らくごde枝雀 (ちくま文庫 か 18-1)

著者 :
  • 筑摩書房
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感想 : 19
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  • Amazon.co.jp ・本 (280ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480027771

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  •  不世出の天才、桂枝雀が笑いについての自論である「緊張と緩和」理論を説明した本。

     笑いとは緊張の緩和である、というテーゼを前提に、サゲを「どんでん」「合わせ」「へん」「謎解き」という4つに分類する。
     4分類の基礎として、パイプか土管のようなモデルを提示し、以下のように分類します。

     □離れ領域 (不安)□
     ■■■ホンマ領域■■■
     □合わせ領域(安心)□
     ■■■ホンマ領域■■■
     □離れ領域 (不安)□

     そして、■のホンマ領域をとおっていた↓(=話)が、最後に外(離れ領域・不安)に飛び出すか、中心で合わさるか、を大きなメルクマールとしています。前者が「どんでん」と「へん」で、後者が「合わせ」「謎解き」です。

     この分類が旧来の分け方と違うのは、サゲを聞いた客がどう感じるかという客目線で構築した理論だということです。しかも著者は、この分類が完成したら、高座の順番で同じパターンのサゲが来ないよう散らすことで客を退屈させないようにする、という実務的な狙いもあったようです。

     対談形式で読みやすいですが、著者の笑いの分析は鋭く、読み応えがあります。
     解説で上岡龍太郎さんが指摘しているように、著者は知や理が勝つタイプの人であることがよくわかる一冊です。

  • 理論を発展させてほしかった

  • 笑いというのはギスギスした空気が入ってる風船を針で突いて割るもんやと思いますが、近頃の風船はパンパンで針で付いても「ばい~ん」ってな具合ではね返されますな。なかなか、むずかし~なと思うのでございますが…

  • 顔芸で笑いを取るこの人のことを完全に誤解していた。ごく表層的な印象で忌避していた。笑いの理論をストイックに発展・探究し続けた結果、通過点としてああいう形になっていたのか。
    上岡龍太郎の解説も、本編とその周辺を切れ味よく補足していて素晴らしかった。

  • 講演の部分はともかく…

  • 落語の研究本、というより笑いの研究書という読み方ができる内容です。よもやま話をしているふうで落語の中の笑いとは何かという本質的な部分にさらっと、しかもかなり肉薄していると思います。笑いとは何かを研究してみたいな、と思うそばからもう1982年当時に解答が示されていたということですね。ベルグソンは古臭い笑い、古典落語も古いはずなのだが必ず今に通じている笑いであることに気づきました。まあまだ笑いが何かということについてちゃんとわかったわけではないけれど、この本は面白かったし笑いますた。

  • 落語をお客さん目線で徹底的に、論理的に考えるということに新鮮な驚きを覚えた。枝雀の落語を生で聞いてみたかった。

  • らくごDE枝雀

  • 桂枝雀の落語書き起こしと、小佐田定雄さんとの対談。緊張と緩和理論と下げの分類。下げの分類について、まずは視点を観客に定めた点に枝雀さんの落語観が出ているように感じた。

  • のほほんとすごいことを言い合ってる。

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