優しい去勢のために

  • 筑摩書房 (1997年1月1日発売)
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Amazon.co.jp ・本 / ISBN・EAN: 9784480033352

みんなの感想まとめ

テーマは「非=性器的なエロスの称揚」であり、著者の独自の視点が光るエッセイ集です。表題作「優しい去勢のために」は、散文詩のようなスタイルで、粘着的な文体が印象的に展開され、現代社会が抱える性愛の規範に...

感想・レビュー・書評

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  • 『親指Pの修業時代』上下巻(河出文庫)で「非=性器的なエロスの称揚」というテーマを鮮烈なしかたで読者に示した著者のエッセイをまとめた本です。

    文学や音楽をテーマにしたエッセイや、あるいは著者の身辺雑記のような内容のものも含んでいますが、表題作となっている「優しい去勢のために」という、散文詩のようなスタイルで書かれた文章では、「非=性器的なエロスの称揚」というテーマに通じる内容が、やや粘着的な文体でつづられています。

    著者の小説にも感じられることなのですが、富岡多恵子以来の「ラディカリズム」が前面に打ち出されているところに、現代のわれわれが抱え込んでいる問題とのズレを感じます。打ち倒されるべき性愛の規範は「外部」に求められるものではなく、むしろわれわれ自身の「内部」に向けて問われるべきであり、個人的に好きな作品でいえば、たとえばD[di:]の『キぐるみ―(で、醜さを隠そうとした少年のはなし)』(文春文庫)がそうしたテーマを追求していると考えていますが、本書にはそのような屈折したまなざしはあまり見られないように思えます。

  • 三宅香帆つながりで読もうと思った、松浦理英子の80年代に主に書かれたエッセイ群。この頃からセクハラや草食系男子の議論というのはあったんだなあと思いはするものの、大半の時評的なものは、時代的へだたりもあってすっと入ってはいけず。"ヘリオガバルスからジャン・ジュネ、プリンスに至るセックス・ギャング・チルドレンの系譜にブル中野もまた名を連ねる"あたりや、"マルキド・サドの選ぶデートの場所は、硫黄島でありベルゼン強制収容所であり中国人通りである、時には自らの癌細胞の疼きまでダンスのリズムに利用してしまう。"あたりには心ひかれた。デュラス原作脚本演出、ジャンヌ・モロオ主演の映画「インディア・ソング」のサウンドトラックにはふれてみたいと思った。表題作からは、「あなたはわらって肛門をひらく」の一節を引いておく。

  • エッセイが非常にとんがっているのがおどろき。小説と読み合わせるとこの作家の非凡さがわかる。

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著者プロフィール

1958年生まれ。78年「葬儀の日」で文學界新人賞を受賞しデビュー。著書に『親指Pの修業時代』(女流文学賞)、『犬身』(読売文学賞)、『奇貨』『最愛の子ども』(泉鏡花文学賞)など。

「2022年 『たけくらべ 現代語訳・樋口一葉』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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