- Amazon.co.jp ・本
- / ISBN・EAN: 9784480027290
感想・レビュー・書評
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人間というのは何と虚栄心に満ち、愚かなのか。人間がなまじっか知性を獲得したせいで引き起こされる悲劇。ある種の戦略の結果を超越した結末。
夏目漱石の「虞美人草」を読み終えた時以来味わった、あまりに複雑な心のざわめき。
本作にはこの長さが必要だったのだな。というのも、死者をいつまでも忘れない、的な恋愛小説とか家族小説とかあるけど、そんなのは時間の経過によって忘却という便利な機能が当人の意識状態を変えてしまうがゆえに本来成り立たないものなのだ。なまじっかページ数が少ないと、運命みたいなものがさも存在しているかのように錯覚されるが、本作はその過剰なページ数によって、そんなのは欺瞞であると証明している。にもかかわらず、あいかわらず運命を都合よく利用する小説が量産されている問題を考えなければならない。 -
前巻のラストで主人公の家を出て行ったアルベチーヌ。前巻ではさんざんアルベチーヌを愛していないと語り、自ら軽く別れ話までしていたのに、いざ本当にアルベチーヌが出て行くと、猛烈に戻って来て欲しくなり、どんなことをしてでも戻って来て欲しい!と思う主人公。このアルベチーヌへの未練と、別れの悲しみと、アルベチーヌへの疑惑を考え出すともうどうにも止まらない。このくだりだけで250ページほどあーでもない、こーでもない、と考え続けてるんだから凄い。しかも、危うく犯罪者ギリギリの変態的な行為にまで走ってしまうほど追い詰められる主人公。ある意味今までのエピソードの中で1番キモくて面白かった。いよいよ超大作も残り1冊!
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