山田風太郎明治小説全集 (2) (ちくま文庫 や 22-2)

著者 :
  • 筑摩書房
4.06
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感想 : 18
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  • Amazon.co.jp ・本 (474ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480033420

感想・レビュー・書評

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  • ずっと読みたかった作品。
    最初は久々の明治もので読みにくかったけど、展開の巧みさにどんどん引き込まれてあっという間に読んでしまった。いや、むしろ読み終わるのが惜しくて最後の方はわざと読むペースを落としたほどである。

    山田風太郎作品の好きなところは、話のおもしろさ、飛び抜けた発想、読者を飽きさせない巧みな展開などはもちろんだが、何より風太郎独特の清々しくて切ない物語の閉じ方である。読後感をあえて言語化するなら、「卒業式の朝」だろうか。新しいスタートを感じさせる清々しさの中に、二度と手に入らない大切なものを失ってしまったような切なさがある。

    本作もやはり、そのような終わり方で、心に残るものがある。そして、明治という、混乱した世の中で必死に生きていく人々の姿が鮮やかに描かれている。
    心に残る一冊だった。

  • 偶然に頼りすぎる展開が玉に瑕だが、これも娯楽小説ならでは。
    ラスト近くでは太平洋戦争を予言するような少しシリアスな会話部分もあるのがちょっとしたスパイス。
    実在の人物と架空の人物が絡んで物語が展開してゆく面白さは格別で、娯楽小説として満点の星五つ。

  • ネタバレ/下有劇情
    【9.5/10】

    下卷雙方的鬥法依然有趣,在川路的手腕下,江藤新平、神風連、前原一誠的叛亂一一被警視廳密探挑起,目的就是要讓西郷起兵的時候無法一呼百應。這裡陸續出現荒唐卻真實的故事例如高橋お伝,御庭番的故事很哀戚也令人印象深刻。尤其值得一提的是贋札事件,兵四郎跟熊谷長庵把德國印刷機(之前失火後就閒置在藤田的倉庫裡沒用)混在靜寬院宮指定的十四代將軍木像的馬車隊裡,荒唐的現實與架空的巧妙結合實在太有趣。作者也提到贋札事件甚至有一說是井上渡歐之後在國外作假鈔,藤田傳三郎運回來寫是井上卿御用所以都沒人趕動(裡面就是假鈔)。這個被說是陰謀論,但如作者所說井上本人的人德也有問題,無怪他人會信以為真。藤田美術館是我一直很喜歡的美術館,其挑選美術品的sense實在太驚人,三隻國寶天目也是這個最棒,此外還有快慶的地藏菩薩等等,都一一令人心醉。所以出現這則藤田傳三郎的故事,以後大概走進去又會想起來警視廳草紙這則荒唐無稽卻痛快的小故事。

    卷末,出現熱氣球實驗,荒唐無稽地拯救阿蝶與兵四郎,很超現實但是很浪漫。兵四郎決定投入討薩的官軍,這個官軍不只是薩人同士討的悲哀,看來被很多幕臣或奧羽諸藩的人當作終於有復仇的機會。我不覺得結尾突兀,至少,兵四郎已經振作起來了,從所謂「瓦解」之後(書中的人都是這樣形容那件事情)他就一直沒有正職過著讓阿蝶養的遊手好閒的生活,確實嘲弄警視廳也已經到了一個臨界點,能夠讓他站起來的是這場戰爭。暗自希望之後他能和阿蝶過著幸福的日子...御隱居也能繼續睿智地幫助大家...這些角色實在讓人置入性太強,釋卷後還是不願意相信他們不是真人,闔上書之後那個不斷擴散的寂寥又是什麼,兵四郎所思所想也不斷盤旋在心中。這種作品中毒性實在太深了。一般推理小說大概知道手法跟兇手就不太會想看第二次,但這種急切地想回到書中世界的禁斷症狀,足以證明這部作品有多麼地出色。

    作者說,再怎麼曾經站在時代的潮流風口鎂光燈的人,退潮後的寂寞,他們還是得繼續討生活。作者對這些敗者的愛與溫柔的守望,正是讓他的作品被大家所愛的原因。

  • 初代警視総監である川路大警視と、最後の町奉行 駒井相模守という対照的な二人を中心に綴られる明治初期の物語。
    川路大警視については、警視庁のポリスミュージアムで警察サイドから見た功績を学んだことがありますが、味方を変えれば目的のためなら手段を選ばない意思と強さと謀略の凄まじさは、ある意味ではこの時代だからこそ必要だった人だと改めて思い知りました。
    明治が舞台だけあって少し読むのに集中力が必要かなところがありますが、とても中身の濃い作品でした。

  • これを読むとやはり西南の役は起こるべくして起きたし、以降の日本の運命を決したのもまたこの役だったんだなぁ、てなことをしみじみ思う。
    で、幕末の官軍賊軍のいがみ合いも西南の役で混ぜご飯のごとくごたまぜに均された感があるなぁ、てなことをつくづく思う。
    歴史物語の主役にもならず、幕府や政府の役人や政治家のすったもんだとは関係なく日々の暮らしを営んでいた庶民もいたんだよなぁ、てなこともひしひし感じる。
    兵四郎たちが徒歩で向かっていったのは薩摩ではなく、決して明るいとはいえない日本の未来であったのだよなぁ、と寒々しい読後感(だとはいえ暗い感じはない)。

  • 川路大警視とご隠居様の長い闘いがここで終結。
    気球に乗ってしまうのはビックリだが、明治の文物、風土、思想まで全てが登場人物の動きにあわせて動いていく筆致が素晴らしい。

  • 所々出て来る有名人が、ホントにそんなことを
    したような錯覚をしてしまう。

    でもやっぱり彼は、変態(?)忍者モノが真骨頂だと思う。

  • 連作短編集を飾るラストは山田風太郎にしては割と明るい。吉五郎の笑絵の話が面白おかしく楽しめた。

  • 登場人物が魅力的で面白い。山田風太郎の明治ものの中では一番か。

  • 警視庁VS江戸町奉行の対決という構図が素晴らしい。開化の時代の人々の心情などがよく描けていて、この時代でしか成立しえないミステリーになっている。

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著者プロフィール

1922年兵庫県生まれ。47年「達磨峠の事件」で作家デビュー。49年「眼中の悪魔」「虚像淫楽」で探偵作家クラブ賞、97年に第45回菊池寛賞、2001年に第四回日本ミステリー文学大賞を受賞。2001年没。

「2011年 『誰にも出来る殺人/棺の中の悦楽 山田風太郎ベストコレクション』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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