山田風太郎明治小説全集 (9) (ちくま文庫 や 22-9)

著者 :
  • 筑摩書房
4.07
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本棚登録 : 93
感想 : 16
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  • Amazon.co.jp ・本 (398ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784480033499

作品紹介・あらすじ

未知の国との出会いの地点、港。波濤を分けて港にたどりついた人、出ていった人を描いた作品6篇の連作集。

感想・レビュー・書評

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  • 収録作・・・「それからの咸臨丸」「風の中の蝶」「からゆき草紙」

    いやはや、とても面白かった。大満足。
    この巻では、「波濤歌」というタイトル通り、どの短編でもいずれ日本を離れ海の向こうへと旅立っていく人々が登場する。それらの人生は、まさに波に揉まれる怒涛の人生である。

    それぞれの登場人物の描かれ方がとてもよい。いきいきしている。
    自分の信念を持ちながらも、時代に翻弄され、あるいはその信念ゆえに苦悩する登場人物たち。それでも彼らはひたむきに何かを見つめ、自分が自分であることに誇りを持とうとしている。

    特に樋口一葉のキャラクターが素晴らしかった。
    なんという心意気の美しさであろう。読んでいて、私は彼女の心意気にほれ込んでしまった。本当の美しさ、本当の強さ、そして本当の謙虚さとは、こういう女性に宿るのだと思った。

    上巻では、どちらかというとストーリーよりも登場人物それぞれの印象が強く残った。登場人物たちの「それから」が、あまり明るいものではなかったから、同情して少ししんみりしてしまったのかもしれない。

  • 山田風太郎の明治時代小説にはハズレは無いと思う。

  • 20090518-20090524
    新潮文庫

  • 短編集。どの話も珠玉といって差支えない完成度ですが、
    『巴里に雪の降るごとく』は、全て読み終わってハっとする、天才的なタイトルのつけ方です。天才。
    全てが異常に面白い明治シリーズの中でも、飛び抜けてキラキラしている上下巻です。

  • どれもいいのだけれど、「風の中の蝶」の前半の集う若者たちの姿に、胸がきゅんとなりました。ソフィアコッポラの「マリーアントワネット」を観た時にも感じた、ほんの一瞬の青春のきらめき。こんなに瑞瑞しく青春群像を描けるなんて、さすがです。

  • どの中編も素晴らしい。<br>
    「からゆき草紙」での一葉のキャラクターが凄く魅力的。

  • どれも好きなんですが、「風の中の蝶」「巴里に雪のふるごとく」「築地西洋軒」なんかは特に印象的です。

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著者プロフィール

1922年兵庫県生まれ。47年「達磨峠の事件」で作家デビュー。49年「眼中の悪魔」「虚像淫楽」で探偵作家クラブ賞、97年に第45回菊池寛賞、2001年に第四回日本ミステリー文学大賞を受賞。2001年没。

「2011年 『誰にも出来る殺人/棺の中の悦楽 山田風太郎ベストコレクション』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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