大菩薩峠 1 (ちくま文庫 な 21-1)

著者 :
  • 筑摩書房
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本棚登録 : 128
感想 : 17
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  • Amazon.co.jp ・本 (458ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480032218

作品紹介・あらすじ

原稿枚数1万5000枚に及ぶ世界最大の大河小説。魔剣「音無しの構え」に翻弄され無明の闇を遍歴する机竜之助を核に、多彩な人物が入り組み展開される時代小説の最高峰。大菩薩峠の頂上で老巡礼を一刀のもとに斬り棄てた机竜之助の無双の剣は、魔剣と化した…一大巨篇の発端から、江戸、京都、大和へと流転果てない運命をさすらう「甲源一刀流の巻」「鈴鹿山の巻」「壬生と島原の巻」「三輪の神杉の巻」を収める。

感想・レビュー・書評

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  • 畏れおおくも、卒論のテーマでした。
    筑摩文庫で全20巻。未完。無謀だ。
    大学時代「自主ゼミ」で2年かけてじっくり読んだ。
    卒業してからも2年ほど勉強会などしていたり。

    「果たしてそこに救いはあったのか」
    愛すべきたくさんの登場人物たちすべてに対し、
    その問いを投げかけずにはいられない。

  • 居酒屋でおすすめされた本。タイトルが気に入ったので、購入しました。罪もない人を無情にも切り捨てたり、妻を切り捨てたりする机竜之介の冷酷さに驚きます。ただ、その唐突な行動が面白くもあります。また、物語が進むにつれて、単に冷酷ではない一面も出てくる。置き忘れた財布を盗んでおいて、気が咎めるというような心理描写もあり、滑稽に感じるが、それが何とも言えぬ魅力になっている。

  • 「音無しの構え」を有する机竜之助と、仇討ちを狙う宇津木兵馬の話を大筋とした群像劇。
    文章は時に厳しく、時に優しく。小説というよりは弁士の語り口調に近い。

    P246
    世は混乱の時といえ、さすが千有余年の王城の地には佳気があって、町の中には険呑な空気が立て込めて、ややもすれば嫉刃が走るのに、こうして、朧月夜に、鴨川の水の音を聞いて、勾配の緩やかな三条の大橋を前に、花に匂う華頂山、霧に迷う如意ケ岳、祇園から八坂の塔の眠れるように、清水より大谷へ、煙とも霧ともつかぬ柔らかな夜の水蒸気が、ふうわりと棚引いて、天上の美人が甘い眠りに落ちていくような気持に、ひたひたと浸けられてゆく時は、骨もおのずから溶ける心地がする。

  •  
    ── 中里 介山《大菩薩峠 19760620 筑摩書房 199512‥ ちくま文庫》
    http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/4480032215
    https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%9D%92%E7%A9%BA%E6%96%87%E5%BA%AB
     
    …… 警察と裁判の権威者に向ってさえこれである。国々の脱藩浮浪の
    徒の如きは、もとより眼中にない。池田屋騒動に於て、諸国浪士の精鋭
    を一網……。
    …… フリーランサーは英語であって、当時日本の流行語で言えば、
    脱走者とも、脱藩人ともいう。つまり、諸藩を脱走して、おのおのその
    懐抱するイデオロギーによ……。
     
    ── 中里 介山《大菩薩峠 19130912 都新聞 19350616 読売新聞》未完 19‥0505
    http://d.hatena.ne.jp/adlib/19741210
     板坂文庫(上) ~ 日本文学三六五日 ~
     
    (20170603)
     

  • 無常観。
    人の命を何とも思わないような辻斬り・机龍之介の痛快チャンバラ劇かと思えば、妙に物寂しい感じもある。
    今の漫画ってすぐ人が死んじゃったりして、でも読者のほうでも意外とすんなり腑に落ちちゃったりして、あんまり死について想うことはないけれど。

  • 大学の講義で紹介されて手に取って以来の再読、あまりに長い(読み終えられないかも?)ので1巻ごとに★評価を。
    ほんとにただ「読んだことあります」の事実しか覚えておらん、、、新撰組のくだりなんて全く記憶にない、まぁその当時あまり新撰組とかに興味がなかったということもあるだろうけれど。
    まぁそれはさておき、主人公のあまりのいい加減さが逆に新鮮と言うか、この時代でも(あるいはこの時代だからこそ)こういう無頼的な感じに一定の支持は集まるということかも。しかし大学の講義で論じられた日本の精神性についてはまだ何とも言えんかな(というか何か指摘できるほどの能力は当方にはないと言った方が正確かな)。

  • ついに読みだした、世界最長の大河小説。もともとはジブリの鈴木プロデューサーの本に、彼のおもしろかった作品として紹介されていて興味を持ったんですが、最近よく行く青梅近辺が舞台になっていることもあって楽しく読めました。なんか主人公が主人公らしくないというか、変わってますね。これからどんな風に物語が進んでいくのか、楽しみです。そして僕に読み切れるかどうかも。

  • 延々30年にわたり連載を続けた挙げ句未完に終わった大長編小説。進むにつれ、登場人物はどんどん増え、舞台はあちらこちらに飛び、誰が主人公なのかもわからなくなる。その破天荒さを楽しめるかどうかで、評価が分かれるのではないか。
    おもしろいことはまぎれもなくおもしろい。なにしろ長いから退屈な部分もあるが、これだけのページ数常にワクワクドキドキしていたら心臓がもたないだろう。

  • 文庫にして全20巻、そして未完の傑作。

  • 切捨て御免の武士社会の歪んだ精神構造を、長々と描写しているようにも読める。
    NHK TV J ブンガクで取り上げられなければ、二度と見ることがなかったと思う。
    全巻読んでいないだけでなく、最初の10ページも理解できなかった。

    放浪という視点では、放浪記、奥の細道、海の声などとの共通点があるかもしれない。
    放浪記はテレビドラマで見てしまったので、荒筋はわかっている。
    大菩薩峠も、映画になったとのことなので、映画を見てからなら、読もうという気になるかもしれない。

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著者プロフィール

明治18(1885)年‐昭和19(1944)年。神奈川県西多摩郡羽村(現、東京都羽村市)生まれ。12歳で上京、電話交換手・小学校教員を経て社会主義運動に加わる。明治39(1906)年、都新聞社に入社。大正2(1913)年、28歳で『大菩薩峠』連載を開始。都新聞連載終了後は、毎日新聞・国民新聞・読売新聞などに昭和16 (1941) 年まで書き継がれた。

「2016年 『日本武術神妙記』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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