シェイクスピア全集 (11) ペリクリーズ (ちくま文庫)

  • 筑摩書房
4.06
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  • Amazon.co.jp ・本 (207ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480033116

作品紹介・あらすじ

求婚しようとした王女とその父の近親相姦を見抜いてしまった時から、ペリクリーズの波瀾万丈の旅が始まった-。詩人ガワーの語りという仕掛けのなかで、次々と起こる不思議な出来事。苛酷な運命を乗りこえ、長い歳月をへて喜びに包まれる、ペリクリーズと家族の物語。イギリスで人気の高い、シェイクスピア最初のロマンス劇を新訳で。

感想・レビュー・書評

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  • シェイクスピア晩年のファンタスティックな要素に富むロマンス劇。地中海沿岸を舞台にした波瀾万丈な冒険譚。

    冒頭から「近親相姦」というワードが出て面食らい、ドロドロな恩讐劇のようなものを想像したが、そこはきっかけにすぎず、話の本筋にはそこまでからまない。実質は「タイアの領主ペリクリーズの冒険譚」である。逃亡劇に始まるスピーディな展開と主人公が直面するあまりに数奇な運命に引き込まれる。

    古い話だからなのか、全体的に善良な人物が多く登場し、その心根に触れて悪人があっさり改心するなど、今のエンタメでは考えられないような展開がある。まだ人の心に素朴さが残っていた古き良き時代のおとぎ話、という感じがして心が洗われる。

    終盤はよくある○○○○譚というやつで、予定調和的でありオチが完全に見えてしまうのだが、それでもいざそのシーンになると泣けてしかたない。素直に感動できるよく出来た話だと思う。
    勧善懲悪的に悪いやつはちゃんと帳尻が合うようになっているのも清々しい読後感だ。ただ、○○ー○○はそこまで悪くなかったと思うのだが……。悪妻恐るべし。

    シェイクスピア=教養、みたいに勝手に思っていたが、教養以前に極上のエンタメなのだと考えを改める。昔の自分に言い聞かせたい。「シェイクスピアくっそ面白くてワロタwww」

  • まさに大冒険といったところ。
    童心にかえって素直に楽しむ。

    色々な物語の詰め合わせという印象。
    特にダイオナイザが召使いを使って
    マリーナを始末しようとする場面は白雪姫を思い出す。

    地図や登場人物を見た時はややこしいお話なのかなと思っていたが、
    場所ごとの登場人物の個性が強く、
    スイスイ読み進めることができた。
    各地の話が集結していくのが気持ちいい。

    「勧善懲悪の素朴なストーリー」とはいうものの、
    妻の企みの巻き添いをくったクリーオンと、
    その娘は可哀想…。
    そこらへん現代の演劇だとどうなるのかしらん。

  • 家族が再会するロマンス劇というと『冬物語』とかぶるが、『冬物語』ではレオンティーズが邪念を抱きサスペンスが訪れるが、『ペリクリーズ』では中心となる家族全員がいわゆる善人で、おとぎ話として安心して読める/見られる。こんな善人も、こんなにうまくいく話も現実には無いのだろうし、女神が登場するくだりはデウス・エクス・マキナ的であるが、それでもフィクション中ぐらいはこんな話が合っても許されると思う。

  • シェイクスピア全集 (11) ペリクリーズ
    (和書)2009年09月10日 15:25
    2003 筑摩書房 William Shakespeare, ウィリアム シェイクスピア, 松岡 和子


    ペリクリーズを初めて読みました。ロマンスものと言うことでしたがなかなか冒険活劇の要素満載でシーンの展開も速かった。

    マリーナが処女を護るところがなかなかどうなるのかハラハラしました。売春宿へ売られて説教して帰らせるというところが面白かった。

    松岡和子翻訳で後何冊か出ているので取り敢えず全部読んでみようと思います。

  • 訳:松岡和子、解説:河合祥一郎、原書名:Pericles(Shakespeare,William)

  • 読書日:2017年6月10日-6月11日.
    Original title:Pericles, Prince of Tyre.
    Author:William Shakespeare.

    Periclesの波乱万丈な人生を描いています。
    Antioch王国の姫を王妃にと彼は試練に挑みます。
    その過程で彼女が父王と近親相姦の関係である事に気付き、
    Antioch王から命を狙われ、逃亡生活が始まります。

    逃亡先のTarsusの太守に匿われている間に、
    Antioch王と姫君は天の怒りに触れ落命します。
    それにしても一番非があるのは王なのだから、姫にまで累が及んだのは哀れです…。

    そしてLibya王女Taisaと巡り合い結婚をするのですが
    娘Marinaの出産後に心肺停止状態になります。
    これ等の出来事が起きPericlesは何て不幸なんだと思いました。
    しかしTaisaは放流先で息を吹き返し、神殿で巫女として生き始めます。
    彼女が息を吹き返した事が嬉しく、いつかはPericlesと再会出来る事を願いながら読み進めました。

    それからMarinaはTarsus太守に育てられる中で養母から疎まれ一命を取り留め売春宿で命を長らえ、
    最後の最後はPericlesもTaisaもMarinaも無事に再会を果たす事が出来、大団円を迎えます。

    最後に大団円を迎える様子は、前巻の『The Merchant of Venice』を思い出しました。

  • まあ、シェイクスピアいつものパターンといえばいつものパターン。現在のイスラエル、トルコ、リビアの各地を巡る。エフェソスなど以前訪れたことのある土地が登場するので、その点は面白いが、4大悲劇ほどの深さはない印象。

  • 上演当時人気だったというシェイクスピアの作品ですが・・波乱万丈の王様の一生なんですが、このころの女性の扱いって軽いなぁ・・ ステレオタイプで面白くないなぁ 仕方ないなぁ と思いつつ読んでいました。
    実際に舞台になると違うとは思うのですが・・
    蜷川さん演出の舞台 見ておきたかったなぁ。

  • ガワーの口上のお陰で分かりやすい劇になっている。シェイクスピアのロマンス劇は総じて読みやすく好きだ。wikiには昔は人気がなかったと書いてあるが。

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著者プロフィール

イングランドの劇作家、詩人であり、イギリス・ルネサンス演劇を代表する人物。卓越した人間観察眼からなる内面の心理描写により、最も優れた英文学の作家とも言われている。また彼ののこした膨大な著作は、初期近代英語の実態を知る上での貴重な言語学的資料ともなっている。
出生地はストラトフォード・アポン・エイヴォンで、1585年前後にロンドンに進出し、1592年には新進の劇作家として活躍した。1612年ごろに引退するまでの約20年間に、四大悲劇「ハムレット」、「マクベス」、「オセロ」、「リア王」をはじめ、「ロミオとジュリエット」、「ヴェニスの商人」、「夏の夜の夢」、「ジュリアス・シーザー」など多くの傑作を残した。「ヴィーナスとアドーニス」のような物語詩もあり、特に「ソネット集」は今日でも最高の詩編の一つと見なされている。

「2016年 『マクベス MACBETH』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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