夢野久作全集 4 (ちくま文庫 ゆ 2-4)

著者 :
  • 筑摩書房
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感想 : 6
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  • Amazon.co.jp ・本 (436ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480026743

感想・レビュー・書評

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  • <田舎>を舞台に書かれた作品が収集されていた。
    「いなか、の、じけん」はユーモア溢れる20の短編が並んでいて現代でも充分面白い。
    「巡査辞職」は草川巡査の視点から事件を追って行く感覚が堪能できた上に、深良家の事情が詳しく折り込んであって最も物語に入りこむ事が出来た。
    「眼を開く」は背筋が寒くなると同時に何故かとても感動した。
    雪道での遭難という非日常的な体験に胸が躍った。
    「空を飛ぶパラソル」と「山羊髭編輯長」は作者が記者時代の経験を生かして書き上げたものだと分かる。
    作者も熱心で才知に長けている新聞記者だったのかと想像させられた。
    「斜坑」「女坑主」「名君忠之」はよく分からなかった。
    「笑う唖女」「骸骨の黒穂」は何と言うか当時代の差別意識が色濃く見えてあまり良い気持ちはしなかった。

  • いなか、の、じけん
    ヘンテコな話(記事)ばっかりだけど、これが一応ノンフィクションだとしたら……いなかならあり得るのかしら?と思わせられるのが面白い

    巡査辞職
    めずらしく(?)ちゃんとしたミステリもの
    でも真実を暴いたことへの後悔っていう話の持っていき方は空を飛ぶパラソルに通じるものがある

    笑う唖女
    たった一度の過ちが悲劇を……ちょっと乱歩っぽい?

    眼を開く
    この郵便局員になぜかやたらと情が入ってしまいものすごく切なかった。

    空を飛ぶパラソル
    夢野久作が記者をやっていたからこそ重みがある話だなあと。

    山羊髯編輯長
    こっちは同じ記者ものでも痛快で面白かった。
    もうちょっと読みたかった。

    斜坑
    主人公には幸せになってもらいたかったけど…やっぱりキチガイになっちゃったのかなー

    外国の黒穂
    そういう時代だったのかなあ?と思いつつ、けどその時から抗議が来てるってことはやっぱりその辺の考えがまだ前時代的だったのかしら。
    話は普通におもしろかった

    女坑主
    はっきりとした共産主義者への批判めいた話

    名君忠之
    夢野久作が書く聡明な少年はすごく生き生きしててかっこいい

  • 2009/
    2009/

    いなか、の、じけん 巡査辞職 笑う唖女 眼を開く 空を飛ぶパラソル 山羊髯編輯長 斜坑 骸骨の黒穂 女坑主 名君忠之

  • 久作の作品に登場する青年記者が好みです。いい意味で人間的。
    利己心の塊ではあるんだけど、真剣になればなるほどからまわりするのは運命なのか(笑)。馬鹿だな〜と思いつつ、愛しい。気づけば癒し系。

  • かなり気になっている作家さん。今度図書館で探してみようかな。
    瓶詰地獄とドグラ・マグラなどは有名

  •  「空を飛ぶパラソル」面白かったです。<br>
     私はこの人の文章も好きだし、内容もそれなりに好きなんですけど、何より情景描写とか場の作り方とかが好きなのじゃないかと思い始めてます。場の作り方自体も好きだし、それを凄く巧みに描写するから、この人の小説を読んでいると尋常じゃない綺麗な景色が頭に浮かぶんですよ……。<br>
     しかも、綺麗でいてエロティックで、毒があって。<br> これに、ぱたぱたと畳み掛けるようなラストが合わさると最強だと思います。

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著者プロフィール

1889年福岡県に生まれ。1926年、雑誌『新青年』の懸賞小説に入選。九州を根拠に作品を発表する。「押絵の奇跡」が江戸川乱歩に激賞される。代表作「ドグラ・マグラ」「溢死体」「少女地獄」

「2018年 『あの極限の文学作品を美麗漫画で読む。―谷崎潤一郎『刺青』、夢野久作『溢死体』、太宰治『人間失格』』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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