山田風太郎明治小説全集 5 地の果ての獄(上)

  • 筑摩書房 (1997年7月1日発売)
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Amazon.co.jp ・本 / ISBN・EAN: 9784480033451

みんなの感想まとめ

物語は、明治初期の苛烈な樺戸監獄を舞台に、若き有馬四郎助が看守として赴任し、囚人たちや看守との関わりを通じて成長していく姿を描いています。彼は囚人たちの人生や事件を聞きながら、時には人情や男女のドラマ...

感想・レビュー・書評

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  • 後に監獄の改良に努めた薩摩出身の若き有馬四郎助の物語。北海道月形の樺戸集治監の看守に着任した四郎助と、虐待異常者たちともいえる看守長たち、そして1000人を超える囚人たち。耶蘇教教誨師の原胤昭や医師の休庵先生。そして売られてきた酒場の女たちが時に絡む。

    囚人たちの話を聞く四郎助は、監獄で起こる様々な事件をきっかけに囚人や看守たちの人生を誰かれの口から聞いていく。その人生や事件がそれぞれ強烈で破格なのだ。

    しかし犯罪者たちの人生だ。殺人や強姦、裏切りが酷い。更に血飛沫が飛ぶ。それでも人情噺や男女の話を交えて、時にほろりとさせる。

    のちに愛の典獄と呼ばれ、キリスト教徒となつた有馬四郎助は、上巻は聞き手に甘んじているが、下巻での活躍が期待される。これは怒涛の前フリだと思わ
    れる。下巻では耶蘇教の神の奇跡 が起きるのか!

  • 再読なれど、最初にいつ読んだのか記憶にないし物語もまるで覚えていないので初見のように新鮮である。ビバ物忘れ。
    1997年発行なので、おそらくその頃に読んだのであろう。この明治小説全集全6冊はすべて読んだ気がするが、いずれも記憶にない。また楽しめる。いいぞ物忘れ。

    ヤマフーの忍術ものは苦手だけれど、明治が舞台のこの小説は戊辰、西南といった戦&事件に触れられており、興味深い。
    そうした戦争&事件関係者が、自分の好きな「刑務所もの」の人間群像として描かれており楽しめる。面白く読んだのにおそらく10年後くらいには内容を忘れ、また面白く読めるのだろう。物忘れバンザイ。

    しかし……強姦犯が多すぎないか、この小説。幕末~明治ってそんな時代なのか?

  • 山田風太郎明治小説全集の第五弾。明治初期、苛烈な樺戸監獄に赴任した若き有馬四郎助が監獄の中で起こる事件に巻き込まれながらも、懸命に職務を果たしてゆく姿を描く。
    山風らしいハチャメチャさは相変わらずだが、この上巻を読む限り明治物の中では評価は低い。なにせ女を見れば犯すという筋立てが多すぎて少し辟易するのだ。

  • 10年ぶりくらいに再読。北海道の樺戸監獄の初代典獄で月形潔の話を聞く機会があり、なんかひっかかるなあと思ったら、樺戸監獄がこの作品の「地の果ての獄」の舞台だった。ちょうど月形潔が辞めた翌年から話が始まるんだな。山田風太郎の明治物には珍しく、救いがあるラスト。「大奇跡」って、章のタイトルがすばらしいよね。そもそも、明治時代の北海道の監獄という舞台が救いがないからかもしれない。収監者への苛烈な扱いの描写は、暗澹たる気持ちになる。しかし、「愛の典獄」と呼ばれた有馬四郎助が実在の人物なのはおどろいたな。この人物のことを知って欲しくて、山田風太郎はこの作品を書いたんだろうね。
    あと、ストーリーの鍵のひとつである秩父事件には、興味が湧いたな。

  • 山田風太郎といえば娯楽時代小説の大家。
    近年は「甲賀忍法帖」が「バジリスク」のタイトルで漫画化・アニメ化したことでも記憶に新しい。
    四郎助の赴任直後から監獄では度々不審な事件がおきる。
    囚人が有り得ない不可能状況から脱走を図る。横暴な看守が変死を遂げる。
    呑んだくれのアイヌ医者、人間の良心を信じ続ける神父。
    それら多彩な人物に囲まれ囚人と触れ合ううちに、四郎助の心境にも徐徐に変化が芽生えていく。
    なんといっても牢屋小僧がめちゃくちゃかっこいい。ほれます。野卑で狡猾、過酷な苦役と折檻にもめげず不敵な笑みを浮かべ続ける男。
    そこはかとなく不気味な存在感で他を圧倒し、極悪人ぞろいの獄でも一目置かれる隻眼の囚人。
    個性的な登場人物たちの中でも彼のキャラは異彩を放ってます。
    収録作の中でいちばん好きなのは「邏卒報告書」。
    元巡査の囚人・畑寺。根っから善良で真面目な畑寺が地の果ての獄で再会したのは、自分を騙し裏切り続けた親友・高戸。
    同じ枷に繋がれた二人は元親友同士でありながら姑息な高戸は何度も畑寺をそそのかし、その友情に付け込んで美味い汁を啜っていた。
    高戸の裏切りがもとで巡査の職と最愛の妻子までも失い、地の果ての獄に送られた畑寺を待っていたのは元部下で現看守の堂目の凄まじい虐待。
    しかし根っからお人よしな畑寺はそこでも元親友を庇い続け……

    全部説明しちゃうとアレなんで、これはとにかく!読んで下さい。
    騙され裏切られすべてを失った冴えない中年男、畑寺。
    友人を破滅させておきながら反省の色はさっぱりなく、今また畑寺を踏み台に脱獄計画を練るこりない高戸。
    最後の最後で畑寺が上げた台詞が、もうね……胸が熱くなる。涙がこみあげてくる。 
    あの台詞を叫ぶまで畑寺が経てきた人生が走馬灯のように過ぎって、活字がぼんやり滲む。

    傑作です。おすすめです。

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  • 監獄が舞台。
    薄暗い感じ

  • 山田風太郎の明治物に外れなし

  • 20090619-20090623

  • 北海道。彼の北の大地はどうやって日本の一部となっていったのか、
    気風のいい主人公と、一癖も二癖もある囚人たちの、地の果ての獄での明け暮れ
    飄々としていながら骨太な作品です

  • 全集の中では最も暗い作品かも知れません。北海道にある二つの監獄を舞台にした刑吏小説。山田の明治シリーズは、明治直後の「警察と刑吏」をテーマにしているのですが、ずばり監獄を、それも最果ての地にある監獄を舞台にしたすごい一編です。

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著者プロフィール

山田 風太郎(やまだ・ふうたろう):一九二二年兵庫県生まれ。『甲賀忍法帖』『くノ一忍法帖』などで忍法帖ブームを巻き起こす。『眼中の悪魔』及び『虚像淫楽』で探偵作家クラブ賞(現日本推理作家協会賞)短編賞受賞。九七年菊池寛賞を受賞。『警視庁草紙』『戦中派不戦日記』『戦中派虫けら日記』などの日記文学、『人間臨終図巻』ほか著書多数。二〇〇一年没。


「2025年 『東海道綺譚 時代小説傑作選』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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