- Amazon.co.jp ・本 (560ページ)
- / ISBN・EAN: 9784480027528
感想・レビュー・書評
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【推薦者】A.A@上善如水教室
『わが西遊記 悟浄出世・悟浄歎異』おすすめ -
「かめれおん日記」と「狼疾記」が身につまされ過ぎてつらい
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パラオ周辺の出来事を描いた、南島譚や環礁からは暖かい光と風を感じる。
「夫婦」からは、妻に頭の上がらない夫、ギラ・コシサンが、妻よりも善き美女リメイと添い遂げる話が描かれているが、分かりやすくて面白い。
他部族の女が炊事女としてやって来て、気に入った男を持って帰るのもそうだし、恐妻エビルがある種の力を持つ女系一族であることも、文化って上手いことなってるなーと感心。
「牛人」では、夢に見た救い人であるはずの豎牛に騙され、追い込まれてゆく叔孫が哀れ。
珍しく筋書きが因果応報でないというか、急に黒い展開の話で、不穏。
書簡については、妻へのあれやこれやとか、子供へのパパぶりが描かれているのだけど、いつも思うのは、小説家だからといって、どんな文章もこうしっかりと残されては敵わないのではないか、とか思ったりする。
画家はどうか分からないが、超一流の俳優とか音楽家の書簡集と違って、文学者は大抵の場合、全集には入るように思う。まあ、それも全集が出るほどの人であれば、ということだけど。 -
「南島譚」や「環礁」の平易でユーモアーに富んだ文章は、それまでの中島敦の印象を大きく変えてくれた。南洋の風物や人々の暮らしに触れた中島の驚きや好奇心が素直な筆致から伝わってくる。日記や書簡についても中島の意識の方向が感じられて興味深い。
「わが西遊記」を読んだ後は、万城目学の「悟浄出立」も読むことをお薦めする。 -
ミクロネシヤ巡島記抄が読みたかったのでうれしい!
夾竹桃の家の女の出だしなんか堪らない。
「 午後。風がすっかり呼吸を停めた。」
南の島の色彩の見事さをここまで正確に魅力的に描ける筆力。やはり天才。
書簡がまたいい! たか夫人へ宛てた手紙がもう最高。昼はこどものことを思わないようにしているが、夜になると思ってしまうとか、心配しないでほしいとか、手紙ほしいとか、でも生活に差し障るほどは書かぬで良いとか、もう愛情がこれでもかってあふれてる手紙。あんな手紙書きたいもらいたい。文章家ですね。 -
日記や書簡に触れると、その漢語朝の文体から伝わってくるとは違った中島敦さんが見えてきます。