路上観察学入門 (ちくま文庫 あ 10-5)

制作 : 赤瀬川 原平 
  • 筑摩書房
3.57
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本棚登録 : 852
感想 : 43
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  • Amazon.co.jp ・本 (380ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480028181

作品紹介・あらすじ

マンホール、エントツ、看板、ハリガミ、建物のカケラ…。路上から観察できるすべてのものを対象とした。その旗印の下に都市のフィールド・ワーカーたちが集まって、隠された街の表情を発見する喜びとその方法をご披露する。街歩きが好きな人には、欠かせない、路上観察マニュアル。

感想・レビュー・書評

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  • 【症例報告】
    街歩きしていると、知人と話しているにせよ視線が散らかるようになった。
    建物のスキマの暗がりに惹かれ、足が止まるようになった。
    マンホールの意匠が気になって、うかうか踏めなくなった。
    壁面から伸びるナゾの突起物が視界に映るたび、動悸を起こすようになった。
    迷子になる機会が増えたものの、深刻に捉えられずむしろ楽観視してしまう。
    いつの間にかカメラのフォルダが奇観で溢れかえっている。
    歩く距離が伸び、激しく肩が痛む(→「愛書狂」レビュー参照)ようになった。
    道端に落ちている有象無象をよく持ち帰るようになった。秋はドングリ。

  • 道によくあるただ昇り降りさせられる無意味階段のことを「純粋階段」と名付けるセンスが好き

  • かつて、故・赤瀬川原平氏を中心とする、とある芸術分野が存在した。考古学ならぬ「考現学」であり、ここに見られる「路上觀察學」である。

    路上観察から生まれた「トマソン」に代表される超芸術は、無用な存在そのものに芸術的な美を見出すことであり、「考現学」は、ただ単に街のブツを観察したり採取したりする営みでありながら、激しく固執し、異常なまでに積み重ねることにより、芸術的活動たり得ることを高らかに示した。

    「物体は、いかにして物件になりしか」という、「路上觀察學」の一方の雄である建築史家藤森照信氏の序文が胸を打つ。

    大まじめに、高い専門性を駆使して、大人が遊んだ足跡だったのである。

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/800711

  • 赤瀬川原平のトマソンをはじめ、
    林丈二のマンホールの蓋のマーク、放し飼いの犬の歩きまわるコース、パリ旅行中に見かけた犬のフン、旅行中の放屁、泊まったホテルの部屋の記録や、
    南伸坊のドブ川に浮いているもの、筆者が住んでいた団地の向かいの住人の行動、同じデザインなのに使われ方が全て違う街中のゴミ箱の記録etc...
    森羅万象を学問にして、真面目に研究発表しているようすがとてもおかしくてハマって読んでしまった。

    本書の中でも色んなところでも「役に立たない」とかいわれているが、そうではないんじゃないかと思う。

    南氏がドブ川に浮いているものの観察をしていなければ、胎児が浮いていることに誰も気づかずそのまま流されていたかもしれないし(学問として役立つかは別として)、林氏のホテルの部屋の記録はホテルの客室をデザインする人の参考になるかもしれないし、どこかで必ず役立つのではと思っている(本人たちは役に立たないことを面白がっているので不本意かもしれないが…)。

  • 「トマソン」の背景にあった数々の営みを知ることができた。考現学なる学問?があったとは。大震災や空襲がトリガーになったという話も興味深い。本書に登場するささやかな研究もひとつひとつ面白い。今やろうとして、もちろんできるだろうが、ここまでユニークなものは果たして街に残っているだろうか?とも思った。個人的にひとつのアイディアとして植木鉢の観察はしてみたいと思った。

  • 路上観察に結論はない。
    路上観察の対象となるのは、人々や時代の歪みのようなものか。営利目的など「意図されたもの」に大量に触れる日常生活の中で、意図も意味も役割もない「無用の長物」は、私に一種の安らぎを与えてくれる存在であるとも思えた。

  • 街中のモノを観察する。不要なモノに意味を見出す、考察する楽しみ。
    現代のテレビ番組で言えば、ナニコレ珍百景かも。

  • 学生時代に手に入れた本を実家の本棚から持ち帰った。

  • うーん…趣味でなかった
    四方田犬彦のページは面白かった

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