生きることの意味 青春篇 1 (ちくま文庫 こ 1-4)

著者 :
  • 筑摩書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (231ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480032515

作品紹介・あらすじ

『生きることの意味』で多くの読者の心をとらえた著者が、自らの歩みを根源から問い直し、書き下ろした長篇三部作。第一部は、下関での誕生から、東京へ出奔する18歳までを描く。日本人として生まれた朝鮮人という歴史の闇を背負い、貧困と差別のなかで歪んでいく主人公。彼を受け入れてくれるのは不良仲間だけだった。そして、暴力事件を繰り返し、少年刑務所に送られる。出所した彼は太腿に彫った入れ墨を自らの手で焼き消し、新しい出発を決意する。

感想・レビュー・書評

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  • 3部作の第1巻である本書では、著者が18歳になるまでの少年期について語られています。

    在日コリアンとして終戦を迎え、混乱のなかで心のうちにひそむ暗い混沌にそそのかされて暴力へと走ってしまった、著者の若い頃を振り返っています。さらに、朝鮮学校に入学するも、そこでもみずからの居場所を見いだすことができず、うちに抱えた闇に苛まれつづける著者の苦悩が、後年の著者の眼を通して、また親鸞への信仰や石川啄木のことばにかさねられることで、静かに凝視されています。

    むろん著者は在日コリアンという立場にあったことで、その振幅が多くの日本人よりも大きかったということはできるかもしれませんが、ここに描かれている著者自身の心の闇は、社会のなかに居場所をもつことのできない人びとにひとしくいえるような普遍性をもっているのではないかという気がします。

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著者プロフィール

社会心理学者。主たる研究テーマは偏見・ステレオタイプ・差別。特に在日韓国・朝鮮人に対するもの。東京大学大学院人文社会系研究科単位取得退学。博士(心理学)。現在、神奈川大学非常勤講師。著書に『レイシズムを解剖する』(勁草書房)、共著に『偏見や差別はなぜ起こる?』(ちとせプレス)など。

「2020年 『無意識のバイアス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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