コミュニケーション不全症候群

Kindle版

β運用中です。
もし違うアイテムのリンクの場合はヘルプセンターへお問い合わせください

  • 筑摩書房 (1995年1月1日発売)
3.52
  • (18)
  • (39)
  • (62)
  • (7)
  • (1)
本棚登録 : 602
感想 : 35
サイトに貼り付ける

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

Amazon.co.jp ・本 / ISBN・EAN: 9784480031341

みんなの感想まとめ

現代社会のさまざまな側面を鋭く分析した一冊で、特に「オタク」「ダイエット」「BL」といったテーマを通じて、91年当時の世相を巧みに切り取っています。著者の独自の視点は、時に主観的ながらも、読者に多くの...

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • やや著者の主観とフロイト的解釈のフィルターが入りすぎている気もするが、オタク、ダイエット、BLを切り口に91年当時の世相を鋭い視点で切り取った読み応えのある一冊。
    たしかに一理あるなと納得できる部分も沢山あり、また今なお続く社会問題に感じる部分も多かった。

  • まともって何だ。中学生ぐらいから今まで漠然と考えてきたことだ。まともとは社会に適応できていることだと思う。そう考えるならば、私は社会に適応できていない、まともではない人間だ。

    小説家でもある中島梓さんが書いた評論だ。30年前に刊行されたが、現在の社会や人間のことを思うと作中でまるで予言していたかのような言説も見受けられる。

    ”私たちはみんなひとしなみに、コミュニケーション不全症候群であると思うが、それは必ずしも私たちの個体としての素質からきたものであるのではなく、むしろ、コミュニケーション不全症候群というかたちで私たちは現代という、適応不能が頂点に達した時代に適応しようとしているのではないかという気がする。”
    『コミュニケーション不全症候群』p26

    おタク趣味やダイエット、BL作品を好む少女。これらはいまの社会へ「過剰に適応」した結果だと中島さんは書いている。そして「過剰に適応」することが、なぜおタク趣味、ダイエット、BL作品の愛好につながるかも書いている。ここまで読んでいて不安に思った方へ断っておきたいのが、中島さんはおタク趣味やBL作品を好むことについて「そんなのおかしい」と非難しているわけではない。むしろ今の社会において、そうなってしまうほうが当然なのでは?とすら言っている。一方で「ダイエット」については警鐘を鳴らしている。それは明確に健康を害し、命の危険も迫ることだからだ。なぜ「ダイエット」をこんなにもやらなきゃ、と思う人が多いのか。また刊行当時は女性が「ダイエット」をしている風景が多いときだが中島さんは男性も「ダイエット」をするようになってきた。するようになるとも書いている。「ダイエット」というのは数値的に健康の心配があるからすることではなく、美容目的の「ダイエット」ということだ。少女(女性)を巡る「ダイエット」のあれこれも「過剰な適応」である。

    少年や少女をここまで追い詰めるものの正体は何なのか。そしてその病巣である社会と向き合っていくためには。自分の病をしっかりと知ることと、知らないままでいるとどのようになってしまうのか。目次の最後の章にある『コミュニケーション不全症候群のための処方箋』で、それまで述べたことへの処方箋が出される。この章は中島さんが少年や少女に、そしてかつて少年や少女だったあなたへ向けてのやさしいく厳しく、たしかなメッセージを記してくれている。まともじゃなくたって生きてい期待!そう考えるあなたへの一冊。

  • いま本屋にあふれるハウツー本。「できる人の○○」…
    「できる人」ってつまり「好印象を持たれる人」?
    そんな事を思ったら本書191ページへ。
    書かれてから20年近く経っているが、内容は古いどころか現代をするどく看破している。
    ”この社会、現代という時代は基本的に病気なのだ。”

  • 「BLの教科書」「若者とは誰か アイデンティティの社会学」を読んでからのこちら。

    面白かったです。
    評論とエッセイの間みたいな感じで読みやすい。
    とても30年以上前に書かれた本とは思えない!
    コミュニケーション不全症候群は2025年現在も大変蔓延している病だと思います。

    コミュニケーション不全症候群は社会から疎外されていると感じることで発症する。
    これのわかりやすい例がオタク。

    たとえ疎外されたとしても現代社会では生きていかなければいけない、ということが生態学の話も交えて書かれている。面白い。

    また、自分がとりつく幻想を生み出す力がないものがオタク、というのもなるほどーと思った。
    それが一次創作者と二次創作者の違いですかね。
    二次創作もしない身からすると、それだけでもすごいと思うけど。

    「幻想」と言われる漫画やアニメも、見る内容によってはいいと思うが、たとえば主人公の男の子が多数の女の子にチヤホヤされるハーレム系とか、「スパダリ」ものだと「幻想」度が上がるかも。
    自分に都合のいい世界に逃避していると言われても仕方がない。

    オタクが男性を想定したものとすると、多くの女性はダイエット症候群という名前のコミュニケーション不全症候群に陥っている。
    常に選別される側の女性。
    社会に受け入れられるための過剰適応。

    これまた最近の日本でもよく見られる現象だなぁと。
    しかもダイエットだけでなく、整形する人も増えてるから事態はさらに深刻かと。
    そして最後に待ち構えている「歳月」という選別。
    恐ろしい…!!!

    ただ、自分はこういう女性としての「選別」から逃げている人間だと思うので(どちらかというとオタクタイプ)、逆に耳が痛い話ではある。


    自分が他者に受け入れられ、人気があり、有名であることに価値を見出すこと。
    これもすごく今っぽい!
    SNSで承認欲求を満たすとか、正にそれですよねぇ。


    JUNEものの話。
    腐女子の生態について知りたいという思いから「BLの教科書」も読んだので、楽しみにしていたところ。

    BLの〜では、女性性から逃れるため、というようなことまでは書かれていたけど、こちらではもう少し踏み込んで、フロイトの精神分析など引用して説明されていて、大変興味深かった。

    ただ、JUNE少女は長女が多いというのは、データが少なすぎるかな?と思った。
    それこそJUNE誌上でアンケートをとったとかならわかるけど。


    最後には処方箋もある。

    コミュニケーション不全症候群に罹る人がこのまま増え続けたら、社会を運営する、いわゆる「大人」がいなくなり、「子供」ばかりになってしまうという話。

    たとえば自分に子供ができたら、社会から受け入れてもらうことを諦めてコミュニケーション不全症候群に陥っている暇はなく、子供を愛し、子供の居場所を作るために奮闘しなければならない、とかそういうことだと思う。

    最近ドラマの「御上先生」を見ていて、本当のエリートとは弱者に寄り添うこと、というような言葉があったけど、そういうことかなぁ。
    成熟して社会をデザインする側につかなければならない。
    それは必ずしも大きな何かを成し遂げればいけないわけではなく、小さな抵抗をし続けることはきっとできるだろう。

    コミュニケーション不全症候群を一つの通過儀礼として受け入れれば、自分がどんな人間であるか、社会はどんなところか、理解することができる。

    救いがあってよかったです。

    フロイトの精神分析読みます。
    手塚治虫作品も読みたい。
    あとデビルマンと風と木の詩と…。
    忙しい!

  • 栗本薫の別名だとは知らなかった。著者が今の「オタク」「ダイエット」「やおい(今のBLとはまたちょっと違うと思う)」を言語化し、社会を掴み、彼ら(でもあり向かい合ってもいる私たち)はどのように生きていくべきか。
    JUNE系やダイエット症候群の生き方精神の置き場や理論が断定と普遍化されすぎてどこまで正しいかはともかく、納得できるところもある。また、彼らは現代社会の負け組なのではなく、現代の暮らし考え方に適合した結果であり、それも一つの形なのだと思えた。語句の選び方、伝え方がドンピシャで流れるようで、文章が上手い人だった。
    現代の若者像(オタク層)を考える上で、一度は読んでおきたい。何回も読み返したい。

  • オタク、拒食症・過食症、ボーイズラブ...。これらが引き起こす凄惨な事件や悲劇。社会全体の歪みの原因であるコミュニケーション不全症候群と、その立ち向かい方、心構えについて書かれた評論。もう24年前の作品です。
    著者の中島梓は、SFやミステリー等を中心に書く作家の栗本薫氏が、評論を書くときのペンネーム。要は同一人物ですね。

    愛されたい、という現代の病。嫌われたくない、とも言い換えられそうですが、昨年の大ベストセラー『嫌われる勇気』を想像しました。
    やはり20年以上前も今も、自分を周りを比較して、ダメな自分を勝手に膨らまして病的に陥ってしまう、と。これが現代病なのだと思います。
    決して他人事ではなく、自分にも思い当たる節がありますし(だから『嫌われる勇気』を読んだわけですし)、それを「自覚」して行動するのが大事なんですね。

    中島氏もいうように、自分を直視する勇気、自分を認識する勇気、これを忘れずにしたいと思います。
    いつか自分の子供がこういうことに悩むときが来たら、是非伝えていきたい。 社会全体の問題も、こういうことの啓蒙が少しずつ世の中を変えていくのだと思います。

  • 「コミュニケーション不全症候群」とは、「(1) 他人のことが考えられない、つまり想像力の欠如。(2) 知合いになるとそれがまったく変わってしまう。つまり自分の視野に入ってくる人間しか「人間」と認められない。(3) さまざまな不適応の形があるが、基本的にそれはすべて人間関係に対する適応過剰ないし適応不能、と特徴づけられる、現代にきわめて特徴的な精神状況」のことを意味します。ただし本書は、こうした精神状況からの「治癒」をめざすのではなく、むしろこうした精神状況の中で人びとが生きなければならない現状をはっきりと認識し、その問題の射程を冷静に見積もることがめざされています。

    まずはこうした精神状況の中で、限られた趣味の世界に閉じこもるオタクや、世間から値踏みされる視線によって摂食障害に陥っている少女たちの生態が論じられます。さらに、そうした少女たちが世間のまなざしにさらされることから逃れるために構築した、同性愛的な耽美の世界に触れられています。

    BLの元祖ともいうべき中島梓(栗本薫)らしく、その世界に耽溺する少女たちへの共感を表明しているのが目を引きます。本書を読んでいると、男のオタクも、現代になって女性たちから値踏みされる状況が生まれたために、あたかも恋愛市場から「降りた」ように振舞っているのではないか、という連想に誘われます。

  • かなり昔に書かれた本ではありますが…そして、著者はもう亡くなっているのではありますが…非常に説得力のある本だと思いました!

    ヽ(・ω・)/ズコー

    まさか91年の段階でこんなことが言われていようとは…この本に書かれているような人間は今、さらに増えているんじゃないかと思いますねぇ…もちろん僕も含めてですけれども…

    ヽ(・ω・)/ズコー

    スマホやらパソコンやらが普及してさらに僕らは赤の他人を、それこそ障害物か何かと勘違いして道とかを歩くのでしょう…そして、ぶつかったりしても謝らない…障害物は人間ではないのだから謝らなくてもOK、みたいなノリで…ああ、嫌だ…

    ヽ(・ω・)/ズコー

    今後の日本はどのような事態になるのか、本書が予言しているようで何だか読後、暗澹たる気分になりました…おしまい。

    ヽ(・ω・)/ズコー

  • すごく濃い感じがします。
    人の狂気が生々しく伝わってくるようで、なんか怖い。

  • 過密状態で、居場所がどんどんなくなっている現代で、それでも生きる場所を捜し求めて、おかしくなっていく私達の社会を、あざとく、つきはなして、オーバー気味に書いていた。

    と思ったけど、今ではオーバーでもなんでもないかもしれない。
    作者の決めつけ気味が気にかかっていたけどそれもあまり気にかからない。
    残念だけど、この本に書かれている説明を受け入れた方が理解し難い事件の数々が全てではないけど、説明がつく事のほうが多くなってきたかも
    というかあまりにも不可解だから、そして誰ももっともらしいいい訳を出せないからなんだけど。

  • 本当のことしか書いてない
    就職できるだろうか

  • ポゼッション

  • 1995年発行、筑摩書房のちくま文庫。現象はするどく看破している、しかし原因になると「選別される」側の適応というが、現在のネットの発達による「選別される」側にも「選別する」側にもなり、また選別圧力も一部では弱まった現在でも現象は変わっていないのはどう評価するのか。どうも原因の解説する時に自分の経験などに寄せて考えすぎているのではないのか。結局この人は全てを自分に寄せていたのではないか。活動の後半で一部のシリーズものを覗いて、根強いファイン入るが一般受けしない作者になってしまったのは、それが原因ではないか。

    あとがき:「あとがき‐遠くにいる友へ」(1991年7月17日)中島梓、解説:『解説「母の崩壊」の後で』犬塚英志、備考:1991年8月、筑摩書房より刊行、

  • 素晴らしい

  • 積読にしようか迷ったんだけど、自分の中で、最初と最後の章、加えて一つの例として最初のオタクの章、それだけ読んだら、結構内容は網羅出来てるんじゃないか、と思えた次第。オタクのところで、繰り返し感が垣間見えてしまい、読み続けるのが辛くなった。本作での不全感は、『ケーキの切れない~』を合わせ読むと、少し見え方が違ってくるのかも、と思ってみたり。 

  • 社会
    思索

  • なるほどなるほどと何回も思った。警鐘を鳴らされた。

  • キーワードは《時間》を受け入れること。

  • 懐かしくて読み返してみましたが、時代は超えられないなぁ。

  • メディア書庫

全30件中 1 - 20件を表示

この本が好きな人におすすめの本

中島梓の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×