- Amazon.co.jp ・本 (488ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480027511
作品紹介・あらすじ
一条の光芒…。「光と風と夢」「古譚」「斗南先生」「虎狩」他、習作・歌稿・漢詩・訳詩を収載。
感想・レビュー・書評
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1 古譚――「狐憑」「木乃伊(みいら)」「山月記」「文字禍」
2 「斗南先生」
3 「虎狩」
4 「光と風と夢」
――ロバート・ルイス・スティーブンソン(英1859~1894)の伝記をベースにした長編。スティーブンソンといえば『ジキルとハイド』や『宝島』をものした抜群のストリーテラーだ。その彼を下敷きにしたこの作品は、当時、芥川賞候補作にもなったよう。
1~3は既読なので軽く流し、今回はなんといっても未読だったこの長編が本命。素晴らしい作品に驚いた。なぜ芥川賞がとれなかったのか不思議なくらいだ。当時の文壇は視野が狭すぎたか? 刺激が強すぎたか? 中島敦ならではの世界的な視野の広さと美しい文体。なんだかバルガス・リョサのような雰囲気も漂っている。作品ごとに文体がだいぶ違っていることにも驚く。『山月記』と『光と風と夢』は本当に同じ作者なのか? と思うほどの魅力を放っている。
短編は「山月記」も好きだが、なんといっても「文字禍」が笑えて好きだな。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
中国系のものと、南洋系のものがあるんだな。中島敦さんのせいではないんだろうけど、日本がその時代その地域をどういうメンタリティな地域と感じていたか、みたいなところが文学賞にも影響してなければいいんだけどと思わせないくらい良い作風だと思う。
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円環構造の物語の極致と言える「木乃伊」。
ペルシャの武将パリスカスがエジプトに入った時に見付けた一体の木乃伊(ミイラ)。彼はそこに自己を見る。かつてこの木乃伊が自身であったと。
だから話せないはずのエジプト語を理解し得、記憶の中に見知らぬこの国の妻があった。
前々世、前々々世の記憶が無限に連続していることを知った人はどうなるかを描く。十頁に満たない作品ながら、深く考えさせられた。
空想の物語を語るようになった男を描く「狐憑」は、文字さえあれば作家と見做されたろうが、その欠如ゆえに集団から排される。
一方「文字禍」はその対となる作品のよう。過去、人は体験を直接に感じられたのに、文字の発明により、出来事を文字化して影のようにしか感じられなくなったのではないかとする。
文字の精は、文字のためにアッシリヤは蝕まれているとの真理に気付いたナブ・アヘ・エリバを見逃さず、地震で書籍=石板の下で圧死させる。
川端康成が「芥川賞に価ひしないとは、私には信じられない」と書いた『光と風と夢』は、『宝島』の著者スティヴンスンが酷い喀血に見舞われ、健康地を求めて定住先としたサモアでの生活を描く。
夜明け前、眠っている人に良い夢を送るため優しく笛が吹かれるのどかな島を舞台に、植民地化を進める米英独に対しスティヴンスンはペン一本で立ち向かう。
終始、南国の光と風を感じられる作品。極上の読書体験。
また、著者の小説観が、主人公の日記の中で「小説が書物の中で最上(或いは最強)のものであることを疑わない。読者にのりうつり、其の魂を奪い、其の血となり肉と化して完全に吸収され尽くすのは、小説の他にない」と表されている。
うん、この最強の力で魂を奪われた。夭折が悔やまれる著者。
「木乃伊」目当てに手に取った本だけれど、全て良かった。表紙は一体なんだろう、とは思ったけど。-
白藍さんはじめまして。
去年あたりから中島敦の魅力に気付き、読み始めた者です。この表紙はたぶん南洋で交流深めた画家・土方久功の作品だと思いま...白藍さんはじめまして。
去年あたりから中島敦の魅力に気付き、読み始めた者です。この表紙はたぶん南洋で交流深めた画家・土方久功の作品だと思いますが‥何を表してるのでしょうね。2021/07/22
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作者の伯父の死を描いた「斗南先生」と,スティーブンスンのサモアでの生活を描いた「光と風と夢」を読了.
「山月記」や「名人伝」などしか知らないわたしには,両方とも新鮮.特に後者は病気と闘いながら自分の天職としての作家という職業を強く愛し,サモアの自然と土地の人を愛したスティーブンスンと作者自身の姿をどうしても重ねてしまう. -
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https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/745667 -
金大生のための読書案内で展示していた図書です。
▼先生の推薦文はこちら
https://library.kanazawa-u.ac.jp/?page_id=18347
▼金沢大学附属図書館の所蔵情報
http://www1.lib.kanazawa-u.ac.jp/recordID/catalog.bib/BN04708577 -
文字渦を読むのに読み返し。
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初刷り所有。天才だと思う。長く生きてほしかった