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- / ISBN・EAN: 9784480027238
感想・レビュー・書評
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避暑地バルベックでの主人公の優雅な生活。
ここまでずっと、スワンの娘・ジルベルトに夢中な主人公だったけど、今ではすっかり避暑地で出会ったアルベルチーヌに夢中。
アルベルチーヌは主人公に対してかなりの思わせぶりな態度をとるんだけど(いわゆる魔性の女ってやつ)、いざ事に及ぼうとすると拒否されて。主人公ももっと振り向いてくれそうな女性を好きになればいいのにね、(*´Д`)=3でも文中にもあった通り、捕まえられそうで捕まえられない、蝶みたいな女性が結局男心をくすぐるんだろうなぁと妙に納得。
バルベックでの静養も終わり、次巻はどんな展開になっているんだろう、、?また読了に超時間かかりそうだけど、頑張って読み進めます…!
【TMI】
今回は初めての筑摩で読んでみた。前に読んだ時はすごく読みにくいイメージがあったんだけど、いざ読んでみるとそこまででもなく…!
まあ原文に忠実な訳なので、とんでもなく一文一文が長くて冗長に感じる時もありますが(´`)=3
次巻も筑摩で読んでみようかなあと検討中。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
花咲く乙女たちのかげに2
バルベックでの人々との交流。ヴィルパリジ夫人、リュクサンブール大公夫人、ロベール・サンルー、パラメード(シャルリュス男爵)、少女たち、エルスチール(ビッシュ)、少女たちのそれぞれ、アルベルチーヌ、アンドレ、ジゼール
浜辺の季節は去り皆もと来た場所に帰っていく。結末は話者の部屋の太陽の光を遮るカーテンやその他の布たちとそこから漏れてくる朝の光。外の世界の生活が始まり、ようやく昼になってその布が外されて現れる太陽は新鮮さを失い遠い昔の光のミイラのよう。 -
バルベックで祖母とフランソワーズとともに過ごす「私」。貴族やブルジョワとの社交だけでなく、海辺の光景の描写が美しい。
アルベルチーヌ登場。いわゆる花咲く乙女たちの一員である彼女に私がキスをしようとするが…。 -
バルベックで、女の子の一団と知り合いになり、アルベルチーヌとも出会う。
とにかく文章がすごい。話そのものはワイドショーか童貞くんの妄想みたいなしょーもない戯言でも、所々挟まれる比喩や風景描写の巧みさに、うっとりと釣り込まれる。 -
バルベックで過ごした夏の数ヶ月間を描いてます。
後半では乙女たちが登場し、主人公とアルベチーヌとの淡い恋の模様が描かれています。主人公の思考の流れが、よーこんなにも頭の中で色々考えるれるなぁ、と感心。人間観察的な目も凄い。アルベチーヌの思わせぶりな態度と主人公の苦悩に青春の淡さを感じる。
まだ残り7冊残ってると思うと少しゾッとしますが、なんとか読破したいと思います。 -
恥ずかしながらここまでで挫折しました・・・。いつか再挑戦したいなあ。
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篇題の 「ゲルマントのほう」のゲルマントとは、第一篇 「スワン家のほうへ」の第一部の「コンブレー」で述べられていたように、正反対の二つの方向があり、ひとつは、ゲルマントの方角。もうひとつは、スワン家の方角で、スワン家はユダヤのブルジョアであり、ゲルマント家は由緒正しき大貴族である。立地における反対方向の対比だけではなく19世紀フランスにおける時代的な固有価値の流形をも示唆している。
バルベックでゲルマント公爵夫人の叔母で、語り手の祖母と幼馴染のヴィルパリジ夫人やゲルマント家の人々と親しくなり、語り手一家はゲルマントの館に属するアパルトマンに引っ越す。
ラ・ベルマの『フェドール』の舞台のチケットを父から譲ってもらい観劇に出かける。前回、ラ・ベルマに失望した語り手は、今度は感激し賞賛する。
そのオペラ座で、ゲルマント公爵夫人とその従妹のゲルマント大公妃を見る。
語り手はゲルマント公爵夫人にまた一目惚れをしたらしく、毎朝、まちぶせをしてみたりしたが、うまくいかないので、バルベックで親友になったゲルマンと公爵夫人の甥にあたるサン・ルーに兵舎のあるドン・シニエールまで会いに行き暫く滞在しつつゲルマント公爵夫人に近づきになれるように、口添えを頼む。
サン・ルーの仲間たちはドレフェス事件について語り合っていたが、ドレフェス事件とは、1894年、文書の筆跡が似ているというだけの理由で、ユダヤ人大尉アルフレッド・ドレフェスを逮捕された事件。
ドレフェスは無罪を主張しつづけ、いわゆるドレフェス派と言われる知識人たち(ゾラ、アナトール・フランス、ベルナール・ラザール、クレマンソー、ジョーレスそして、プルーストも加わった)と反ドレフェス派に世論は分れ、侃侃諤諤人々は議論を戦わせた。結局、この事件はエステラジーのでっちあげでありドレフェスは無罪だったが、社会の根底に横たわるユダヤ排他主義が露呈することにより社会的緊張が増し、フランス第三共和制を揺るがした大事件に発展した。
サン・ルーはゲルマントの子息でユダヤ人の血は一滴も入っていないがドレフェス派であった。
やたらと女々しさが目立つ語り手に比べ、サン・ルーは家柄のよい才気溢れる青年に思えるが、そんな彼にも弱点はあり、サン・ルーが夢中になっている相手を語り手は対面して驚愕する。
売春宿で語り手が20フランで買い、20フランの価値もないと思ったゼゼットがサン・ルーの愛人だったから。
ヴィルパリジ夫人のサロンに行くと、ノルポワ氏も来ていた。のちに知ることになるのだが、ヴィルパリジ夫人ととノルポワ氏は以前愛人関係にあり、今は男女の関係は切れていても持ちつ持たれつの仲が続いているらしい。
ここでもまた、ドレフェス事件のことが語られる。
スワン夫人と再会したり、大叔父の遺品の整理で彼女がばら色の婦人であることがわかったり、シャルリュスが奇妙な熱意を持って語り手に接したりする。
シャン=ゼリゼのあずま屋(有料トイレ)で祖母が発作を起こしてから、ますます祖母の病状は思わしくなく、とうとう帰らぬ人になってしまう。
両親がコンブレーに出かけて留守だった秋のある日曜日、アルベチーヌの突然の訪問に語り手は驚く。長らく逢っていないし、惚れやすい語り手はステルマリア夫人にお熱になりかけていたので、アルベチーヌのことは、そうも重要にその時は思っていなかった。
バルベックでキスを頑なに拒んだくせに、今度はすんなりキスを許すあたりよくわからないのだが、ステルマリア夫人にアタックを試みながらもゲルマント公爵夫人にも恋焦がれている語り手は、母親に「彼女はあなたなんか相手にするわけないのだからはしたないことをするのをやめなさい」とかんじのことを言われると諦める決心をし、シューベルトの♪別離を歌いながら何時間も泣いりする考えられないような女々しさ?素直さに少々閉口してしまうのだが、(笑)
ひぇ~と引いてる間に、ステルマリア夫人にもふられ、これまたカーペットの包みに頭をつっこんですすり泣くので、はぁぁぁぁぁ、、、
ゲルマント公爵夫人のことをあきらめた途端、彼女の晩餐会に招待され、喜んで出かける。
ゲルマント家でエルスチールの絵を見たり、多くの上流階級の人々と知り合いになる。
晩餐会の後、語り手はシャルリュス氏を訪ねるが、彼は執拗に語り手にいちゃもんをつけ、語り手は遂にキレて、シャルリュス氏の新しいシルクハットをふみつけバラバラにしてしまう。激昂した語り手の反応を見てシャルリュス氏は、甘い態度をとるが、意味不明気味の態度に語り手は困惑する。この意味は、次篇に答えが出されるらしい。
ゲルマント大公夫人からカードが届き、ゲルマント公爵夫妻の元を訪ねると、スワン氏が来ていて、久々の再開を果たす。
スワンは病気のためにひどく容貌が変っていたが、スワンの口から自分の余命は3.4ヶ月という言葉を聞く。
三篇の ゲルマントのほう は、大貴族のゲルマント家を軸に描かれているが、重要な家族であり、語り手をとても可愛がっていた祖母の死があり、アルベチーヌの再来、不可思議なシャルリュス氏の言動、貴族の社交界の晩餐会の様子、最後は老いたスワンの余命告白で幕を閉じる。
フランスに大きな意味で嵐が吹き荒れたドレフェス事件、晩餐会で語られる多くの作家、画家、作曲家ほか、芸術家たち、優雅な人々の芸術至上主義に酔う大貴族のほの暗い翳り、そして反ユダヤの世相とインテリ層における思想の対置は静かであるが新しい時代に向かいながら大きくうねりはじめる。
マルセル・プルーストの作品





