日本の村、海をひらいた人々 (ちくま文庫 み 17-1)

著者 :
  • 筑摩書房
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本棚登録 : 153
感想 : 15
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  • Amazon.co.jp ・本 (278ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480030351

作品紹介・あらすじ

日本全国を歩きめぐり、実際に自分の目で見て、そこに暮らす人々に話を聞いて調査した民俗学者、宮本常一。彼が日本の村と海、それぞれに暮らす名もなき人々の、生活の知恵と暮らしの工夫をまとめた、貴重な記録。フィールドワークの原点がここにある。

感想・レビュー・書評

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  • 「はじめに」のみをみて購入を決定してしまった。
    これは完全に自分のミスである。

    自分は筆者のような豊かな感性を持って世界を見ている人の本に弱い。
    自分より詳細で繊細にこの世界を見ている人から学べることは多いからである。
    実際読み進めていくと、筆者も非常に繊細にこの世界を見ていることがわかる。

    しかし致命的な点が一つあった。
    あまりにこの本の内容に興味がなかったことだ。
    「はじめに」ブーストが1章で早々に切れてしまったのだ。
    屋根の話、畳の話…うーん、流石に地味である。
    もちろんその類のものに興味がある人にとっては、考察に富んだ良書なのだろう。

    次回からはもう少し内容についても吟味して本を選ぼうと思った次第である。
    また、文庫というのはどうしても手軽に購入してしまう。
    通常の単行本と比べるとコストが小さいからだ。
    しかしそれが面白い本を選ぶ上では障害になる。
    文庫、新書は特に内容をよく見て買わねばならぬ。

  • 解説:松山巌

  • 2016/1/20購入
    2017/11/9読了

  • 日本古来の村がどのように成り立ったのかや昔の人々の暮らしを垣間見ることのできる名著。小中学生向けの本で、作者の宮本常一先生がまるで授業で語ってくれているような優しい語り口なので、とても読みやすいです。

  • 何とも素晴らしく深く、それでいて読みやすい、味わい深い論考。
    日本各地の家屋や屋根についての緻密な観察と論考はもちろんのこと、例えば田畑についての記述はこちらが知らなかったことで恥ずかしくさえなる。

    傾斜地に畠をだんだんにつくったのは、肥料を逃さないため&山の荒れるのを防ぐためだったという。また糞尿を肥料とできる牛を飼うにも、段々畑は好都合だった。
    一方、田については、田植えという作業や田の大きさ等には、雑草とりの大変さや用いる道具などが関係。
    まさに一次産業が風景を作っているのだ、と実感させられる名著。

  • こういう風にものを見ていくと、ひとつの学問になるということが子どもにもわかってしまう名著。ワクワクする。
    工業製品と化した日本の住宅も、その記号を紐解けばここへたどり着く。もっとも、もはやの感は拭えないが。

  • 古本で購入。

    宮本が戦後日本の担い手である少年少女に語りかける、という形をとった文章を収録した本です。
    収録されているのは、村にあるさまざまなものの成り立ちを解説する「日本の村」と、海で生活してきた人々のことを語る「海をひらいた人々」の2つ。

    この2つに共通するのは、ただ一方的に説明するのではなく「若い人々とともに考えていきたい」という姿勢。
    「どうすれば人々の生活はより良いものになるのか」を考える。
    皆が幸せになるための工夫を模索する。

    この人の学問はやっぱり人ありきの学問なんだな。
    宮本常一の笑顔と眼差しが感じられる1冊です。

  • この2つの文章は、どちらも子ども向けに書かれたもののようだ。小学校低学年の教科書みたいに平仮名ばかりで、とても親切な口調で書かれている。
    特に「日本の村」の方は素晴らしく、子ども向けとはいっても子どもだましではなく、ちゃんと深みのある民俗学入門書になっている。
    宮本常一はひたすら日本中を旅して回ったが、その頃の日本の風景はもうほとんど残っていないだろう。ここに描かれたような「ムラ」の生活にはおおきな郷愁をおぼえるけれども、それはもはやどこにも無いのだ。

  • 筆者は「とうとい」と連呼していた勤勉な日本人たちが作り上げたものが、自分には「いとおしい」と感じた。
    これも20年もしたら完全な過去の歴史になるのだろう。さみしい限りだ。
    中学生の教科書にでものっけてくれないかな。

  • 朝日新聞2011.04.18夕刊。「コトバの記憶」宇佐美貴子氏・文。

    《日本全国を歩き続けた在野の民俗学者が戦後の子どもに向けた。田畑や家、道ばたの小さな石碑など、なんでもないようなものにも大切な意味を読み取ろうとする。》

    取りあげられたコトバは、

    「祖先の手によってつくられたものであり、そこには古い人の心がこもっているのです」

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著者プロフィール

1907年(明治40)~1981年(昭和56)。山口県周防大島に生まれる。柳田國男の「旅と伝説」を手にしたことがきっかけとなり、柳田國男、澁澤敬三という生涯の師に出会い、民俗学者への道を歩み始める。1939年(昭和14)、澁澤の主宰するアチック・ミューゼアムの所員となり、五七歳で武蔵野美術大学に奉職するまで、在野の民俗学者として日本の津々浦々を歩き、離島や地方の農山漁村の生活を記録に残すと共に村々の生活向上に尽力した。1953年(昭和28)、全国離島振興協議会結成とともに無給事務局長に就任して以降、1981年1月に73歳で没するまで、全国の離島振興運動の指導者として運動の先頭に立ちつづけた。また、1966年(昭和41)に日本観光文化研究所を設立、後進の育成にも努めた。「忘れられた日本人」(岩波文庫)、「宮本常一著作集」(未來社)、「宮本常一離島論集」(みずのわ出版)他、多数の著作を遺した。宮本の遺品、著作・蔵書、写真類は遺族から山口県東和町(現周防大島町)に寄贈され、宮本常一記念館(周防大島文化交流センター)が所蔵している。

「2022年 『ふるさとを憶う 宮本常一ふるさと選書』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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