中島敦全集〈3〉 (ちくま文庫)

著者 :
  • 筑摩書房
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レビュー : 10
  • Amazon.co.jp ・本 (485ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480027535

感想・レビュー・書評

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  • 遺稿の北方行は漱石ばりのどろどろした人間の内面が描かれていて、山月記や李陵のようなピリッとしたイメージとはだいぶ距離があって作者の幅が伺われる。夭折はいかにも残念。

  • ラスト三巻目。
    33歳で亡くなった、その年に「名人伝」やら「李陵」といった作品を書き上げた中島敦、すごすぎるなー。
    考えても仕方ないけど、生きていたら、どんな世界が開かれていたんだろうか。

    「弟子」にしても「李陵」にしても、ストーリーを追っていると、孔子や蘇武といった、まさに王道主人公然の人物がいる。
    それに比べると、子路や李陵はやはり欠けている。
    けれど、欠けた部分に葛藤し、諦め、それを本性と受け入れていく姿が愛おしい。
    「山月記」においては、李徴にも袁傪にも、なんとなく共感し損ねるのは何故だろう。
    「名人伝」に至っては、最早人に非ずの域に達してしまうしなぁ……。

    「李陵」は死後、周囲の人によって付けられたタイトルで、もしかしたら「漠北悲歌」になっていたかもしれない、と。
    うーん。「李陵」の方が確かに良い気がする。

  • 生誕100年だそうである。「独特の香気」が確かにある。古代中国に題材をとった小説は有名だが「北方行」のような近代的、うじうじっぽい小説も面白い。

  • 青空文庫にて「プウルの傍で」のみ読了。中島敦はこれまで「文字禍」とか中国ものしか読んでいなかったので、青春の甘酸っぱさを帯びた私小説のような本作は意外すぎて、些か面食らいながらも「ああこういうのも書けるのね」とどうにか納得して読み終えた感じ。

  • 日野啓三の解説、誉めすぎてるくらいなのに全文同意してしまう、すばらしかったです。
    カフカの変身を最初に(原文で)読んだ文豪…もう頭良すぎて開かれ過ぎていて、怖い。天才って言い方、本当陳腐になるわ。

  • 日記や書簡に触れると、その漢語朝の文体から伝わってくるとは違った中島敦さんが見えてきます。

  • 「名人伝」
    意識に於いて捉えている内はそれを極めたことにはならぬ、寓話として面白い。

    「北方行」
    役所での手続きなど事務的な作業を厭う実際的な能力を欠いた三造に見る己の姿に苦笑。

    「プウルの傍で」
    青年へと移り変わりつつある少年の日の姿を描く自伝的短編、同輩に対する見栄と自尊心、親への未だ独立に到らざる反抗、体内より湧き出でる衝動的力動、性愛への憧憬と臆病、力へと疎外されながらも肉体的に非力な男としての屈辱、少年期を過ぎた全ての「男」が辿ってきた姿である。

    「無題」
    戦前の女学校教師という或る意味で中間的な階層にある者たちの、自己の――知的社会的双方の意味での――位置付けに対する屈折した意識が興味深い。それにしても、当時の教職者は、衒学的であろうとする意味でも、相応のインテリだ。

  • 孔子に仕えた弟子・子路の物語。
    あくまで真っ直ぐに生きようとする彼の姿は、作者が伝えたかった生きる姿なのかもしれない、と思った。またその真っ直ぐさは世間で通らないことも、作者は知っていたのだろう。

    高校の国語の知識を覚えていれば楽に読めます。

  • 前半の発表作品だけ読む。古代中国を材にとった登場人物たちは、その時代と国の広い視野において位置づけられ、基本的には淡々と描かれている。しかし、たしかに生き生きと描かれている。孔子、子路、李稜、司馬遷、蘇武…各人、時代に翻弄されながらも、懸命に生きた。無駄な記述のない簡潔な記述だからこそ、読者の自由な想像と、静かな感動が入る余地がある。 漢字が難しく、注も多くてやや読みづらいが、歴史に思いをはせて楽しめる短編集だ。

  • 中国物、評論、断片、校友会誌に載った文章など、そこまで載せないと1冊にならないのか、というほど作品が少ないのが分かります。

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著者プロフィール

中島敦

一九〇九年(明治四二)、東京・四谷に生まれる。三〇年、東京大学国文学科入学。三三年に卒業し、横浜高等女学校に国語科教師として就職。職の傍ら執筆活動に取り組み、「中央公論」の公募に応じた『虎狩』(一九三四)で作家としての地位を確立。四一年七月、パラオ南洋庁国語編修書記として赴任。持病の喘息と闘いつつ『山月記』『文字禍』『光と風と夢』等の傑作を書き上げる。四二年(昭和十七)、職を辞して作家生活に入ろうとしたが、喘息が重篤となり、同年十二月に夭折。

「2019年 『南洋通信 増補新版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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