江戸文学問わず語り (ちくま文庫)

  • 筑摩書房 (1992年8月24日発売)
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Amazon.co.jp ・本 / ISBN・EAN: 9784480026446

みんなの感想まとめ

文学の魅力を再発見できる一冊で、江戸時代の作家たちに焦点を当てています。円地文子が取り上げるのは、馬琴や秋成、近松など多彩な作家たちで、彼らがどのような文学的風土に育ったのかを探る内容が興味深いです。...

感想・レビュー・書評

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  • 1992年(底本1978年)刊。

     女の業や悲哀を切々とした文体で表現する著者が、幼少期より語り聞かされ、読み聞かせされ、そして少女期には自ら読破した江戸期文学。本書はこれを熱く語るエッセイ集。
     殊に滝沢馬琴の「南総里見八犬伝」、上田秋成の「雨月物語」「春雨物語」が熱い。
     好きなものを思いっ切り語るとは、こういうことを言うのだなと感じ入る書だ。今風に言えばファンブック。

     ところで、女流とはいえ、作家だから当然なのだろうが、紹介作品の濡れ場・責め場を衒いなく叙述し、時に美的エロティシズムの観点から肯定的に書く。著者の目線の幅の広さ、心性における懐の深さをも感じ取れる。

     もっとも、受け手の側の問題、つまり、著者のこれらの書に対する熱さや、知識、思いを巡らせる経験を受け止めるだけの教養をこちら側が備えていないのも間違いない。
     本書の熱さを十分受け止め得たかは甚だ疑わしい。

  • 円地文子、というと、やはり「源氏物語」。平安文学。
    だから、江戸文学の本と見て、少し意外だった。
    取り上げられているのは、馬琴、一九、三馬、四世鶴屋南北、黙阿弥、源内、秋成、近松など。

    明治時代に生まれた人が、どんな文学的風土に育ったかがわかり、興味深かった。
    東京生まれの円地さんには、秋成や馬琴に、今の私たちがジブリアニメに馴染んで育つように、親しんできたということだ。
    そういう物語を幼かった彼女に教えてくれる大人たちも周りにいて。

    さて、この本でびっくりしたのが、「八犬伝」に影響を与えたいくつかの書物についての考察。
    獣姦というモチーフを切り出してきたことにも、ぎょっとしたけれど、「唐物語」や宋代の小説「捜神記」などの影響関係を見ていた。

    それから、円地さんの文章を味わう力にも感銘を受ける。
    秋成の雨月物語は、私自身も原文で読んだことがある。
    でも、「吉備津の釜」の「家と見しはもとありし荒野の
    三昧堂にて、黒き仏のみぞ立せまします」といった文に「高貴な恐怖感」「澄んだ恐怖」は感じられない。
    言葉としては理解できるのだが、ここまで身に迫るものとして感受できない。
    昔の人の、と言うべきなのか、作家の、というべきなのかはわからないが、ともあれ、優れた鑑賞力というのはこういうものなのか、と思った。

  • 図書館
    米原万里の『パンツの面目―』に出てきて読みたくなったので。
    しかしこの本を読んでいたら滝沢馬琴の『里見八犬伝』を読みたくなってしまった。

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著者プロフィール

円地文子

一九〇五(明治三十八)年東京生まれ。小説家、劇作家。国語学者・上田万年の次女。日本女子大附属高等女学校中退。豊かな古典の教養をもとに女性の執念や業を描いた。主な作品に『女坂』(野間文芸賞)、自伝的三部作『朱を奪うもの』『傷ある翼』『虹と修羅』(谷崎潤一郎賞)、『なまみこ物語』(女流文学賞)、『遊魂』(日本文学大賞)など。また『源氏物語』の現代語訳でも知られる。八五(昭和六十)年文化勲章受章。八六年没。

「2022年 『食卓のない家』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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