてしまう。
二人がくっつくまでの駆け引きもまあまあ長くてかわいいのだけど、くっついてからのやきもち加減が可愛すぎて。そしてわかりすぎてつらい。
独占したいけど、束縛していると思われたくない。嫉妬と羞恥心。
「どこへ行っていたの?」
不安で不安でたまらなくて、でも素直に聞けなくて。自分から言ってくれればいいのに、と思う反面、言われたら言われたでまたそれを弁解と捉えてしまうのだろう。と。
ぐるぐるぐるぐる。
三島由紀夫はどうしてこういう繊細で醜悪な心の動きを描けるんだろう。もうそれ以上さらけ出さないで、自分の中をえぐり出されているようでつらいから。
でも妙子はこんなにやきもち妬きで寂しがり屋なのに、芯がしっかりしていてブレなくて、素敵。
何事も他責にしない、というか。自分の行動の責任は自分でとる。
自分の両足でしっかり立ったうえでやきもちを妬いて、しっかり浮気もして。素敵だ。
ラストのあっさり感までもうほんと貫いてて素敵。あれだけやきもち妬いて、駆け引きして、恋して恋して恋したのに。
夢からさめてすっぱり切り替えられるのは、やっぱり自分があるからだよなあと思う。
あと経験からくる自信と、プライド。歳を重ねるって強い。
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読む前は裕福な中年女性が若者に溺れて…という想像しかしてなかった。でも違った。凛とした女性の話だった。今の時代って案外自分の美貌やキャリアに自信を持てそうで違うのかも。この本のイメージする世界が絢爛豪華で、今の時代に同じ世界観で小説を書ける人はいるのかとも思う。最近は貧困目線のものが多い気がして閉塞感があるのだけど、嫌みなく男女の性愛や華やかな世界を描ききる三島由紀夫さんのスキルに敬服するしかないと思う作品。
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いちど離婚を経験した上流階級のアラフォー女性のプライドや恋愛感情など、心理描写がよく描かれていて物語にのめり込んだ。主人公の親友である2人の女性のそれぞれの恋愛物語もあるならとても読んでみたいと思った
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天才三島由紀夫の快作❗️勝手良く知る上流階級の世界と恐らく三島由紀夫本人の理想とする人物を登場させた本作。
自立したアラフォー独身女性と同じような女性やゲイとの友情、素直になれないアラフォーとそれを利用する若き野心家。恋はパワーゲームといいますが、泣き顔とあなたを本当に愛していたと言わせた方が勝ちなんですね。
この作品に出てくる
「あの人あなたには優しい?」は名言、